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命、ギガ長ス W

(大人計画)東京成人演劇部 vol.2『命,ギガ長ス W』を観てきた。
この作品は、数年前に松尾スズキさんと安藤玉恵さんとで上演されてて、その時も観に行ったのだが、あまりにもおもしろくて今回メンバーを変えて(安藤玉恵さんは同じ)上演するというのでお邪魔してきた。
Wキャストになっていて、宮藤官九郎&安藤玉恵がギガ組として登場し、
三宅弘城&ともさかりえが長ス組として登場する。
今日は長ス組を観劇してきたが、数日後ギガ組も観劇するつもりでいる。
演出はもちろん松尾スズキさんなので間違いなくおもしろいはずだと、かなり前から楽しみにしていたのだが、やっぱり皮肉たっぷりブラックたっぷりで、最後は爆笑&泣き顔で終わった。

ストーリーは、80代の認知症気味の母親と50代のアルコール依存症で引きこもりの息子の日々の生活を描いている。
ふたりは母親の年金だけで生活しているが、母親の年金を当てにして酒を飲む息子と、パチンコ依存症の母親。そんな親子に日本の闇を描くドキュメンタリー映画を撮る大学生が取材に来る。そんな状況下でも悲惨な生活ではなく(ある意味悲惨なのかもしれないが)人間っていうのは案外強い生き物で、どんな状況にあっても「生きていくぞ、何がなんでも生きてやる」という欲がみなぎっているという2人芝居だ。

相変わらず松尾スズキさんの人の人生の重箱の隅をつつくような演出には感服する。ものすごく重いテーマなのだけど、それを笑いに変える。笑いというか苦笑いなのだけど...….
松尾さんの芝居を観ると、どんな苦境に立たされていても「明日も生きていけるかも」「いゃ〜生きてやるぜ」と思わせてくれるのが不思議だ。
実際、いろいろ問題を抱えている私もこうやって酒を飲み楽しくやっているのだから。

三宅弘城さんの舞台は何度も観ているのでもう安心して観ていられた。
「安心して」という表現は「いつもと同じ」という意味ではなく、私が思う「安心して」は、どんな役でもその役柄で楽しませてくれるという褒め言葉のつもりだ。
ともさかりえさんを舞台で拝見するのは初めてなのだけど、ドラマなどで拝見する繊細なイメージとは違ってとてもハードな演技をされるのでびっくりした。がさつな中に物悲しいおばあさんの役を見事に演じられていた。新鮮な驚きだった。これからどんどん舞台に登場してみんなを驚かせてほしいと思う。

終演後、仲間と演劇論を戦わせた。
意見が違ってもこれだけはやめられない。
今、この記事もピッツアをつまみワインを飲みながら書いている。そういうのが良いのか悪いのかわからないが、演劇というのは、いち日経てば気持ちが変わる。二日経てば感覚が薄れるのだ。
今、書かないと意味がない。

実に楽しい夜だ。


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