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【26話】嘘の匂いーー元カノの結婚は偽装かもしれない

3ヶ月のハンガリー生活からアメリカに帰ってきた。またいつもの暮らしが戻るかに見えたが甘かった。彼がハンガリーの家のキーを元カノに返してくると言った。嫌な気がしたけどもちろん「ダメ」とは言えない。元カノはずっと私たちが住む家の近所に住んでいる。それ自体が気持ち悪い。

元カノが両親をアメリカに呼ぶ為に私たちに「ハウススワップ」(家交換)を提案し、お互いの目的を果たしたのは事実。「キーを返すだけ?まさか食事とか一緒にしないよね?」と聞いた。「もちろんしないよ。相手は結婚してるんだよ」。彼女に会うのは今回だけ、鍵を返す為だけという条件で、夫が元カノと会うのを許した。

やっぱりしっくりいかないーー彼女の結婚は偽装なのでは? 2年前、本当に愛する人(私の夫)と別れて一年以内に他の人と結婚できるものだろうか? しかもいつまでも忘れられずに電話をかけてきていたのに。

でもそんな簡単に会えるなら、それまでも会ってたのでは? という思いが込み上げてきた。「あれ、、、そう言えば今回鍵を返すと言ったけど、その前に鍵を取りに行くとは私に言っていなかった」疑問が疑いに変わっていく。

彼女の情報は隣に住むP氏からいくらでも入ってくる。P氏とは、夫の友人であり、元カノが(ハンガリーから年に2回)この家に訪れる度に4人で遊んでたという。P氏はハンガリアンアメリカン、奥さんもハンガリー人という事もあり、英語とハンガリー語で会話をしていた。彼女は子供も連れて短期滞在する事もあったと聞いている。

私もこの家に引っ越しをしてからすぐP氏と仲良くなったが、ある日P氏は元カノの話を始め、「彼女は(私の夫と)別れてから悲しみに打ちひしがれていた」と言っていた。私の前でそんな事を言う?と信じられないかった。私の心も傷ついた。

でも結局彼女は、それからすぐオンラインで見つけた同じ街、バークレーに住むアメリカ人と結婚している。偶然にもわずか5分くらいで行けるくらいの生活圏内の男性を選ぶなんておかしすぎる。疑い出したらキリがないほど、不思議な事が思い浮かんだ。

彼女が私達の家に両親といた時、いったいどんな心境で壁に飾ってある私たちのウェディング写真を見ていたのだろうと考えると、全く彼女が切り出したオファーを理解できない。でも、両親のアメリカ訪問を理由に、彼とのコンタクトを再開させる作戦だったのかもしれない。

そしてリベンジの舞台裏には共犯者も居た。P氏だ。彼の方には逐一情報が入っている。そして彼女は彼を味方に付けて結局は私たちを引き離す狙いがあったように思う。

あの旅行から彼が嘘をついている気がしていた。

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