「くれなずめ」ふとした瞬間に涙が溢れる映画でした。
くれなずめ、公開延期になって
映画館もいつも通りではなくて
なかなか見れなかったけど
やっと観れました!
ムビチケ買って、わくわくしてたからもしかしたら観れないかも…なんて思ってたけど観れてよかった!!
ネタバレ感想は後半で書きたいと思います。
物語の始まりから、違和感しかないんです。
吉尾だけが、雰囲気からそのものが若い。
映画の予告から吉尾が死んでいる、という事実からはじまるんですが
そこからなにが青春でなにを物語としてすすめるの?
て思うんですけど…
吉尾は鮮明に覚えていることを他の仲間は曖昧なことから、少し切なさを感じます。
吉尾以外は体力も衰えていて現実は明らかに時間が進んでいる、けれど吉尾だけは過去のまま。
そんなシーンがあって、少し胸がキュッとしました。
ひとりひとりの吉尾との過去を思い出したりするんです。
亡くなったからその過去を思い出すのか
その人の何気ないそのときの一言が忘れられないみたいな
これってあるよなーって思います。
些細な言葉が喉にひっかかった骨みたいになってるとき。
時間が経つにつれて気にならないのに、ふとしたときにまた思い出すんですよね。
くれなずめ、の世界観はふわっとしていて
いまこれなに?どの時空間の話?とかもあるんですけど。
それぞれの吉尾への気持ちは間違いないなーって感じました。
人ってやっぱり色々と周りにあることが当たり前って思いがちだけど、そうじゃないよってことも私は改めて感じました!
吉尾とみんなでいるときの感じと
それぞれ一人と話してる時はまた違う
それってすごい人間関係でよくあることだよなーって思って
関係性によって人ってそのものも雰囲気が変わりますもんね。
くれなずめの、自分以外の仲間が自分の死を認めずにふざけあって笑い合ってあの時のことを思い出して笑い合うあの不思議な空間が素敵でした。
ここからはネタバレ込みで。
序盤に結婚式の出し物のチェックをするときに既に吉尾は現世の人に存在を認知されてないのがわかるんです。
そして着ているものも一人だけ、少し若い。
それに対して仲間は吉尾がこの世に存在しているような感じで接してるのがもぅめちゃくちゃ切ない。
吉尾のノリにみんなが合わせようとしたり、忘れてる記憶を呼び戻そうとしたり。
明石が学生時代の思い出を思い返す時、今の吉尾と同じリュックを高校生から使っているのがわかってその点からも吉尾という人が表されてる気がして。
「みんなちんちんを触ったから手を洗うけど、それってちんちんに失礼じゃない?」というようなセリフがあるんですけど
明石はそのセリフを何十年も前なのに覚えてるんですよね。
そんなたわいもないよくわからない吉尾の言葉。
それぞれひとりひとりと吉尾の思い出のシーンが好きでした。
鉄一との屋台のシーン、吉尾のいる仙台まできて芝居やろう!と誘うところですかね。
「俺はお前に夢託してんだよ」って。
夢があることが偉いわけじゃない、みたいな言い方もひとつの意見だと思う。
でも明石や鉄一みたいな人生もいいと思ってるよ、ていう吉尾のかんじ。
パンフレットを読むと、そのシーンは風俗のことも絡めていて震災がきっかけで風俗嬢となった女性たちのことが想起させられ、松井監督の男子サークルの外に広がる世界が感じられる。社会の変化も織り込まれている。
とか書いてありましたが
とにかくあのシーンは
エモのエモ。
招待とかすんなよ、お金出して言いたいこと言いたいんだからってとこもすき。
あと、最後の過去なんて変えられるんだよって。
確かにわたしたちは過去は絶対に変えられないと思っているけど
自分を縛ってしまう過去なら
都合よく塗り替えてもいいのかもしれない。
それで、人の死と向き合えるのなら
そんな塗り替えはアリだと思う。
こうしてたら、あぁしてたらは
人の死と直面するとどうしてもでてきてしまうから
だったらきちんと向き合って受け入れるために少しは変えたっていいかも。
何回も泣いちゃったんですが
他にも色々と言いたいシーンもありますが
くれなずめ、不思議な世界観の中に現実の刃もあって
素敵な映画でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?