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優しい無関心

2024.3.15 (金曜日) pretend not to know


友人Fさんがやっているヘアサロンに髪を切りに行く。
ついでに毛染めもしてもらう。
出来上がりはオーソドックスなボブ…と思いきや、前髪をぱっつんと切ってもらって、有名人で誰に似てるかと言えば、サザエさんちのワカメちゃん。
ワカメちゃんが大人になったら私のようになるかもしれません。
本当は、そこにチリチリパーマをかけて片桐はいりのようなヘアスタイルにしたい。
諸事情があり、好きなヘアスタイにてきないのはさみしい。

憧れの片桐はいりさん(左)大人のおしゃれ手帖より

電車に揺られてちょっとした遠足気分で行く。
スマホは触らず、ずっと田村隆一さんの本を読みながら行く。
田村隆一さんは、好きだ。
お芝居でも作品を使わせていただきたいくらい好きだ。
電車内で隣りに座った年配の女性の方がずっと咳をされてて、ちょっと嫌だなと思いながら過ごす。他に席も空いているから移動することもできたが、その方が嫌な気持ちになるかもしれないと思って移れなかった。
こういうところにも小心者の性質が出る。

友人のは、ミニチュアシュナウザーを飼っていてサロンに出てきていた。
私にけっこう懐いていて、カットして毛染めが終わるまでずっと私の膝の上で寝ていた。
私は今までの経験上、あまり犬には好かれないタチなのだけど、この子だけは私に懐いている
変わった犬だ。

Fさんとは、芸能人の噂話から日本の政治情勢まであらゆることを話す。
完全予約制なので他のお客さんが来ないことをいいことに、二人してマシンガンのように話す。
2時間ちょっとの間、マシンガンは途切れることなく発射されて、最後は
「お互いに体に気をつけようね」という締めの言葉で終わった。
また遠足の帰りのような長い道のりを電車に揺られて帰ってきた。
少し疲れたので、晩ごはんは手抜きしようと思い、阪神デパートに寄ってお惣菜と鶏の唐揚げを買って帰宅した。

やたらと眠いのは、この暖かい陽気のせいか…
わからない。

帰宅途中の駅で階段を踏み外してころんで、周りの人からものすごい注目を浴びている人がいた。
よく見ると、知ってる人だった。
怪我をしている様子もないし、親切な方が起こしてあげてたので、私は見て見ぬふりをした。
もし私がその人の立場だったら、知り合いなんかに見られたくはないと思う。見ても見ないふりをしてくれと願いだろう。
たぶんその人もそうだろうと思って見て見ぬふりをした。
決して冷たい感情があったわけではない。
というか、優しさからくるものだと自負している。
それがあってから、ちょっと思い出したことがある。
学生の頃、私が片思いをしていた男子が、学校の階段を踏み外して転げ落ちた場面を柱の陰から目撃したことがある。その時も見て見ぬふりをした。
彼は自分で起き上がって、周りを確認していた。誰もいないことにホッとした様子で去っていった。

人は、自分のカッコ悪い瞬間を見られるのが嫌なのだ。
だからこれからもそういうことがあったら見て見ぬふりをするであろう。
優しい無関心というやつだ。

部屋に戻ると、暑かった。
半袖に着替えて、冷たいお茶を飲んだ。

見て見ぬふりしたことありますか?


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読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。