「弾丸フェリー」でゆく大分・別府旅行記 ~さんふらわあの新造船に乗って、太陽に守られて行こう~
「そうだ、さんふらわあに乗ろう」
そう決めたのが、乗船日の3日前。
なぜ「さんふらわあ」なのか。
実は、大阪と別府を結ぶフェリーさんふらわあは、今年から新造船の「くれない・むらさき」が担当するようになりました。
新造船なら、乗るしかないよね!
それに、最近はフェリーに乗っていないですし。
(最後の乗船は、今年4月のジャンボフェリーでした)
はじめに 今回の旅の概要
今回乗船した「さんふらわあ くれない」は、大阪市の大阪南港と、大分県の別府港を結ぶ、約12時間のフェリーです。
大阪南港は、ATC(アジアトレードセンター)のあるところです。
公共交通機関だと、ニュートラムを利用することができますので、徒歩乗船組にも便利なところになります。
さらに、今回は「弾丸フェリー」という割引運賃を利用しました。
これは、0泊3日の弾丸ツアーになる代わりに、復路の運賃が半額になるという優れもの。フェリーは夜行ですので、朝から夕方まで、しっかりと別府や大阪を観光できます。
実際の別府観光は次回に書くとして、この旅行記が、弾丸フェリーで旅行をしてみようかと考えている方の参考になれば幸いです。
乗船! 新造船! さんふらわあ くれない!
新造船の中はまるで別世界!
さんふらわあは特別な船です。
現在運航されているフェリーの多くは「カーフェリー」――すなわち「人と車」を運ぶ船です。
もちろん、現在の「さんふらわあ」もカーフェリーなのですが、かつて「さんふらわあ」の歴史を作った関西汽船という会社は、旅客だけを運ぶ「客船」を運航していたという歴史があります。
だからなんやねん、と言われてしまえばそれまでですが、前身が客船だからなのでしょうか、乗船して最初に目に飛び込む景色がこちらです。
たしかに、他社のフェリーでもエントランスが吹き抜けになっていて、開放感のあるデザインになっているものもあります。
その中でも、さんふらわあのデザインは抜きん出て素晴らしいです。
喩えるなら、他社のフェリーは「シティホテル」であるところ、さんふらわあは「リゾートホテル」といったところでしょうか。
さんふらわあは、ホスピタリティも優れています。
私がカメラを首からぶら下げて、誰もいない撮影スポットを一人で撮っていたところ、さんふらわあのお姉さんに話しかけられました。
「お写真、撮りましょうか?」
思いがけない事態に、一瞬焦ります。
「ありがとうございます、そしたらお願いします」
スマホではなく、一眼の方を手渡す馬鹿。
「えっと、これってどうやって撮ったらいいんですか……?」
ほら見ろ、お姉さんが困ってるじゃないか。
「ここを押せばシャッターが切れますよ」
お姉さんがシャッターを切り、首をかしげた写真がこちら。
「あのー、もうちょっと左に寄っていただけると、さんふらわあの文字が写っていい感じになると思うんですよ」
お姉さんのさりげないフォローが光る!
「わかりました!」
何も知らないお船オタク(30)はニコニコしながらピースします。
ぼっちにも優しいさんふらわあ。
もう足を向けて寝られません。
フェリーの鉄則!「まずは飯」
さて、フェリーに乗って最初にすべきことは何でしょうか?
それは、「飯を食べる」or「風呂に入る」です。
まず飯を食べるか風呂に入るか、それを決めて動くと混雑に巻き込まれにくくなります。お船オタクからのプチ情報です。
ということで、レストランにダッシュしたところ、誰もおらず一番乗り!
どうやら、徒歩乗船組が一番最初に船に入っていたようで、その中でも私はぶっち切りのトップだったようです。
さんふらわあのレストランは、全てバイキング方式になっています。
誰も手を付けていない、色鮮やかなメニューをじっくりと堪能し、さんふらわあといえばやっぱり鶏めしだよね、などと思いながら選んだメニューがこちらです!
