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黒本[JAZZ STANDARD BIBLE]

くろほん【黒本】[JAZZ STANDARD BIBLE / 納浩一

⑴ベーシスト納浩一監修のジャズスタンダード曲集。277曲を収録、管楽器用の移調版もあり、ページ数が曲の通し番号になっている。

<関連>青本

2018年現在、「日本語のジャズスタンダード曲集はどれ買えばいい?」といえば『黒本』で間違いないと思います。恥ずかしながら、ハンディ版をつい先日購入して使い始めました。B♭版とE♭版もあって、すべて同じページで曲名を共有できるから便利です。
ジャズセッションはもう何年もやっているのですが、なんとなく買わずに過ごしていました。という話を音楽仲間にすると「俺も俺も」「私もなんとなく買えてない」ということで、案外そういうジャズプレイヤーは多いのかもしれません。

便利なのは間違いないのですが、どうしてみんな買い控えているのか。

まず「青本」「REAL BOOK」(共に有名なスタンダード曲集)を既に持っている場合、コード進行に違和感を感じちゃう人が多いようです。実際、僕も買ってみて気が付いたんですが、基本となるコード進行じゃなくて、(常套句ではありますが)ツーファイブを挿入している曲が多いようです。その意図は理解しているのですが、やはり曲集というのはシンプルであるべきじゃないかなぁと感じてしまいます。
コードの違和感について友人と検証していると「これはピアノの人がよくやるパターンかも」という見解、そういえば共著にピアニストの方がいるようですね。

「青本」「REAL BOOK」が万全という訳でもないし、黒本が悪いということでも全くありません。単純に慣れているコード進行と違うというだけで、もしかして地域差もあるかもしれません。
ということで赤ペンをつけながら使っています。いずれ黒本にペン入れした記事も書きますね。

黒本をなんとなく買えないもう1つの理由は、電子版がないからという意見もあります。本に実際書き込むこともジャズの勉強では大事なんですが、(ハンディ版でさえ)ちょっと荷物になりますから、「電子版が出れば買う」という層も少なくないような印象です。実際REAL BOOKは電子版がありますからね。全部買うとめっちゃ高いけど、でも曲集ってその曲が収録されてないと役に立たないので、拡張性のある電子版の方が安心感があります。
しかも、だいたいのプレイヤーはコード進行と尺が分かればいいので、iREAL Proがあれば何とかなります。メロディ弾かないしアプリでよくね?っという理由で黒本を買わない人は多そうです。

とはいえ、やはり普及率が高いので黒本は一冊持っておけば役に立つものです。ジャズセッションで「黒本持ってきてる?」と問われたとき、スマートに差出せるジェントルメンでありたい。

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