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姿を消せないチェシャ猫は、余所の縄張りを彷徨くただの猫でしかない

『不思議の国のアリス』のキャラ、チェシャ猫はどこにでも現れ、そしてニヤニヤ笑いを残して消える。

中学生1年生の時いじめの対象にされた僕は、バンドに誘ってくれた転校生のおかげでその身分から解放された。その後は、どこのグループにも所属せず、フリーの道を選んだ。そんな一歩引いた視点で見ると、次にターゲットになりそうなクラスメイトは明白だった。そして次の悲劇を未然に防ぐよう、休み時間になると特に用も無いのに話し掛けたりしてその子の傍らで過ごした。別に善意からという訳ではない。単に嫌なものを見たくなかっただけである。

いじめとは残念ながら、相手を肉体的・精神的に傷つけ、自らの威力を周囲に示したい、という明確な意志のもとに行われる行為である。いじめた側は覚えていない、と言われているが、その時点では意識的、無意識的どちらであれ、その行為を渇望している。

未遂者らからターゲットを取り上げて回るのは彼らの身勝手な欲求不満を抑圧させるのと同義であり、少なからず危険を伴う。僕はどこにでも現れるが、消えることは出来ない。希薄ではあるものの、複数のクラスに渡る広範囲な人脈を作り上げ、常に相互監視を行うシステムを構築するのが課題だった。
重ねて言うが、善意からではない。見たく無いものを見ないための予防策である。

どの程度の効果があったのは比較対照実験が出来ないので測ることは出来ないが、僕が快適に生活できるくらいには駆逐できたのでは無いかと自負している。

西尾維新 著の『物語シリーズ』の主要登場人物、羽川 翼は理想的な「委員長キャラ」である。とにかく頭が良い天才少女なのだが、その決め台詞が、
『なんでもは知らないわ。知っていることだけ』、である。
彼女は卒業後、国際平和活動に努め、
地球上から次々と『国境を消して行く』。

単なる「メサイアコンプレックス」と呼んでくれていいよ。



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