新造船のビュッフェは、値段も納得の美味しさです。
チゲ鍋が出てくる阪九フェリーにはさすがに負けますが、全体的な味のクオリティが高く、一品一品にしっかりと手が込んでいるという印象です。
フェリーのバイキングは全体的に茶色フェスタになりがちなところ、さんふらわあは各メニューに温野菜などの彩りを用意してくれてます。
だから、鶏天・ソーセージ・ハンバーグを選んでも茶色感が少なくなったんですね。
(ライバルの名門大洋フェリーは100%茶色フェスタになります)
私としては、手ごねハンバーグが推しです。
気になる人は、さんふらわあくれない・むらさきに乗って確かめてみよう!
さようなら、本州
食事を終えてのんびりとしていると、出港15分前の銅鑼の音が鳴り響きます。私は慌ててデッキへと出ていきました。
いよいよ船旅の始まりです!
お部屋紹介コーナー!
さて、今回私が予約した部屋は、スーペリアシングルという、結構ええ部屋です。そこそこええ値段します。片道2万円です。
でも、移動代と宿代と考えれば安いかも……といえば、それはそうかも。
ですが、お船オタクに言わせてもらうと、阪九フェリーや名門大洋フェリーと比べれば、やはり値段が高いです。
でも!!!!!!!
この部屋は満足度が高いぞ!!!!!!!!
ちょっと机が狭いかなーという点や、窓がついてないという点は不満なのですが、逆に言えば、それ以外に不満となる点はありません。
設備はコンパクトながらも必要十分といったところ。むしろ、世の中のビジネスホテルのスタンダードになってほしいような、細やかな気配りが多く見られました。
特に、枕元にスマホ置き場とコンセントと照明スイッチがまとめられているところは、地味にとても便利でした。しかも、便利なだけでなく、部屋のインテリアとしても調和がとれていて素敵なんですよね。
さらに、静粛性にも優れています。
フェリーって、廊下を歩く人の足音が響くことが多いのですが、本船ではそれがまったく聞こえてきません。
また、エンジンが動いている時の、プルプルとした細かな振動も全く感じませんでした。なので、今回はとても熟睡できたような気がします。
静かで揺れない船ですので、初めて船に泊まろうという人にもオススメできます。俺がオススメするんだから間違いない。
夜の見どころ!「明石海峡大橋」
20時頃になると、瀬戸内海航路ではお馴染み、船旅のハイライトがやってきます。
そうですね、親の顔より見た明石海峡大橋のくぐり抜けですね。
おやすみなさい、さんふらわあ
平日の便ですと、夜の22時には夜間照明に切り替わります。
賑やかだった船内が、嘘のようにしんと静まり返って、船内の雰囲気も一気に変わります。
船旅が思い出になる理由は朝にある
船の上で迎える朝、それは旅情そのものです。
東の海から昇る太陽、朝日に照らされる真っ赤なファンネル、ぐんぐんと近づいてくる別府の街、そして遠くに立ちのぼる温泉の湯気。
これを旅と言わずして、何と言うべきなのでしょうか。
この景色を見てしまうから、船旅はやめられないのです。
12時間の航海もあっという間に終わってしまい、さんふらわあにも別れを告げなければなりません。
この船は、ジャンボフェリーと同じく歌うフェリーです。
最初は面食らうかもしれませんが、旅が終わる頃にはきっと思い出の歌になっていることでしょう。実際、1週間ぐらい頭から離れなくなります。
さようなら さんふらわあ
ああ、もっと乗っていたい。
別れを告げるのが惜しい。
「さんふらわあ くれない」は、そんな素敵な船でした。
ところで、船内放送でまもなく下船と聞いたんですけれども……
今って何時ですか?
はぁ? 朝の6時55分!?
正気か?????
次回へつづく!
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