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縄文海進と古神道、神社、天皇制(16) 職能者と技能者

曖昧に宗教のことを書いてきた。

参照

『マガジン、ヒンズー教と仏教の原風景』参照
『マガジン、縄文海進と古神道、神社、天皇制』参照

少し、自分の中で整理しないと混乱する。

巫女禁断令

で述べた、明治六年発布の『巫女禁断令』で、神社の神霊の憑依などによって託宣を得る行為は禁止された。それ以前の巫女の役割は否定され、淫祠邪教的行為になった。巫女は、神楽鈴を舞う芸能行事や御札や御神籤(おみくじ)と売ったりする役割の『淫祠邪教的』能力のない神職の補助的役割になった。霊的現象を淫祠邪教として否定する神社本庁が認定する霊的能力のない神職しか、神社を継承できなくなった。

宗教の定義

さて、では、宗教の定義とはなんだろう?

「神や霊などの超自然的存在とかかわる観念と実践の体系」となる。だから、そもそも現代社会が「神や霊などの超自然的存在」を公認しないのだから、現代社会では、宗教は科学的に公認されるはずもなく、ただ、法的な宗教法人となる。

さて、宗教を歴史的に考える場合、起源の古い順に、1)自然宗教(原始宗教、アニミズム)、2)民族宗教(ユダヤ教、原始仏教、古神道、ヒンズー教)、3)世界宗教(キリスト教、イスラム教、仏教)と分類されそうだ。

または、自然発生的な宗教で、仏陀やキリストとかモハメッドなどの開祖がはっきりしているという意味で『創唱宗教』という分類もある。あるいは、比較的新しい時代になってあらわれた『創唱宗教』を新宗教ということもある。浄土真宗も日蓮宗もそのカテゴリーだろう。モルモン教、エホバの証人、統一教会なども世界宗教の上に憑依して新しい開祖をでっち上げた、という意味では新宗教だろう。

キリスト教でもカトリックに対してギリシャ・ロシア正教やプロテスタントはどうか?新宗教とは言えない世界宗教に入るかもしれない。

ただし、普通に宗教というと、キリスト教、イスラム教や仏教のような世界宗教のことを示す。逆に、自然宗教というのは「その他」というような消極的なカテゴリーである。

神職と巫女と神社本庁

縄文海進と古神道、神社、天皇制(15) 神道と神職、巫女」の話の『神職と巫女』に戻れば、神職とは神社本庁の認定した「職能者」で、「技能者」である巫女の存在は認めないという社会的な動きが現代社会の実態である。恐山のイタコの存在は、神社本庁は認めない。しかし、八百万の神の存在を神社本庁は認めているか?神社本庁のホームページでは、曖昧にしか書いていない。

そもそも、神社本庁は、官公庁ではなく、宗教法人法に基づく文部科学大臣所轄の包括宗教法人である。神社本庁は約八万社の神社包括団体であるが、その実態は渋谷区代々木にある事務組織にすぎない。神社本庁の議決機関は全国の神職・総代から選出された評議員会であり、総長以下役員もそこで選任される。

宗教法人法

宗教法人法も、「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする」という法律的な事務手続きを定めたもので、どこにも宗教の内容など定めてもいず、関知もしないのだ。

天皇家との関係も曖昧である。伊勢神宮を初め、主だった神社は、天皇家のゆかり、先祖の祖霊を祀ったものだが、法律上、神社本庁は、天皇家と関係はない。主だった神社が天皇家や所轄官庁の宮内庁の所有というわけでもない。宮内庁の資産管理には皇室用財産も含まれている。しかし、すべて皇室財産は国に帰属するのだ。各神社は、独立宗教法人である。伊勢神宮は正式には「宗教法人神宮」(さすが、本家、「伊勢」はつかないのだ)である。

映画「悪魔祓い、聖なる儀式

さて、カトリックのエクソシスム。話が飛んで申し訳ない。

映画「悪魔祓い、聖なる儀式(イタリア語原題:Liberami)」は、イタリア・シチリア島で行われている悪魔祓いの儀式とエクソシストの日常を記録したドキュメンタリーだ。

エクソシスト養成講座

教皇庁レジーナ・アポストロルム大学「エクソシスト養成講座」の様子も撮影されている。日本と異なり、カトリックの総本山は、国家のバチカン市国である。だから、国家に隷属している神社本庁とまったく異なる。霊的現象を淫祠邪教として否定する必要はない。

だから、カトリック教会のエクソシスムの捉え方も、カトリック教会の厳密なエクソシスムは教会法に沿ってなされるもので、叙階された司祭が、司教の特別な認可を受け、医学的なケアの上、行うことができる。

※エクソシスムは神に対する絶対悪の悪魔が憑依する現象だが、世界の宗教の「憑依現象」は、必ずしもカトリック的な『悪』ではない。これは、その内、書いてみようと思う。

日本の事故物件のお祓いの扱い

元に戻って、宗教の話。

じゃあ、日本のお寺や神社で、アパートや家などで心霊現象が起きた事故物件をお祓いしてもらうが、あれは、どういう法律的な立場での経済行為なのか?と言うと、法律的な根拠などないのだ。心霊現象そのものを定義していない宗教法人法に基づく宗教法人が、心霊現象を滅するお祓いをする、というのは、詐欺行為なのか、あるいは、芸能的な見世物としての拝観料という扱いになってしまうのだ。











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