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#171_【対馬旅行】海と山から城攻め

地域活性化センター さんが発行している月刊「地域づくり」8月号に、「日本遺産の魅力による地域活性化」という特集記事がありました。

日本遺産は現在104件あるそうで、対馬に関係するテーマですと「国境の島 壱岐・対馬・五島 ~古代からの架け橋~」があります。

記事の中では、対馬の中央部に位置し、シーカヤックのフィールドとして知られる浅茅湾(あそうわん)で、リアス海岸が広がる風光明媚な景色と、金田城の石垣をはじめ日本の最前線であり続けてきた歴史の痕跡が楽しめることが紹介されています。

【浅茅湾内から見る名所のひとつ、鋸割岩(のこわきいわ)です(左)。右が城山です。】

弊社のnoteで、最近金田城や近代化遺産について書いておりますが、この記事の内容に補足していく感じで、金田城の魅力を紹介していきたいと思います。


歴史観光とアウトドア

観光コンテンツの中で「歴史観光」と「アウトドア」というジャンルが確立しており、対馬島内にはどちらも楽しめます。
しかし、一緒に楽しもうという発想の人はあまりいないように思います。明らかに客層が違いますし、私がすぐ思いつく範囲ですと、藪こぎをしながら軍事史跡や灯台を探検している人くらいでしょうか(好んで藪に入っていそうではないので、それも違いますかねf^_^;))。

金田城は山の中に石塁が築かれた城ですので、山歩きも楽しめますが、以前ご紹介したとおり、城戸(きど:城の入口)が浅茅湾に面しています。
波が穏やかで、初心者やお子様でも楽しみやすいので、シーカヤックを漕いで海から上陸し、当時城を守っていた防人の気持ちに思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

陸からの見所

山中の石塁

【観光パンフレットなどで紹介されます東南角石塁です。】
【断崖にも抜かりなく連なっております。】

最近金田城をガイドしていますと、石垣がお好きな方が多いという印象があります。金田城が山城だから石垣好きが集まるのかもしれません。
単純に石垣の迫力だけで比べたら、よそにも上回るものが数多あるのかもしれませんが、これらは1350年前に作られたものです。

石塁を山の中に2.2km連ねるだけでも理解不能なレベルですが、それが千年以上経った現在まで残っているということも、驚愕レベルの話です。
以前ガイドした知人は「もう十分崖やのに、そんなとこまでわざわざ石を積まんでええのに」とおっしゃっていましたが、それだけ切羽詰まっていたのでしょうか。

城戸の石垣

城戸の石垣も、石垣好きの方から絶賛されます。
金田城には3つの城戸がありますが、それぞれに特徴があります。
どの石垣も、人間の背丈を超える高さがありますが、石の形や積み方は三者三様でそれぞれ特徴があります。

【大吉戸神社から上がるとそびえている一ノ城戸です。】
【劇場のような二ノ城戸です。】
【高さ約6.7mあります三ノ城戸です。】

そして、水を抜く水門も見られます。
1350年前に築いたにもかかわらず、技術の高さが窺えます。

【一ノ城戸の水抜きです。】
【三ノ城戸の水抜きです。】

補足しますと、石をすき間なく積んでしまうと、雨などで大量の水を含んだ内側の土が外に膨張しようとし石垣が壊れる原因になります。そのために、排水の仕組みを作っておくわけです。
ちなみに、その原理で石垣が壊れた状態を「はらみ出し」といいます。

【「はらみ出し」してしまった石塁です。】

金田城は、日本と友好的な関係にあった百済の滅亡をきっかけに築かれていますので、一説には亡命した渡来人が技術を伝えたという話もあります。単純に石垣を眺めているだけでも、積み重ねられてきた時の重みを感じますが、技術の面でも優れた面を見ることができる、それが金田城の素晴らしいところだと思います。国の特別史跡に指定されるだけのことはあります。

山からの景色

そして、対馬の山をガイドしてますと「山登りしながら海の景色が見えるって、すごく貴重でいいんですよ」という感想をいただきます。

【山頂からの景色です。カヤックは、城山(手前)と点在する島の間を左右に通ります。】
【城山から見る鋸割岩です。】

対馬は山だらけの島ですし、東西は18kmしかありませんから、高いところに行けば海が見えるというのはあまり珍しくありませんが、たしかに関東でハイキングに行き、山頂から海が見えたという経験はありません(ただ、横浜や横須賀の丘陵地はエグいので、あれは山登りレベルという話もありますがf^_^;))。

しかも、金田城では、一ノ城戸から大木戸神社に降りると海に出られます。山に登っているのに海に出られる、これはなかなかできない体験ではないでしょうか。

【海路だと、鋸割岩と城山の間を抜けたところにある大吉戸神社です。】

海からの見所

清水山城でも同じことが言えますが、海から上陸しようとしたときに、こんな石垣が見えてきたら、威圧感がハンパないですよね。戦意を喪失させる石垣だと思います。
シーカヤックの体験コースの中には、海から石塁を見て、カヤックを下船して上陸できるコースもあります。

【海から見る石塁です。】
【海からの大吉戸神社です。】

予定の立て方

私は観光ガイドですので、ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、もしお時間に余裕があり、お城をたっぷり楽しみたければ、トレッキング(軽登山)とカヤックを別の日に予定しておくことをおすすめします。
強風が浅茅湾に吹き込みますと、カヤックで海に出られない場合があります。それでも、日程を分けておけば、山と海へ行く日を入れ替えることで、両方体験できる確率は上がります。
天候との駆け引きでもありますが 、このようにしておくことで、リスクヘッジができます。

もちろん1日を朝から晩までフルに使えば、海山からの制覇も可能です。
ご予定にあわせて、最適な行程をご提案いたしますので、お気軽にご相談くださいo(^-^)。
※冬は日没が早いため、行程の一部に条件を付けさせていただくことがございます。予めご了承ください。

一例として、モデルコースをご紹介します。

金田城一周トレッキングはこちらから。

シーカヤックとトレッキングをまとめて楽しみたい方はこちらから。

厳原の清水山城と一緒にトレッキングを楽しみたい方向けのコースもあります。

よろしくお願いしますm(_ _)m。

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