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点滴ルームへようこそ 3

Day 3

今日は点滴ルームにジャズの音楽が流れている。
モードジャズとでもいうのか、少々おとなしい調べではあるが、クラシックほど仰々しくなく人々を癒す効果はあるようだ。
でもどうして?
あっ、土曜日だから?
朝10時半という時間帯にとてもマッチしているBGMが心地いい。
先客が椅子席に2人ベッドに3人いらして、私はまた入り口から2番目の椅子席に座る。
椅子席の先客は2人とも若い男性。それぞれスマホで映像を食い入るように見てらっしゃる。その内のひとりが私が座ると同時にこちらをチラッと見て目が合うと、ちょこんと頭を下げられたので、私もちょこんと頭を下げる。
何の意味があるのかわからないが…
もうひとりの男性は我関せず自分の世界に入ってらした。
ベッドにいる方の足元が少し見えている。とても派手で可愛い靴下を履いてらっしゃる。きっと若い女性なのだろうと想像する。1ミリも動かないその足元をじっと見ていると少し怖くなる。
動けと念じる。
動かない。

今日は新しい看護師さんが担当。。
ハキハキ喋り明るくてしっかり者って感じ。
それでもって友好的。

気持ち的に少し余裕が出てきたようで、私はうたた寝をする。
寝顔を見られるのは嫌なのだけど、椅子のリクライニングを倒してみたら、ことんと寝てしまった。ジャズの癒しのせいもあるのだろうか。
何かの物音でふと目を覚ますと25分ほど経っていた。
隣の若者がいなくなっていた。
夢も見ず、何も感じない時間が25分間…
それから残りの時間は読書をして過ごす。
今日は個室への出入りが激しい。ずっと個室はどういう方のためにあるのか疑問だったのだけど、中から漏れ聞こえてくる患者さんと看護師の話でなんとなくわかった。お腹や太ももに注射(点滴?)をするようだ。
それでか…いろいろわかってきた。

派手な靴下を履いたベッドの人はまだ1ミリも動かない。
動け!

読んでる本の中に、こんなことが書いてあった。

20代は「楽しそう」に、
30代は「しあわせそう」に、
40代は「疲れてなさそう」に、
そしてこれからは
「大丈夫」に見られたい。

すごくよくわかるわ〜と思いながら付箋を貼る。
でも私の友人の中には「大丈夫」な年齢域に達しているにもかかわらず、「若く」「楽しく」「素敵」「かっこいい」こればかりを目指している人がいて、側から見てるとそうは見えなくて「とても大変そう」に見えてしまうのが悲しいなぁなんて思っている(決して本人には言わないが)
私も大丈夫な域に達してきているけど、この通り大丈夫じゃない日々を今生きていて、本当に何を目指せばいいのかしら?と不安になる。
よっぽど不安そうな顔をしていたのか、看護師さんが「イトカズさん大丈夫?ちょっと顔色悪いよ」と心配してくれる始末。
あぁ….

1時間の点滴を終えて帰宅する。
ここからが辛い時間。副作用が出始める。
今日はちょいキツい。
倦怠感、頭痛、胃のムカつき。
数日前の医師の言葉が頭をよぎる「通院と入院どちらがいいですか?」
今更だが入院を選べばよかった。
ちょいと弱音。

2023.2.4(土曜日)3回目が終わった
4回目と続く…



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