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どうやって1種類の花からはちみつを採っているのか

皆様ごきげんようBeekeeper齊藤です。
VRChat関連のNoteばっかりだったので真面目な養蜂家やってる自分の記事を書こうかと思い投稿しました。

はじめに

さてスーパーや道の駅、JA直売所等々で見かける事が多い「はちみつ」ですが純粋蜂蜜は大きく分けて2種類に分かれております。
「百花蜜」「単花蜜」の2種類です。

「百花蜜」とは複数種類の花の蜜がまざった蜂蜜です。

「単花蜜」とは一般的に1種類もしくは成分の半分以上が1種類の蜂蜜で出来た蜂蜜です。

さてこの2種類ですが実は主成分に大きな違いはありません。
ではなぜ態々分かれて販売されているのかと言うと理由は単純「味」「香り」が花の種類によってまったく違うからです。

主成分は同じなのに「味」と「香り」がそんなに違うものなのかと思う方もいるかと思いますがお肉でも野菜でも育った環境や食べたエサによって味も質も変わってきます。
そう蜂蜜もまったく同じです。
とれる花の種類によってまったく違う「味」と「香り」になるんです。

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単花蜜の採り方

ではどうやって単花蜜を採っているのか?
蜜蜂達が人間の言葉を理解してくれれば話は簡単なのですがそう簡単にはいきません。
やはり人間の指示には従ってくれません。
なので蜜蜂のやりたい事を人間が手助けする形で対応していきます!

単花蜜を採る為には主に3つの事が大事になってきます!
①場所
②蜜蜂の習性
③季節
この3つです1つ1つ説明していきますね

①場所

花のない場所に巣箱を置いても意味がありません!
場所探しはかなり大事です。
例えば「桜」の蜂蜜を採りたいと思った時にはどうするか下の候補があったとします。
・ソメイヨシノや菜の花が連なる河川敷
・枝垂桜や八重桜等見目麗しい桜がしっかり管理されている公園
・山桜がぽつぽつと散見する野山
この中で一番「桜」の蜜が採れるのはどこだと思いますか?









実は「山桜がぽつぽつと散見する野山」なんです。
それぞれ理由を説明していきますね。

・ソメイヨシノや菜の花が連なる河川敷
時期が来ると美しい花が咲き誇るお花見にはもってこいの河川敷ですが実はそもそもソメイヨシノという種類の桜は蜜をそこまで出しません。
もちろんまったく採れない訳ではないので選択肢の1つとして選ぶのはありです。
しかし同じ時期に周りに咲いている菜の花の方が蜜を出すので蜂は菜の花の蜜を採りにいってしまうのです。
なのでこの選択肢は除外されます。

・枝垂桜や八重桜等見目麗しい桜がしっかり管理されている公園
はい枝垂桜や八重桜に関してですがこれは選択肢としては一番無いものです。
理由は昨今の枝垂桜や八重桜に関しては観賞用として品種改良されたものが多く蜜がほぼ出ません。
また桜の害虫として有名なアメリカシロヒトリという毛虫がいます。
しっかり管理された公園等ではこういった害虫対策として農薬を使用します。
アメリカシロヒトリに効果がある農薬でスミチオン乳剤等がありますが蜜蜂にも効果抜群です。
なのでこの選択肢も除外されます。

・山桜がぽつぽつと散見する野山
つまり答えはこちらの山桜がぽつぽつと散見する野山です。
山桜は原種になればなるほど蜜の量が多く蜜蜂が喜びます。
山全体を覆っていなくとも蜜蜂の行動半径は広く約2kmを射程に収めています。
春のこの時期は野山で他に咲いている花もそこまで多くなくまさにベストな環境です。

これが場所の選定です。

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②蜜蜂の習性

2つ目の蜜蜂の習性についてですがこれは主に「セイヨウミツバチ」の習性を利用します。
実は「セイヨウミツバチ」はその時期に一番質の良い蜜を集める習性があります。
私もこれを知った時はびっくりしました。
「セイヨウミツバチ」は朝一番に偵察を行う担当の蜂が外に出て自分達が偵察に行った先で採れた蜜の質を報告しその報告の中で一番質の良い蜜を集中して採りに行くんです。
非常に効率的ですよね。
この時の報告に使用されるのが有名な8の字ダンスです。
あの8の字を描くダンスで蜂は「巣からの距離」「太陽を起点とした目標までの角度」「そこで採れる蜜の質」を瞬時に回りに伝えます。
ダンスってすげぇ…

③季節

最後に季節の選定ですが。
自然界で植物達は、自分達が生き残る為に様々な知恵を現代に至るまでにつけてきました。
その中で私が一番感動したのが人間がほとんど介入していない野山であればある程その山で咲いている花達は開花時期が被らないのです。
そう蜂達や昆虫達に効率よく受粉して貰う為に植物達は順番に花を咲かしていくんです。
例えば私のホームグラウンドの千葉県君津市の山ですと下記の順番で花が咲いています。

梅 ⇒ 山桜 ⇒ 山藤 ⇒ 雪見草 ⇒ どんぐり ⇒ カラスザンショウ

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毎年開花時期は気温等によって若干前後しますが順番は守られています。

植物は順番をきっかり守ってくれるので花が咲き始める時期に巣箱を持っていき花が終わり蜜蜂達が蜂蜜を熟成させた瞬間にしっかりと採蜜を行えば自然と「単花蜜」が採れるという訳です。

脱線:植林について養蜂家からの視点

話は少し脱線してしまいますが植林について語らせて下さい。
今行われている自然保護を目的とした植林の殆どが自然環境を破壊しかねない危険をはらんでいます。
植林の何が怖いかというと綺麗に出来上がっている花が咲く順番のループが壊れてしまう部分があります。
人間が悪戯に自然環境保護をうたいその土地に元々ない種類の植物を植える行為は簡単に環境を破壊してしまいます。
蜜がよく出る植物が新たに植えられると虫や蜜蜂はそちらに集中してしまい元々ある植物の受粉がうまくいかずゆっくりとではありますが確実に環境が変わってしまいます。
成長が早いから木材として利用できるから見た目が綺麗だからという単純な理由で自然保護をうたい植林するのではなく植林をする際は元々その土地に根付いている植物や環境を壊さない植物で植林が行われる事を望みます。

正直な話…元々が木材利用を目的とした植林であれば私も仕方ないと諦めます。
色々な人の生活がありそれを守る為に植林をするのですからそれを止められる程私は大きな存在ではありません。

しかし自然保護をうたっていながら自然環境を破壊していく行為は流石に間違っていると思います。
悪気がなく自然を守っていると思い込んでそれをしているのではないかとNews等で外来植物を植えている写真を見かけて心底驚きました。

非常に難しい問題とは思いますが今後改善されていく事を望んであえて書かせて頂きました。

まとめ

はいそんな訳でこの3つの点を利用して単花蜜を採取しております!
①場所を見極めなるべく自然が残る人間の介入が少ない場所に巣箱を設置
②「セイヨウミツバチ」の習性を理解し彼女等の無理のないよう自然な形で蜜を採ってきてもらう
③花が咲く時期を見極め開花時期に合わせて箱を設置し花が終われば蜂蜜の熟成を待ってしっかり採蜜を行う。

この3つを守れば「単花蜜」を採る事が出来ます!
しかしこれを行うには「手つかずの自然」「細かく点検を行い適切な時期に採蜜を行う」養蜂家の苦労が必須です。

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