実績も無いくせに、人生で初めて教壇に立ちました【非常勤講師になった経緯】
2020年10月上旬に北里大学へ講義を行ってきました。
46名の学生さんの前で、3コマも授業の枠をいただいて「地域のリアルと作業療法士の役割」というテーマで話してきました。
私は論文を書いたことも無ければPT協会の認定を持っているわけでもありません。何なら、今回は作業療法学科の学生さんたちが対象でした。
なぜ実績も何もない上に、母校でも何でもない大学の教壇へ立つことになったのか。
今回は、それに至った経緯と感想を書いていきます。
①キッカケはコロナ&ゴリラ
講師の依頼があったのが8月頃でした。
弊社にアルバイトで通っていた大学院生(写真に写っているゴリラ)が、今回お世話になった先生の授業に、助手として入っていました。
その授業は本来実習だったのですが、コロナの感染拡大により実習へ一切行けなくなってしまいました。
そこで、先生とゴリラが会話している中に弊社の話が出てきたようです。
つまり、このご縁は運とゴリラのおかげで繋がったというわけです。
ただ、あくまでキッカケはキッカケ。後日、先生が弊社へ訪問し、どのようなテーマで話して欲しいのかを打ち合わせしに来るとのこと。
ここで弊社の人間が学生さんにとって有益なことを話せないと判断されると、当然今回の話は無かったことになります。
千載一遇のチャンス。色々葛藤しながらも、打ち合わせの日を迎えました。
②唯一の活路に繋がった瞬間
打ち合わせで衝撃的だったのは、講義する対象が作業療法学科の学生さんということ。
「いやいや、私PTなんだけど・・・」
もうね、何をしゃべれば良いのよって話ですよ。OTと一緒に働いて約5年は経つけど、作業療法のことは浅い知識すら知らないよ?っていう状態。
ゴリラと先生は話を進める。
「この授業では学生さんにOTとしてのコミュニケーションや地域での役割をお話していただきたくて・・・」
「授業は3コマあるので、グループディスカッションではOTとしての考え方ができるように・・・」
当然ながら求められるのはOTとしての内容。このままでは話せることが何も無い・・・。それはつまり、せっかくのお話がオジャンになってしまう。
ここで、最後の切り札を投入。
「OTとしてかどうかは分かりませんが、セラピストとしての地域での働き方や役割なら話せると思います。例えば、地域にはOTに求められることは一切無いこととか」
OTとしてではなく、セラピストとして地域貢献する話を持ち出す作戦に。
これが意外にもドンズバリ。ハマりました。
ただ、地域ではPTでもOTでも立場は関係なくなるのは事実。その話をしつつ、弊社の紹介をして、何とか授業を持たせていただけることに。本当に感謝しかありません。
そして、入念な打ち合わせを何回も行った後に授業当日を迎えました。
③生徒の「だれこいつ?」から「先生」へ変わる瞬間
10月8日木曜日。ついに授業の日がやってきました。
天気は土砂降りな上に強風。関東には台風が上陸し、まるで大学へ行くなと言われているような気分でした。
大学に到着するや否や、どでかいキャンパス内の敷地を迷子になりながら歩き、20分前に教室へ到着。出勤より早く起きたので、まだ脳みそが動いていない様子。レッドブルとオロナミンCをがぶ飲みして、翼と元気を授かって授業開始。
最初は学生さんからの「誰だよおまえ」という目線が突き刺さります。学生さんのホームである大学に、やたら肩幅の大きい知らない男がしゃべり出したら、そりゃそうなります。
話していく中で、現場のリアルな事情を伝えつつ、講師口調から普段の口悪おじさんに代わった瞬間に生徒の反応がガラリと変わりました。
そして、一通り座学が終わったら残りの時間はグループワークへ。
実際の利用者の方にご協力いただいて、提示された症例の情報を元に問題点の抽出とプログラムの作成をしてもらいました。
「地域感のある症例」を提示して欲しいと事前に言われていたため、介入目標が結婚式への参加の症例や多職種・家族との連携が必須な症例などを提示しました。
正直、グループワークがこの講義の良し悪しを決める要素と思っていたので、ここはめちゃくちゃ力を入れました。
ありがたいことに、学生さんは全員必死に取り組んでくれて、質問もたくさん出ました。その後の発表もキレイにまとまっていて、とても優秀な方ばかりでした。
④実績も無いのに講師になれたのは・・・
とりあえず、無事に終わってホッとしました。
先生や生徒、ゴリラなど、関わった皆様に感謝しかありません。とても貴重な経験ができたことを光栄に思います。
そして、今回思ったのが「実績は無くても、講師はコネさえあれば多分できることはできる」ということです。
ただ、良い内容の講義が出来るわけでは全く無い上に、講師をやること自体は特に成果でも何でもないと思います。
講義を受けた学生さんたちが、今後の将来にどのような影響を与えたかが今回私が講義をした成果になるのかと思っています。
授業終了後には、うちの職場への見学希望者の方も結構な数来てくれたので、今後どのように関わっていけるのかが楽しみです。
以上、感想文でした。最後までご覧いただきありがとうございました。
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