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「はじめからなかったこと」と同義にしたくない日々のこと

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なまものの自分と向き合う時間をつくるための日記
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2016年12月の記事一覧

青春をポジティブに終わらせる

青春をポジティブに終わらせる

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はてなブログから引っ越しました
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この前、学生時代の同級生から、「永遠の中二病」というありがたい称号をいただいた。

どういう意味だ、と詰め寄ってみたら、どうやら「モラトリアム」の意味合いが強いらしい。(彼は必死に「悪口じゃない」と弁解した)

これは納得せざるを得ないというか、つまり私の青春時代はずいぶん

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「きっときみは来ない」のあとに残るもの

「きっときみは来ない」のあとに残るもの

山下達郎の「クリスマス・イブ」を聞いたアメリカ人が、「結局来ないんかい!」とツッこんだ。

というエピソードを聞いたことがある。(本当かどうかはわからない)
昔は今くらいの時期によくこの曲を耳にしたけど、平成28年にもなればもうそんなこともないのだろうか。

冒頭のツッコミに対して、ツッコみ返したい。「だって、来ちゃったら歌にならないじゃん」



「約束はきちんと守りなさい」「遅れるときは連絡

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非日常と日常のゆるやかな関係(この世界の片隅に)

帰りが遅くなった日は、近所にある餃子の王将で冷凍餃子を買ったり、チキンラーメンに卵を乗せてお湯をかけたり、冷凍ごはんをチンしてお茶漬けにしたり、だいたいそんな感じで済ませてしまう。

だけど今日は、家にあったお豆腐でお味噌汁をつくって食べた。

そういうことがしたくなる映画だった。

「戦争がない」状態を平和と定義するなら、今の日本は平和だ。平和側から戦争を見たとき、「今ある幸せに感謝するべき」と

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出会いよりも再会がほしい

出会いよりも再会がほしい

きのうの夜は、会社を出たら細かい雨が降っていた。

寄り道した渋谷センター街の地面はつやっと湿っていて、電飾やら街頭ビジョンやらの明かりがその上にギラギラ重なり合っていた。

下を見たら、お気に入りの革靴のつま先に水しぶきが飛んでいた。ああスニーカーにすればよかった。めずらしくいやなことがたくさんあったから、スクランブル交差点のスターバックスに寄って、あたたかいカフェモカを買った。

外に出たら、

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あなたとわたしが共有しているものは何だろう、ということ

「○○さんってどんな人?」
「うーん、やさしい人…?」
「そっかー」
「……。」

ってなるの、そろそろ辞めたい。

***
あるAさんは、Bさんのことを「その人の心臓が動いているという事実に感謝したくなる人」だと表現し、A'さんは「2時間過ごすだけで胃もたれするけど年に1回くらいは会いたくなる人」だと言い、A''さんは「天気がいい日に一緒にサラダを食べたい人」だと言った。

他人について語るとき

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永い言い訳

人は、一人でいるとき、何をしているんだろう。

2ちゃんねるで暴言はいてるかもしれない。炊飯器からそのままごはんを食べてるかもしれない。鬱々とした音楽を聞きながら泣いているかもしれない。昔の恋人のFacebookを延々眺めているかもしれない。大音量で歌ったり飛び跳ねたりしているかもしれない。

喜ぶ、悲しむ、怒る、懐かしむ、後悔する。いろんな感情が、人の目に触れない場所で、ひっそりと受容されて処理

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感情や関係性を説明するためのことば、の外にある「揺らぎ」

あの人は、あなたにとって何?

