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金沢でもらった、「また来てね」の言葉を反芻して

3月11日(月)、12日(火)
「乳幼児親子のためのベイビーシアターカフェ」を金沢市内で開催しました。
令和6年度能登半島地震で被災された乳幼児のお子さんを持つ方、避難されている方を応援されたい方を対象として、
ベイビーシアター『物語を旅するーお空の世界ー』の公演と、あそびの場とおはなし会を、LINNAS Kanazawa、玉川こども図書館で開催いたしました。
参加してくれた子どもたちがとても楽しんでくれて、
彼らの「また来てね!」の言葉が忘れられません。
さまざまな出会いが交差した、開催の様子をお伝えいたします。

書き手 弓井茉那(BEBERICA)


開催前、北國新聞に取り上げていただきました

縁に運ばれた、金沢市での開催

乳幼児親子のための「ベイビーシアターカフェ」
子ども家庭庁の支援を受けて、開催いたしました。
代表の弓井の祖母が能登の出身であることから、
「何か自分たちができることで役に立てないか」と考えて企画し、
さまざまなご縁が重なり、実施できることになりました。
当初は、被害の大きかった能登での実施も検討していましたが、
当時は水道が復旧しておらず、行くと迷惑を掛けるのではと逡巡していた矢先に、
テレビの報道で、能登に父親が残り金沢市に母子だけで避難している人たちの存在を知りました。

お父さんがいない中、お母さんだけで小さいお子さんを抱えて、見知らぬ土地で過ごすのはさぞ不安で不便なんじゃなかろうか・・・。
そんな状況にある方たちに、ほっとして、束の間芸術体験に没入できるような「“場”としてのベイビーシアターを行いたい・・・」と思い、金沢の芸術団体や子育て支援団体さんにご相談させていただきました。

金沢では、2020年度、2021年度と、
金沢21世紀美術館主催のプログラムでベイビーシアター公演やワークショップを実施した際、
学芸員の黒田裕子さんに、芸術、子育て支援、保育の分野などさまざまな方をお繋ぎいただいていたので、
何人かの方にアイディアを相談すると、あれよあれよと瞬く間に企画が走り出しました。

そうして、
子育てしながら活動する女性アーティスト支援を行う、金沢のNPOひいなアクションさんが現地コーディネートをしてくださることになり、
更に、二日目の実施の運営には、市内で多く託児所などを運営するNPO法人さくらっこさんが協働してくださる など、
さまざまなご縁に運ばれ、さまざまな方々に助けていただき実施することが叶いました。

一日目:3月11日(月) LINNAS Kanazawa

一日目は、2次避難所になっているホテル・LINNAS Kanazawaの、
子どもたちの居場所「みんなの子ども部屋」の中で開催しました。
「みんなの子ども部屋」は、
認定NPO法人カタリバさん、一般社団法人 第3職員室さんが共同で運営されています。

午前と午後、それぞれ1回ずつ実施し、
避難されている方と、金沢にお住まいの方にご参加いただきました。
今回はベイビーシアターの上演+あそび場という2時間の構成ですが、
あかちゃん、子どもたちみんながお昼ごはんを食べるのも忘れて最後まで参加してくれて、とっても楽しんでくれた様子・・・。
しかも午前と午後、両方とも参加してくれまして、本当に有難かったです。

参加してくださった保護者の方が帰り道に、
「いやぁ楽しかったなぁ…」と呟いてくださっていたという話を関係者から聞き、これまたとても嬉しかったです。

子どもたちの体験や居場所の重要さ

思った以上の好反応に嬉しかった一方、
参加してくれた子どもたちからの
「また来てほしい」
「もっと遊んでほしい」
その言葉を聞くたびに、胸がギュッと締め付けられる気がしました。
自分の街を離れてお母さんと避難してきているあかちゃん、子どもたち。
子ども部屋にいた皆さんの事情について多くのことは聞けませんでしたが、
避難して来ているあかちゃん、子どもたちにとっては、何かの体験ができる場所や居場所については、
足りないくらいではないかと思いました。
また、一人でお子さんと生活されているお母さんにも、束の間ホッとできるような場(時には子どもからも離れて)がもっと必要なんじゃないかとも思いました。
また、避難されている方と、金沢市に住む方の「交流」が今後の課題になるのでは
と、さまざまなところで聞き、そういった場所の必要性も感じました。


二日目:3月12日(火) 玉川こども図書館


あそびの場&おはなし会の様子。あかちゃんは思い思いに探究したり、大人はゆったりしながらおしゃべりしたり。
「みる」「きく」「さわる」でエリアをつくり、あかちゃんたちは興味の赴くままに探究。
俳優はあかちゃんの様子を見ながらまるでおしゃべりするように小道具や楽器などでコミュニケーションします。
最後には、全員で即興セッションをしたりしました。


子どもと子どもの読書に関わるすべての人のための専門図書館・金沢市にある玉川子ども図書館 交流ホールで実施しました。
こちらの図書館の1階には木の温もりに包まれた、「木の広場」もあり、
小さいお子さんとお子さんを連れた大人の方で賑わっています。

午前の回は多くの金沢市にお住まいの親子の方々にご参加いただきました。
そして午後の回には、能登の方から大家族で避難されてきた方がご参加くださり、
おはなしの時間に、さまざまに伺いました。
印象的だったのは、大家族ゆえに住む場所がなかなかなく困っていること。
金沢に避難してから3度も引越しをしたと仰っていました・・・。

生活に根ざした問題

今回の取組全体で感じたことは、
避難をされている方の状況はさまざまで一絡げにすることはできず、
伴って生じる課題も、生活や暮らしに直接関わるものであるということ。

実は企画段階では、まだ上演を伴うような取組は時期尚早なのではと思ったりもしていました。
しかし今となっては良いタイミングでの実施だったのかもしれないと思いました。
少なくとも、出会えた方々には必要としてもらえたのではないかと感じます。
「生活」や「暮らし」に対して、私たちの取組ができたことは
ほんのささやかなことだと思います。
しかしながら、この取組がなければ、出会うことができなかった、
参加してくださったあかちゃんや大人たちがいること、
あかちゃんのキラキラした目や、リラックスして微笑んでいていただいている大人の表情に確かに出会ったこと、
その出会いそのものが私たちにとっては大切で宝物のようなものです。

また来年度以降も、何かの形でベイビーシアターを届けに行けたら・・・
もっと多くの必要としている方に届けたいですし、
また、今回出会ったあかちゃんたち、大人たちにまた再会できたらと願っています。

最後になりましたが、
今回の実施に際してご尽力・ご協力いただきました、
NPOひいなアクション、NPO法人さくらっこ、
一般社団法人 第3職員室、金沢市子育て支援課、玉川こども図書館、
北國新聞社、
中村くるみさん、黒田裕子さん、金沢21世紀美術館、
主催の合同会社あかちゃんと一緒にせかいをつくるに御礼を申し上げます。

乳幼児親子のためのベイビーシアターカフェ

主催:合同会社あかちゃんと一緒にせかいをつくる
共催:NPOひいなアクション
後援:北國新聞社
協力:特定非営利活動法人子育て支援さくらっこ
こども家庭庁 NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業(被災したこどもの居場所づくり支援)

★BEBERICA次回公演のお知らせ★

乳幼児のための参加型演劇『物語を旅する〜お空のせかい〜』
2024年3月31日(日)11:00/14:00
市民交流プラザふくちやま ギャラリー
(京都府福知山市駅前町400)
詳細・お申込↓


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