プロレベルのリズム感を身につける方法 : 1.自分でビートを出すこと

前回は、リズムの考え方について説明しました。
メトロノームや他の人に頼るのではなく、自分でビートを出すことが重要である、という内容です。

今回は、「自分でビートを出す」とはどういうことなのか説明していきます。
まずは、自分でビートを出している状態の対極である、何かに合わせるように演奏している状態について考えます。

(1)何かに合わせるように演奏することの問題点

まず、自分以外のものを基準にして演奏しているため、当然ながら自分一人になったときにテンポのキープができません。
特にピアノ(キーボード)やギターは、バンドであったとしても自分一人で演奏するシーン(イントロなど)があるでしょう。また、一人だけで歌い手の伴奏をすることも多いです。その際、明確なビートを提供することができなければ、歌い手は自由に歌うことができません。

メロディーはそれに付随する感情に合わせて、タイミングを前や後ろにずらすことによってエモーショナルに聴かせることができます。
しかし、伴奏がそれにつられてテンポが揺れてしまったら、基準となるテンポが見えないためにその表現が伝わらなくなるばかりか、音楽全体が一定のテンポに基づかない不明瞭なものになってしまいます(もちろん、意図的にテンポを揺らす表現もありますが、それと意図せず揺れてしまうのでは聴き手への伝わり方に大きな差があります)。

次に、他の楽器と一緒に演奏する場合を考えてみましょう。この場合も、誰かに合わせようとしている時点で合わないのです。
まず、合わせにいくという行為自体が後手に回ることを意味するため、基本的に遅れがちになります。運良くうまくいったとしても、人間なので必ずわずかでもずれる瞬間があります。そこからが問題です。

他の人に合わせている人は、ずれたタイミングの次に演奏する時に帳尻を合わせるしかないのです。そこでうまく合わせられたとして、全体の足並みは揃うでしょう。
しかし、単体で聞いた際には、帳尻を合わせるために急に早くなったり遅くなったりしたように聞こえます。これでは、一定のテンポに基づかないふらふらした演奏になってしまいます。そして、それは当然バンド全体のノリに影響を及ぼします。

自分でビートを出している人は、例え他の人とずれたとしても、あくまで自分の体内メトロノームに基づいて演奏し、その体内メトロノームを徐々に早くしたり遅くしたりすることで、ゆるやかに合流することができるのです。その場合、単体で聞いても軸のない不安定な演奏には聞こえません。

(2) 「自分でビートを出す」とは

それでは、「自分でビートを出す」とはどういうことでしょうか。それは、

自分の中に体内メトロノームを持ち、それに基づいて演奏する

ということです。他の人や実際のメトロノームと演奏するときは、演奏をそれらに合わせるのではなく、あくまで「体内メトロノームのテンポ」をそれらと合わせるのです。
自分の中に正確に時を刻むメトロノームを持っていれば、それに合わせるだけでなく、表現としてあえてそれと違うタイミングで演奏することもできます。

全員がしっかりとした体内メトロノームを持ち、自分のタイミングに責任を持って演奏した時、それらが合わさって大きなノリ(いわゆる「グルーヴ」)が生まれるのです。聞いているだけで勝手に身体が動いてしまうような感覚です。

Earth, Wind & Fireは、まさにこれを体現しています。
日本人によく見られる、お互いのタイミングを探り合って合わせあう演奏では、踊れるようなノリは生まれません。

それでは、どうしたらこのような体内メトロノームを持つことができるのでしょうか。次回はいよいよ、具体的な練習方法をご紹介します。

僕はこれを音楽を始めたときに知りたかった…この練習の中でポイントを理解し、僕はプロミュージシャンになることができました。

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