【社会】トランプ再選に思う
先日レッスンで小学生のオマセな生徒さんが「トランプ再選で戦争が起こる」と不安がっていて、「そうかな、僕の記憶では前トランプ政権では彼は戦争してるところから軍を撤退させたんだけど」と軽い雑談をした。
曖昧な記憶だったのでAIと会話してみた。
僕:
僕の記憶違いじゃないか確認したいんだけど、以前彼が大統領だった時はアメリカ第一主義と主張していたけど自ら戦争に乗っかったりはしなかったはずなんだ。違うかな、国連と距離をとっていただけ?
AI:
はい、その記憶は正しいです。トランプ前大統領が在任していた2017年から2021年の間、彼の外交政策は「アメリカ第一主義」(America First)を掲げ、海外での軍事介入を避ける傾向がありました。例えば、彼は大規模な新たな戦争には加わらず、むしろ海外から米軍を引き揚げることに力を入れていました。また、国連やNATOなどの国際機関に対して批判的な立場をとり、米国の拠出金の見直しや国際組織との距離を保つ方針を取っていました。
たとえば、中東政策としてはイラン核合意からの離脱を行い、イランへの圧力を強める一方で、大規模な軍事介入は避け、イスラエルとアラブ諸国との関係改善(アブラハム合意)に尽力しました。また、アフガニスタンやシリアからの米軍撤退も進めるなど、米国の関与を減らす方向での政策を行いました。(出典あり)
トランプがいうアメリカ第一主義において、軍事的な拠出は自国民にとって負担だから「世界の警察である必要はない」という側面がある。彼は数少ない、戦争を引き起こさなかった大統領だった。だけどまったく逆のイメージが描かれていることに世界の歪みが凝縮されている。
姉はニューヨーク在住で「次は共和党になる」と言っていた。その論拠は様々だったが、たとえば移民問題なんかは治安に直結していて実際強奪がある、LGBTのゴリ押しで教育界隈に問題がある、などなど、とにかく民主党政権の任期が伸びるとヤバいということだった。
日本から見て、SDGsやLGBT問題についてアメリカは先進的な国だと思われているのではないだろうか。実情はまったくそうではないことは言うまでもない。SDGsはすでに時代遅れの考え方となっていて、エコ関連企業やコンサル会社の”国家公認広告”であったと認識されているし、LGBTについてアメリカが寛容なのは理解が深いからではなく”変な人には近づくな”という自己防衛的な生活感覚によるものだからだ。一言でいえば『綺麗事』の看板だった。
民主党政権はその『綺麗事』を盾に戦っていた。学歴的に賢い人に支持される傾向があるので、そういった理念や理想は言葉により大きくインフルエンスされたが、他方それが実際どのように現実を変更したかについてはあまり語られなかった。『綺麗事』の弊害があることを彼らは見せたがらなかったから、嘘をつく必要があった。「その問題は右派のプロパガンダだ」で切り捨てるような嘘をたくさん積み重ねた。
実際にスーパーで強奪は発生しており、それを検挙することができないような行政を市民はどのように見ていただろう。姉は「もう民主党政権は無理だと思う」とも言っていた。
つまり民主党政権、というよりアメリカの行政機関は国民からNoを突きつけられ、今回共和党に政権移譲したということだと僕は思う。ハリスやバイデンの人格にも問題があるし、トランプにも問題があるが、誰が大統領になるかは実は問題の本質ではなく政権変更するタイミングで行政のブラッシュアップをするのが”アメリカ式”の政治スタイルだ。そういう視点で今回の開票速報を眺めていたので、スウィングステートが赤く染まるのは想定の範囲内で驚きもしなかった。
ところが世間はそうでもないらしく、今もSNSでは悪魔的なネガティブキャンペーンが繰り広げられている。振り上げた拳を下ろさなければならない人がたくさんいるが、下ろせない人がいかに多いかだ。
前トランプ政権を含めて8年間、民主党政権の思考パターンをマスメディアが疑いなく流布していたから、それが「違うかった」となって驚くのも仕方がない。実際は「違うかった」というより、「良い部分もあったけどダメなところもあった」なんだけど、そんな面倒くさいメッセージは広がらない。SNS的には断片的で言い切りタイプの話の方がインフルエンスされるから。しかもコロナ禍ではそれが加速したのも、世界情勢の歪みを深刻なものにしたことも覚えておきたい。
政策変更が始まる
そんなこんなで、メディア的にはまず移民対策が大きく変更されることになること、環境問題についても大きく舵をきること、外交ではトランプ流のディールが始まることが注目されているが、「これまでの流れでダメだったことを見直すターン」に入るのが本質だろう。
極端から極端に政策が変わるから、そこには大きな問題が生まれることは想像に難くない。だけど実際の目の前の問題について変化を求めたのがアメリカの民意だったのは疑う余地がない。
SDGsは破棄されもっと経済的に有利な形になっていくだろう。地球環境よりもそこで苦しんでいるアメリカ人を救おうというのがトランプの考えで、それ自体は間違っていない。エコエネルギーに費やされた予算は工業振興に移っていくだろう。パリ協定からは離脱するだろうし、結局のところ原子力を活用しようという話になっていくと予想している。
妊娠中絶問題についても「女性は子どもを産むものだ」くらいの人権意識だ。それははっきり言って野蛮な考えだし、実際中絶禁止の州があり、そこから逃げる人も少なくない。LGBTのような多様性に振りすぎて人間の生物的な営みを軽視するような言論について、今後はっきりとした批判が集まるようになるだろう。日本の例外ではない。
ちなみに僕自身は妊娠中絶問題について共和党やトランプの言っていることはアホだと思っているし絶対支持することはない。
移民政策についても大きく変更される。治安についても予算配分が変更されていくだろうし、ポロポジション47のような軽犯罪法は改正され「犯罪を犯したら帰国させる」みたいな行政改革がなされるだろう。集団で万引きして軽犯罪で済まされるような社会が健全であるはずがなく、法律の穴を利用した組織犯罪は移民増加と相関関係があるとされているからだ。
人道的に移民をどう扱うかは日本でも重要な問題になりつつある。これは人権問題でもあり、限られたリソースでどこまで線引きするかという問題でもある。移民にかけるリソースをすでに住んでいる国民にも使えという意見があるのは当然のことだから。難しい問題。
悪い事だけではないと思うけど、良い事もある。こんな曖昧なポエムはSNSでは支持されないだろう。だけど現実問題は曖昧で、不安定で予測不能な事象の連続だ。民主主義による選挙はその1つの結論であり、今回は政策変更が選ばれた。現状維持ではなかった。その結果をこれからもしっかり見つめていきたい。
ヴァンスはしっかり株を上げた。本著の頃とは思想が変わっているけど、それでも支持されたのには理由がありそう。