「病院で働いているけど地域に出たい」って人が読む記事
神奈川県相模原市でUP Life(デイサービス)で管理者をしている山です。
コロナウイルスが猛威を振るっている中でも病院は稼働し続けなければなりません。資源も不足している中でも現場で頑張っている方に敬意を表します。
そんな過酷な病院勤務をしている職員の中で、一定数いるのが「地域に出たいなー」と密かに思っている人。
今回は、そんな方たちに向けて病院勤務の内に学んでおくべきことや病院勤務出身者の強みを伝えていきたいと思います。
①介護保険の予習はあんまり意味ない
正直、管理者や生活相談員として働くことが決まっていない限りは、デイや訪問への入職前に予習してもそこまで意味は無いと思います。
恐らく、勉強している最中は知らないことを覚える作業が続くので、とても意義のあることだと思って取り組めると思います。
だがしかし。
実際、現場で介護保険の知識を使う場面は①利用者に介護保険サービス料の支払いを説明するとき、②書類業務の2つが主です。
たまに、介護保険の申請の流れや使えるサービスの説明を求められることもありますが、急務ではないので人に聞くなり何なりして対応できます。
それに、やっていく中で覚えていくので特に心配はありません。
これは、どちらもやりながら覚えるパターンが主になります。なぜなら、ネットや本にほとんど書いていないのとイレギュラーが多いからです。
※管理者や生活相談員はめっちゃくちゃ勉強する必要があります。
②病院でやっていることの延長線上に地域がある?
地域=介護保険という構図は誰もが思いつくかと思います。事実、多くの場合がそうだと思います。
なので、ほとんどの人は「介護保険をまず知るところから!」と意気込みますが、病院で働く前に医療保険の勉強ってしましたか?
僕の周りにはそんな勉強したという人を聞いたことがありません。でも、保険の勉強をしなくてもやってたらある程度覚えると思います。
それと全く一緒で、介護保険分野もそうやって覚えればいいんです。
じゃあ、何すりゃいいのよ?って話ですが、地域でセラピストとして働く時に主な役割がいくつかあります。
①病院と一緒で介入を行う(マンツーマンで行う場合もあれば複数人介入の場合もある)
②書類を書く(病院の計画書みたいなもんです)
以上です。
これだけ?と思いますが、セラピストとして働くのに必須業務はこれだけになります。よく聞かれる質問としては、
Q.ケアマネや他の事業所の人と連絡は?
A.普通のデイなら基本的に皆無。訪問ならやる。いちスタッフが他事業所とガンガンとっている弊社が特殊なだけ。
Q.予防教室とか出来ない?
A.自分で企画して、自分で開いてください。
Q.地域の人を俺の介入で良くしたいです!!
A.やってもいいけど、基本的にマンツーマン介入は訪問は40~60分、デイだと15~20分間の介入のみ。そして、徒手中心だとどう頑張っても「マッサージが上手い人」としてしか見られません。個人的には、生活期では徒手療法だけでは限界を感じることが多いので、それと戦える根性があればどうぞ。
Q.福祉用具系で強みを活かしたいです!
A.福祉用具等のアドバイスもセラピストの専門領域ではありますが、福祉用具を導入するまでの過程として、ケアマネが福祉用具業者との会議を開いて決めています。うかつに口を挟むと痛めを見ます(主に管理者が)。
本気でやるならケアマネと直でやりとりするか利用者伝えでケアマネに伝えてもらうかが良いと思います。
・・・と言うと地域で働く意義って意味わからないですよね。
ただ、どこに行こうがセラピストとしての最大の特徴である治療する技術や知識とコミュニケーション能力は必須になります。
ちなみに、コミュニケーション能力は相手に気に入られる能力ではありません。正しい知識と相手の考えを理解するための技術が活用できるという能力です。
これって病院と全く一緒ですね。それを極めていけばいいと思います。
これだと、地域の魅力が無いので最後に地域で働くうえで病院では味わえない楽しむコツをお伝えします。
③自由。それが地域。
病院ではリハスタッフだけで100名いることなんてザラですが、地域(デイや訪問)ではスタッフが10名以上いるところなんてほぼありません。会社単位では10名以上リハスタッフがいる場合もありますが、1施設・1事業所当たりでは一人職場なんてところも多いのではないでしょうか。
これを仲間(同じ職種)が少ないと捉えるのか、仲間(色々な職種がいることで自分のやりたいことを多方面からサポートしてくれる人)が多いと捉えるのかでは、大きな違いになります。
つまり、リハスタッフの働き方一つで自分が活動したい環境作りやチーム作りができる可能性を秘めているということです。
同じような系統の専門職が沢山いると、上下関係でも横の関係でもいがみ合ったり協力してくれても腰が重かったりします。
しかし、別職種同士や少数精鋭で組む専門家チームでは個の力が大きくなるため、団結力が強くなることが多いです。
”地域に出る”ということが、デイサービスや訪問リハを行うということとイコールにして考えると、地域で働き始めた時にめちゃんこツマラナイと感じます。
”地域に出てやりたいことがある”人であり、かつ”やりたいことを周囲の人にプレゼンして協力を募る”ことが出来ると、地域で働くことにやりがいを持てるのではないかと思います。
ということで、今回の話しをまとめます。
僕が思う地域で働くために、病院勤務の内にできることは
①セラピストとしての知識・技術は出来る限り磨く(疾患・病態は何でもいい)
②"相手を理解する"と"相手に伝える"といった最低限のコミュニケーション能力を磨く(欲を言えば、”相手の行動を変えるきっかけを作る”や”相手を教育できる”)
※正直、コミュニケーションは人柄や相手との相性もあるので、コミュニケーション”技術”を身につけると良いかも?
③自分のやりたいことのビジョンを語れる&それに関する情報を調べる
④ネットワーク作り
という、ごく普通のことが大切になるかと思います。
要はどこに行こうが自分のやりたいことを明確にして人に伝えられて、地力を付ければ良いんじゃないでしょうか。セラピストとして働かないビジョンでもほとんど一緒だと思います。
地域でも病院でも、働かないと身に付かないことばかりなので特別な予習はほとんど要りません。
将来と目の前のことに真摯に向き合えるかどうかです。経験談なので説得力はありませんが、これで地域に出ることへの閾値が下がれば、錦を飾れるってもんです。
では今回は以上になります。最後までご視聴ありがとうございました!