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帰国してからのお仕事①-6

どうもべちおです。

渋谷に異動ということを告げられた僕は残された2週間を必死に勉強と研修に費やした。

渋谷店はオープンしてまだ間も無く、当時系列店としてはアジア最大級の広さを誇っており、場所も渋谷109から歩いて1分の超好立地。

そしてそんなところで働くスタッフたちは漏れなくクセモノばかり・・・
とそんなことを聞いた覚えがある笑

いざ渋谷に異動になるとなぜかここでの業務がとてもラクに思えた自分がいた。きっと店長にしっかりいろいろな業務の基礎を叩きこまれたからだろう。渋谷のマネージャーは結構ゆるいというか、お気楽な人が多かった。

そして場所柄的にもお気楽ないわゆるパリピ的な感覚の方があっていたのかもしれない。当時の僕もその場その場に合わせた自分を演じることが好きで、なんら苦じゃなかった。今思うと考えられないけど。

このお店というか会社は年に一度ベストスタッフアワードみたいなミスコンをやっている。しかも世界中の支店で同時期にそれを行う。各国で優勝したスタッフには決勝大会が開かれる。場所はラスベガス。正直同伴でいいから付き添いたいって気持ちでいっぱいだったし、あわよくばそのままラスベガスに残ってやろうという企みも頭の中の片隅にあった。

だけど入社してまだ数ヶ月の新米ペーペー豚野郎なんかにラスベガスにいく権利なんて発行されず、僕の企てはあっけなく砕け散った。

ちなみに日本大会は毎年違う様々な場所で行われるのだが、今年はラッキーなことに渋谷で行われることがわかった。

毎年恒例のこのビッグイベント、当日はもちろん店内常連さんと報道関係とスタッフでごった返す。一年で1番の忙しさになる日。

そんな時に限って僕は、今日のポジションでバーを任せらることになった。クソ、最悪だ。というのもバーはコンテストがおこなわれる場所から丁度死角になっており、全く状況が見えない。そしてなによりめちゃめちゃ忙しくてどのみち見ることなんてできない。年功序列的に最弱な俺に他のマネージャーからのプレゼントという訳か。。。

コンテストが始まり、店内も活気立ち、もちろんバーも超絶忙しくなってきた。いつものバーのスタッフのメンツでは回せきれないと他のマネージャーも判断し、急遽バースタッフを増員。コンテストの設営で店舗の一角が潰れてくれたおかげで、スタッフが余っていたのだ。

なんとかみんなのおかげで忙しさの峠を越え、少し落ち着いた頃に、俺もコンテストを見ることができた。

ちょうど覗きにいくと、コンテストのランウェイを異動前にお世話になったMさんがウォーキングしている。むしろ一番みたかった人がこのタイミングで歩いてきてくれたから俺の疲れは吹っ飛んだ。その後、5分ぐらい他のコンテスタントのパフォーマンスをみたけど俺の中ではぶっちぎりMさんの優勝だった。

結果としてはMさんはグランプリとして選ばれはしなかったが、スタッフMVPとしてラスベガスに行く権利を手にしていた。やはり仕事ができる女はちゃんとしてるな。そう思ったのと同時にこの会社は頑張ればラスベガスにいけるんだという一つの目標ができた。

コンテストも無事に終わり、しばらく平穏な日々を送っていた。毎日忙しく、やりがいもあり、英語を話す機会も多いし、スタッフからも慕われていたと思う。個人的には天職かもしれないと思うほど充実していた。

そんな中、ちょっとした事件が起きる。

この会社は月一で店長会たるものが開かれるのだが、そこには役員や、お偉いさんも集まる。店長はそこで月次報告などよくある報告関係をするのだが、それと同時に新しい企画などのプレゼンをすることもある。今回の店長会では渋谷の店長がどうしても外せない用事のため副店長が代役を務めることになった。

この副店長に問題があった。

働いてしばらくしてわかったがこの副店長は典型的な自分が一番主義の人間で、自分は他人とレベルが違うという世界観で生きている。その考えは若干賛同できるのだが、仕事レベル的には平々凡々で、それに加えて先輩後輩とかの上下関係が大好きだ。年齢は僕より一つか二つ下なのだが、もちろん僕のことも下の身分の人間としてみている。
なのでシフトによっては副店長と僕だけの日なんてあると、事務作業からお店のモップがけまで全部自分がすることになる。その間、副店長はスタッフの女の子とあたかも作り話のような「自分スゴイだろ話」を繰り広げている。

そんな副店長に先週くらいに「今度店長の代わりに店長会でることになったんすよねー。そこでなんか企画のプレゼンとかしたいと思ってるんですけど、なんかないっすかねー?」
そう聞いてきたので、僕が渋谷で働いていた上で感じていた不便なところや、この箱(店内のこと)の有効活用方法や、アメリカではこんなことしてたみたいな話をしてあげた。

そして副店長は僕の話を主語を「自分で考えた」に置き換えてそっくりそのまま店長会で発表した。

それを店長会に同席していた他の店長、マネージャーから聞き、僕は許せないというか呆れてしまった。どんだけいいプレゼンしても結果的にやらなければなにも意味がないし、薄っぺらくなってしまう。

直接その副店長になにか言おうとも思わなかったけど、なんか同じ仕事してるのが嫌になった。ここでの仕事は本当に楽しかったから、店長に相談して、シフトをうまく調節して二人がかぶらないようなスケジュールにもしてもらった。

スケジュールの調整がうまく功を奏し、またいつもと同じ毎日を迎えていた。
そんな頃、僕の小学校からの幼なじみから一本のLINEが入った。

「べちお、俺の店こぉへん?」




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