友達?知り合い?なんか違う。好きだと思う人。大切な人。ずっと一緒にいたい人。じゃあ付き合えば?いや、そういうのじゃない。

ことばは暴力的だ。いろんなものを均質化してはくれるけど、そこからはみ出たものをスパンと切り落とす残忍さがある。

対Aさんと対Bさん、まったく別の関係性を等しく「友達」ということばでまとめる。「好き」ということばは強制的に恋愛や結婚に結びつく。

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東京でちゃんと生きてみることにした

生殖の本能に「恋」とか「愛」とか名前をつけることも、淡々と回る地球の軌道を「秋」とか「10月」とか呼んでみることも、全部思い込みだしくだらない。でもどうでもよくはないし捨てたくない。

ものごとを数字に換算するなんて色気がないし大嫌い、お金なんて宇宙に行ったら何の役にも立たないし、死を前にしたら地位も名声も何も救ってはくれないし、利便性のために作られた共通語で世界を縛るなんて息苦しいし、

奪い続

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わかり合うことについて(「君の名は。」と「集合的無意識」と)※ネタバレはないよ

わかり合うことについて(「君の名は。」と「集合的無意識」と)※ネタバレはないよ

人と人はわかり合えない、と思うのは、「わかる」を「他人との完全無欠なシンクロ」と定義づけてしまってるからなのかなあ。

映画「君の名は。」を見て、みんな誰かと一体化したいんだなあと思った。

というより、「誰かと一体化したい」という自分の願望がもくもくと再浮上してきた。

君の名は。|公式サイト

「君の名は。」は、他人と体が入れ替わる、つまり他人の目で世界を見ることができるようになるという、

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ノスタルジーの効用

ノスタルジーの効用

数年前まで住んでいた町を、久しぶりに訪れた。

好きな古本屋はそのままだったけれど、エキナカの店が変わっていたり、駅前におしゃれなカフェができていたり、でもやっぱり地面のあたりをゆるゆる流れる根底は変わらなくて、こそばゆくなる。

駅から(前に住んでいた)家までの道をたどる途中、かつて同じようにその道を歩いていた自分が、ときどきひょこっと現れる瞬間があった。セミの声。日差し。坂道。いつかと同じ空気

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天気予報を見るのがきらい

朝はあんなにいい天気だったのに、驚くほどの雨に降られた。
(今年初めてセミの声を聞いてテンション上がっていたのに!)

傘を買うはめになったのは、天気予報がきらいだからだ。幸い家にはテレビがないし、東京メトロの車内テレビは天気予報を映さないので、iPhone備えつけのお天気アプリさえ見なければ、今日の天気を前もって知ることなく1日を過ごせる。

なんというか、日常から「ああ、やっぱりね」をできるだ

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人工知能は不倫するのか

人工知能は不倫するのか

人工知能。

1日に1回は、それについての話題を見聞きしている気がする。「今私たちがしている仕事の大半は、人工知能に取って代わられてしまう」と、まことしやかに言われている。

人工知能は人間の代わりになる。

そうなのかな?と思う。

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この前、友達のたわいもない恋愛話を聞いていたら、感情と理性があまりに矛盾だらけで、思わず笑ってしまった。

恋愛の悩みというのは、相反するAとBで構成され

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「私が忘れてしまった私」は私なのか

「私が忘れてしまった私」は私なのか

良すぎるほどの良い天気だったので、メトロ2駅分の距離を自転車で走った。

大通りから一本外れた道は、車の通りが少なく、川の音や風の流れを感じる余裕があってとても気持ちがいい。電車で通り過ぎるだけの街に愛着は持てないけど、自転車で走ったことのある街は大抵好きになれる。

小さな橋を渡るとき、前にいた1組の親子を追い越した。

まだ補助輪を外したてらしく、ふらふらと自転車をこぐ4歳くらいの男の

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東京で生きるための決意のようなもの

東京で生きるための決意のようなもの

東京は広い。

路線図には降りたことのない駅がたくさん並んでいるし、街は名前も知らない人で溢れている。

東京はいろんな人に会うことができて、いろんなものが手に入る。

でも、「自分にとって特別なもの」は驚くほど少ない。

この前スーパーに調味料を買いに行ったら、違うメーカーの同じ製品がずらーっと並んでいて、むむむ…と迷ってしまった。

携帯電話ショップに行ったら、ロボットが接客をしていた。(渋

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