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( ゚∀゚)o彡゜

  目次

「ほんでな、たぶんだけど乳ゴリラの乳輪は中身の急すぎる成長にともなって引き伸ばされてるから、でかいけど色は薄めな感じだと俺は予想してるわけよ」
「お、おう……」
「でもってエルフどもはどうもブラとかつける習慣ないっぽいからよぉ服の上からまったくぽっちが浮かび上がってないところを考えると乳首は小さいと俺は見るね!!!! 通常時と臨戦時の違いも考えなきゃなんねえから一概には言えねえけど――」
「あの、黒神さん?」
「あぁ? んだよ俺は乳ゴリラの乳首のディテールを妄想すると言う極めて高度な知的活動に忙しいんだよボケが手短に済ませろや!!!! ところであそこまででかいと陥没乳首という可能性が浮上してくるんだけどそのへんどう思いますかこの野郎!!!!」
「いや知らないけど。えっと……その、ちちごりら、さん? だっけ? その人の胸を触れれば満足して元の世界に帰ってくれると考えていいかな?」
「おう、考えてやるよ(帰るとは言ってない)」
「じゃあ僕はお役にたてると思うんだけど」
「あぁ?」
「いやさ、今あなたを拘束しているこの術式を、そのちちごりらさんにかければ触りたい放題ということになるけど?」
「今唐突にあなた様への崇拝の心が芽生えました。これまでの不敬な態度をお許しください〈道化師〉大明神様。卑しい下僕たるわたくしめはあなた様の仰せに従います」
「お、おう……」
「そして聖なる供物たる乳ゴリラですが、今現在わたくしめの懐にて暖めておりますれば、取り出す許可を頂ければこれ幸い」
「懐に? どういうこと?」
「あのーなんかロリコンのよくわからん不思議パゥアーで乳ゴリラが札に変わってる感じでございます。この札を手に取って念じながら一振りすればあら不思議!!!! とれたてぴちぴち新鮮な乳ゴリラがこの場に現れるというスンポーでございます!!!!」
「あ……うん、じゃ僕が取り出すから」
「あ゛ぁ゛ん!? テメーふざけんなよ何が悲しくて男なんかに体まさぐられなきゃなんねんだボケコラカスコラ殺すぞ」
「どうしよう……この人すごくめんどくさい……」

 〈道化師〉は頭痛をこらえながら烈火に歩み寄った。

「やめて!!!! 私に乱暴する気でしょ!!!! BL本みたいに!!!! BL本みたいに!!!!」
「いや、あなたに拒否権ないんで」
「アッー!!!!」

 問答無用で懐に手を突っ込み、札を取り出した。不思議な紋様が書き込まれている。

「あの、なんか微妙に汗臭いんだけどこれ……」
「馬鹿おめーマーキングだよマーキング!!!! これは俺のパイオツだと匂い付けしてんだよ!!!! ……あれ? いまテキトーに思いついた感じだけどそれわりと興奮するなオイ!!!!」
「で、これを振ればちちごりらさん出てくるの?」
「手首利かせる感じでな!!!!」

 振った。
 目の前に現れた。
 青紫色の髪を後ろでまとめた、凛々しく見目麗しい女騎士が。
 彼女はすでに魔導甲冑を着装しており、
 目元も険しく心機臨戦しており、
 長大なるハルバードをすでに構えており

「せいっ!」

 みぞおちに衝撃が走り、肺から空気が押し出される。
 思わず俯いた後頭部に硬い衝撃が走り、意識が頭蓋から叩き出された。

 ●

「ちょっとおおおおおおおおおおお!!!! なにやってんだテメー!!!!」
「いや、何って、事前にそう打ち合わせていたじゃないか。札から出た瞬間、目の前にいた奴を攻撃すると」
「へ!? あ!!! お、おう……そ、そうだよ!!!! よくやった!!!! よくやったぞ乳ゴリラ!!!! 褒美として乳を揉んでやろう!!!!」
「寄るな馬鹿」

 股間をハルバードの石突が打ち抜いた。

「しかし……この少年、戦士ではないな」

 リーネは、意識を失った〈道化師〉を仰向けに横たえた。

「うぐぐ……あんだって?」
「想像を絶する力こそ持っているが、その本性は戦いに生きる者ではないと思う。奇襲に対して反応が鈍すぎた。常在戦場の心構えなど持っていなかったのだろう」
「んあー」
「いったい何者なのか……帝国魔導八芒大系マギ・オクトグラムではまったく説明のつかない能力だな。帝国成立以前の土着呪術の伝承者なのだろうか……」
「おー」
「ただ、理論化されていない魔法は、人族にとっては危険なものだ。帝国内部ではそういった異端術式は厳しく規制されている。かと言って、帝国の支配が及んでいない未開の地の者にも見えないな」
「ところで気の強い女はアナルが弱いと聞くが、マジなんか?」
「ちょっと小難しい話をはじめたとたん下ネタに走るのやめろばかーっ!!」

 ともかく、手足をふんじばって口に枝を噛ませ、連行することにした。
 と、そこでリーネは、烈火の脇腹の負傷に気づく。

「ちょ、ちょっと待てレッカ!! その傷……!」

 思わず口元を抑えるリーネ。深々としたその切り傷は、肋骨を露出させていた。

【続く】

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