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【土曜ドラマ】Shrink シュリンクをみました

昨夜、22時からNHK総合で放映された、

【土曜ドラマ】Shrink シュリンク―精神科医ヨワイ―(2)双極症

を観た。

精神疾患の中でも珍しく双極症、すなわち双極性障害が題材に取り上げられていたからではあるが、監修に携わったこの業界では有名な男性医師が、どのようなものを見せるのか「監視」するのが目的だった。当然、あまり良い意味ではない。この医師は人気があるので多くの方からお叱りを受けそうだが、このように表現するには理由がある。一つは彼が双極性障害を研究対象に選んだ理由を訊かれた際、「精神疾患の中では器質的側面が強いようなので、科学的解析で結果が速やかに出そうだと予想した」と発言している点。
二点目は、かつて双極性II型障害について、

以前、躁うつ病と呼ばれた病気は、ほぼ双極Ⅰ型障害に相当すると考えて良いでしょう。双極Ⅱ型障害は、ほとんど躁うつ病に近い場合もありますが、うつ病やパーソナリティーの問題に近い場合もあり、現状では、少々輪郭のはっきりしない病名です。

出典は敢えて書きません

と発言していた点である。何となく、モヤっとする物言いではないか。

役者さんの双極症I型障害の演技はよくできていたように思う。事前のメイキングの回では丁寧に指導する彼の姿が映されていた。

ただ、僕がコピペと揶揄する台詞が予想通り丸々入っていた。

最近はかなりブレてきているが、元来の目的は上の内容を伝えるのが僕がnoteを書くきっかけだったので、一読いただけたら幸いである。読むのが億劫な方のために要約すると、以下のようになる。
いたるところに書かれている「双極性障害は治療法が確立した病気で、高血圧や糖尿病のように治療をしながら普通の生活をすることも可能なんですよ」という文言への否定的見解。

もう聞き飽きた。こんなことは、双極性障害の本や、どのクリニックのHPを見ても一字一句変わらないことが必ず書いてある。そして僕を含め、服薬しても普通の生活に戻れない人たちはどうすれば良いのか。確かに「も可能」と書いてあるだけで、全ての人とは書いてない。しかし、印象操作としては充分だと思う。

この番組、誰のために制作されたのだろうと思う。周囲に双極性障害の患者がいなければ関心が無くて見ないだろうし(出演者に興味があれば別)、当事者にとっては基礎中の基礎であらためて知るべき事柄は無かった。僕のように「また変なこと広めてないだろうな」と、そもそもが否定的にみる者もいる。間違ってみてしまった人には、「なんだ、薬飲めば何とかなるんじゃん」という印象しか与えないだろう。

「躁状態は自分では気付きにくいので、周囲の方が支えてあげてください」、がやたらと強調されていたのが印象に残った。これを「普通の生活」と呼んで良いのか、安易にこう言ったことを書く精神科医たちを問い詰めてみたい。「人という字は、お互い支え合って(以下、略)」って、金八先生か! 観たことないけど。

そして最も良くないのは、自殺率が飛び抜けて高いことで有名な精神疾患であるにも関わらず、「最悪、自殺に至る可能性もあります」程度にしかその危険性について伝えていないこと。当事者が苛まれる希死念慮、自殺企図にまつわる苦痛ついては全く触れていないこと。

当事者役はラーメン屋の雇われ店長なのだが、終盤に運営企業から解雇通告書を受け取り、その書類を食卓に置いたまま失踪する。後に帰宅した妹がその書類を見て愕然とする背後ではベランダへの戸が空いており、カーテンが揺れている(最近、
自信が無くなってきた。こんなシーンがあった気がする程度でお願いします)。当事者もしくはその近くにいるものはその意味に気付くだろうが、それ以外の人たちにどれだけ伝わっただろうか? 

「障害を受け入れて、今後は頑張らない生き方を模索する」が最終的な結論だったように思う。それを自らが許せるなら、そして社会から許されるなら良いね、と思った次第である。




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