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縄文海進と古神道、神社、天皇制(8)

今回は、新作イラスト満点、『百文は一画像に如かず』で、縄文海進のトピックをわかりやすく書いてみましょう。『百聞は一見に如かず』と言いますが、こういったコンテンツを書いていると、『百文は一画像に如かず』じゃないか?と思えてしまいます。そこで、新作イラスト(と言ってもマンガじゃありません)を作成してみました。まずは、以前に掲載した地球平均気温のグラフ、それに神奈川県の2万年前、1万年前、6千年前、現在の海岸線との関連性を図で示してみました。

海水面と地球平均気温

「20000年前」とある海岸線。神奈川県のかなり沖合、今よりも最大10キロ先まで陸だった様子がわかりますね。この2万年前というのは、地球平均気温のグラフでいうと、現在よりも7℃も地球平均気温が低かった最後の氷河期、ヴュルム氷河期の時です。現在よりも7℃も平均気温が低いので、地球上のそこいら中は氷河だらけ。水が凍って陸上に居座ったものですから、海に注ぎ込む真水も減って、地球の地域によっても偏りはありますが、海面は今よりも100メートルも低かったのです。ヴュルム氷河期も終わり、2万年前から1万4千年前にかけて徐々に地球は温暖化していきます。間氷期が始まった。と思いきや、1万4千年前からまた寒の戻りじゃありませんが、『徐々に』平均気温は低くなってきました。『徐々に』です。2千年かけて10℃ほど。
最後の氷河期、ヴュルム氷河期の時に最も氷床(氷河)が拡大したのが約2万1千年前でした。この時代、およそヨーロッパ北部全域、カナダのほぼ全域と、西シベリア平原の北半分が巨大な氷床(氷河)に覆われていました。北アメリカでは氷床(氷河)の南限は五大湖周辺、東ヨーロッパではライン川の河口からクラクフ、ロシアではモスクワからアナバル川河口まで達していました。チベットや、カシミール地方のパキスタン北端部とインド西北部、アンデス山脈も氷床(氷河)に覆われていました。アフリカ、中東、東南アジアでは小規模な山岳氷河が形成されました。
ヴュルム氷河期の頃の氷床(氷河)に覆われた時期の北アメリカは現在の氷河地域のような気候でしたが、東アジアやアラスカの一部は標高の高いところ以外は氷河化していませんでした。寒流の親潮がベーリング陸橋に遮断されていたため、太平洋は大西洋より暖かかった、また、東アジアには東西方向に高い山々が連なっているため、氷床の南下が妨げられたというのが原因でしょう。

最終氷期の最盛期には、数十万立方キロメートルといわれる大量の氷がヨーロッパや北米に氷河・氷床として積み重なっていました。海水を構成していた水分が蒸発して降雪し陸上の氷となったため、地球上の海水量が減少、世界中で海面が約120メートルも低下しました。その影響で海岸線は現在よりも沖に移動していました。アジアとアラスカの間にはベーリング陸橋が形成され、ここを通って北アメリカに人類が移住しました。
日本列島およびその周辺では、海岸線の低下によって北海道と樺太、ユーラシア大陸は陸続きとなっており、現在の瀬戸内海や東京湾もほとんどが陸地となっていました。また、東シナ海の大部分も陸地となり、日本海と東シナ海をつなぐ対馬海峡もきわめて浅くなり、対馬暖流の流入が止まったと言われています。この影響もあり日本列島は現在より寒冷で、冬季の降雪量が少なかったと考えられている。北海道では永久凍土やツンドラ、標高の高い地域では山岳氷河が発達し、針葉樹林は西日本まで南下していたと言われています。最終氷期というと長い間続いたと一般には思われていますが、実際は短い周期で気候が激しく変動していたのです。

海水面と地球平均気温4

ところが、1万2千8百年前(珍しいほどハッキリと何年前と言い切れるかというと、炭素年代測定で判明しているから)に、北米、グリーンランドから欧州、アフリカにかけて、直径約4キロメートルのクローヴィス彗星という小惑星が、複数個に分裂しながら地球に落下しました。

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Note用見出し画像1280x670 縄文海進

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北米のスペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖の五大湖周辺の氷河湖との地球最大のローレンタイド氷床は現在よりも広く深かった。そこにクローヴィス彗星の破片が落下、氷河湖は決壊、数兆トンという真水が大西洋に流れ込み、海水の塩分濃度は低下、大西洋の海流が停止し、彗星の落下による粉塵の太陽光阻害とともに、数年で地球平均気温は7.7℃という超急激な寒冷化を遂げました。※ちなみに、『クローヴィス彗星』の『クローヴィス』とは、1万3千年前頃に北米を中心に現われた、独特な樋状剥離が施された尖頭器を特徴とするアメリカ先住民の石器文化の名前です。それを壊滅させたので『クローヴィス彗星』と呼ぶこともあります。※『Extent of YDB Field』の桃色の地域が『クローヴィス彗星』の衝突域。

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この1万2千8百年前から1万1千6百年前までの約1200年間をヤンガードリアス期と呼びます。1万2千8百年前から約10年のあいだに気温が約7.7℃以上低下しました。
クローヴィス彗星衝突によるローレンタイド氷床の決壊

恐竜、大型爬虫類をはじめとする多くの生物が絶滅した、中生代白亜紀末の大量絶滅を引き起こした小惑星(チクシュルーブ衝突体)の大きさは直径10~15キロメートルでした。それに比べると、直径4キロメートルのクローヴィス彗星は小さいように思われますが、それでも広島型原爆数億個の破壊力はあったのです。

チクシュルーブ衝突体の衝突入射角が45度以上の鋭角だった(大気圏の摩擦が小さく小惑星が分裂しなかった)のに較べて、クローヴィス彗星の場合、衝突入射角が20度以下の鈍角でした。彗星がなだらかな角度だったために、チクシュルーブ衝突体と異なり、大気圏上層部でクローヴィス彗星はバウンドして、複数の衝突帯に分裂しました。その結果、北米からグリーンランド、アフリカ、ヨーロッパの範囲まで衝突帯が分散し、広範囲な被害をもたらしましたが、チクシュルーブ衝突体のように1箇所に衝突しなかったため、中生代ほどの生物種の絶滅は引き起こされなかったのです。

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