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みわたせば 柳桜をこきまぜて 都ぞ春の錦なりける

2024.4.10(水) the height of spring


朝から夫の機嫌が悪い。
原因はわからない。
人間は不機嫌になる原因として、第三者が関与している場合と、自分自身の不甲斐なさで不機嫌になる場合とのふた通りある。
第三者が関与している場合は原因がはっきりしているのだが、厄介なのは、そんな相手はいなくて自分の中に原因があった場合だ。
例えば、椅子の角などで足の小指をぶつけて、ものすごく痛い時に「痛い」という感情だけではなく「あぁ、もう。誰だよ、こんなところに椅子なんか置いたのは!」と、怒鳴ったりする。
自分の不注意を、不機嫌になることで自分には何のミスもないということを知らしめたいのだと思う。
そんなことは自分の中だけで解決して欲しいのだが、中には表に出さないと気が済まない性格の人がいるから、こちらとしては本当に困る。
今朝の夫のパターンはどちらかわからないが、触らぬ神に祟りなしで、私は冷静に夫を見ていた。
不機嫌ながら会社に行った。やれやれだ。

彼の不機嫌の埋め合わせをするように、私はとても機嫌がいい。
朝からstand.fmの放送を済ませ、洗濯して、ふふふふふ〜んと鼻歌を歌いながら洗濯物を干した。
そして外に出た。

機嫌はいいが、なんか歩きにくさを感じた。
足元を見てみる。なんか履いてるスカートが変だ。
「えっ?」「へっ?」という感じでスカートをチェックした。
私が今日はいていたのは、スカーチョというやつで、一見するとギャザースカートだが、デザインは足を左右に入れるパンツ型なのだ。
私は、なんと、片方に両足を入れて歩いていた。
近くの商業施設のトイレに入り着替えた。
スッキリした。歩きやすい。

こういうことはよくある。
昨年も、お芝居で着物を着て出る役をやっていて、自分で着付けしたのはいいのだが、前合わを左右反対に着てしまっていて、本番間際に気がついて着替える時間もなく「どうしよう」と大騒ぎしていたら、演出家が、
『この子ったら着物の前合わせが違うじゃないの、本当にあわてんぼなんだから。あとでちゃんと着替えなさいよ』
という台詞を相手役の方に付け足して下さり、それで出演したということもあった。

本当にうすのろだ。
機嫌はいいけど、うすのろだ。

『機嫌は悪いがしっかりしている』のと『機嫌はいいがうすのろ』と、どっちがいいだろう?
そんなことを考えながら通りを行く。
桜がまだ咲いている。桜とは違う木々も立派に茂っている。
全部ひっくるめて春である。

あなたのご機嫌はいかがですか?

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読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。