見出し画像

【 映画 】 わたしは最悪。

自分探しの映画。
または、自由奔放な恋愛映画。
ひと言で表現しろと言われればこうなってしまう。

目新しいものにすぐに引かれる主人公ユリヤ。
外科医を目指している時にもっと魂を感じたいと心理学を学び始める。それにもなんか違うと感じてカメラマンを目指す。そして作家に…?
 次々とやりたいことが変わっていくのだけど、どれひとつとして突き詰めるところまではいかない。
そして恋もそう。すぐに目新しい男性に近寄っていってしまう。
観はじめてすぐに思ったのは、ユリヤは寂しがり屋の女性なのかしら?
それともプライドの高いかまってちゃん?
「自分探しもほどほどにしろ」と、ユリヤが私の友人なら言ってやる。

私は個人的にこういう女性が嫌いなのだ。
でも、世の中はこういう女性でいっぱいなのだ。

気持ちがゾワゾワするのを感じながら『わたしは最悪。』を観た。

あらすじ…
学生時代は成績優秀で、アート系の才能や文才もあるのに、「これしかない!」という決定的な道が見つからず、いまだ人生の脇役のような気分のユリヤ。そんな彼女にグラフィックノベル作家として成功した年上の恋人アクセルは、妻や母といったポジションをすすめてくる。ある夜、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、若くて魅力的なアイヴィンに出会う。新たな恋の勢いに乗って、ユリヤは今度こそ自分の人生の主役の座をつかもうとするのだが──。

『メトロ劇場』より抜粋

新しい恋人アイヴィンに出会って、年上の恋人アクセルに別れを切り出すユリヤ。アクセルに別れる理由を聞かれて、ユリヤは言う。

「わたしの人生なのに傍観者。脇役しか演じられない」

そのシーンを観て私は思う。
『主役になりたいなら自分自身で何かを成し遂げるべきだ。どうしてあなたは主役の座の獲得を相手に求めるの?』と。
アクセルと別れてからもユリヤは新しい恋人アイヴィンにもそれを求めることになる。
『あぁ〜あ』である。
主演のユリヤを演じている女優・レナーテ・レインスヴェはとてもキュートで素敵な女優さんだからそのギャップを感じながら観ていたことは邪道だが許して欲しい。
この映画を観て思ったのは主役はユリヤではなくてユリヤの最初の恋人アクセルかもしれない... と。
アクセルの人物像はとてもよく描かれていた。家族愛、仕事、人生…それらにおいて自分の考えをちゃんと持っていた。ネタバレになるといけないので詳しく書けないが、別れた後もユリヤに最後まで影響を与え続ける。
彼の人生がなかったら、ユリヤはもっともっと最悪になっていたかもしれないと思った。

この映画で共感する女性が多いとある映画情報のサイトに書いてあった。
共感する女性は多いだろうな...特にユリヤと同年代の女性は「わかる、わかる」の連発だろう。年代も違うということもあるが、私はまったく共感はしなかった。
でも映画としてはおもしろかった。
嫌いな人物設定のキャラクターが出てくると、なぜこういう人物がいるのか?なぜそういうゆうな考えに至るのか?そういうことを自問自答しながら観るのはおもしろい。

男性から観てどんな感想が出るのか興味深い。
夫に観せてみようかと思う。


[2021年/ノルウェー・フランス・スウェーデン・デンマーク/ビスタ/5.1ch/128分]R15+
監督:ヨアキム・トリアー
脚本:ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト
出演:レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー
英題:The Worst Person In The World
字幕翻訳:吉川美奈子
後援:ノルウェー大使館

この記事が参加している募集

映画感想文

読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。