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03号編集日記 0928-1004

11月販売予定の「ベレー帽とカメラと引用」03号の製作・編集・進行具合などをメモした日記です。毎週日曜日に更新する予定です。

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ポストカードのイラストに英語の文面を添えたい、それをどうしたらという問題が生じた。(中略)「バスルームで~」は、おそらくポール・サイモンの「50 Ways to Leave Your Lover」をふまえているので「100 Ways to Cut Your Hair」でどうか。単に「Haircut100」では芸がなさすぎる。

(中略)分かる人にはわかる感じだが、ひねりすぎて誰にも通じないかもしれない。他にも「分かる人には分かる」要素がイラストの中にあるのだが、それは自力で見つけてもらうしかない。


 先日注文した「あっちの豚 こっちの豚」が届く。FG時代の二人の愛読書が載っているページがPinterestにあった。


11月22日の文学フリマ東京で03号を売るとして、取り置き予約を受け付けるのも良いかもしれない。

11月1~10日までに早めに予約した方=一冊600円で販売

11月11~20日までに予約した方=一冊700円で販売

11月22日以降=800円で販売

12月以降のネット販売=800円(+送料)

こんな感じ。

01-03号をまとめて購入の方はセットで2000円(当日直売のみ)。これも予約してもらわないといけない。


ポストカードのイラストの件、描きにくそうだったので代案を示すうちにLINEのやり取りでは間に合わなくなってきて、通話で相談する。「ポーズをこうしたら」という案がうまくまとまって、いかにもそれらしい雰囲気がアップした。よかったよかった。


0929

とりあえず03号まで出したら、自分の書いた部分だけをまとめて総集編として一冊にしようと計画していたのだが、それより先に04号でやりたいことがいくつか出てきた。早くても半年先~一年後くらい。

・古い雑誌記事(FGが出ていたもの)の紹介。これはnoteに少しずつ書いて、後で20~30回分くらいをまとめてもよい。50回くらいは毎週書けそうな気がするし、週に一回ペースの更新に慣れてきた。

タイトルは「FGの載っていた雑誌記事探訪」「雑誌を求めて」。もっとレトロな感じで「雑誌ぶらぶら歩き」。これだと印象が薄いので「パーフリを求めて……」。

自分は最初の頃「フリギ」と略していたので「フリギと呼ぶやつはフリギと呼ぶやつを殺さない」というのはどうか。

・「カメラ・トーク」のロンドン・レコーディングに関して。これはぜひ書きたい。

・「普通の人の音楽遍歴」の次の回。そのまた次の回も。

この3つはできそう。ゆっくり時間をかけて書くべき。

 

イラストの件、午前10時頃にまたラインで絵を送ってもらった。ポーズに関して意見が食い違う。また提案して「確か草刈正雄がこういう感じのポーズをしていたはず」と書くが、よく調べてみたら「関白宣言」のさだまさしだった。このポーズのイメージと「カメラ!カメラ!カメラ!」のジャケットの上半分で説明できる。

 

「あっちの豚こっちの豚」を読む。広瀬某の作品とばかり思っていたら、その母親の佐野洋子の童話、というより大人向けの寓話だった。クライマックスで写真が出てくるところなど、怖いし悲しい、やるせない、そして虚しい。ある種のニヒリストの眼に、社会や家庭や他人や人生がどう映るかが、普通の読者にスッと伝わってくる。これをおそらく絵本で読んで、愛読書として選ぶセンスはさすがFGの頃の小山田圭吾である。

本作は小沢健二ファンにもお勧めできる。なぜかというと、どこかディックを思わせる節があるので(ソロになってからの吉本ばななとの対談でP.K.ディックが好きだという発言があったはず)。

ディックの長編「アンドロイドは~」を原作とする映画「ブレードランナー」には本作と対照的な形で(アイデンティティの拠り所としての)××が出てくる。

佐野洋子はディックを読んでいたのかどうか?となると、やや疑問に思う。時期的に考えると映画(1982公開)に触発されてこの童話を書いた(1987出版)可能性はある。

泥臭いリアリズムにこだわり、一律に空想的な童話やSFは子供だましのもの、と考えたがる種類の人には理解できない形で「リアル」「人生」「人間」を裏側から鋭く描いている。この件は興味深いので、03号のどこかに詳述したい。

 

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「FG年表を作る」という企画を思い出した。解散後の雑誌で見たような気もする。自分はデータを整理したり管理したりといった作業には魅力を感じないが、ネットでわかる範囲の日時をまとめただけでも簡易版は作成できる。90年のある一時期だけに絞った方が良いかもしれない。

 

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某さんから連絡あり「普通の人の音楽遍歴」はもう少しで書き終えるとのこと。

 

自分は概ね書くことが固まっているので、材料が山のようにあって、あとは料理するだけという状態。大量のメモや下書きを整理して清書して、一日4ページ分くらいで、10日か半月で大体のところ(70%)は完成させないといけない。考えたことの山が、雪崩になって自分を流してしまいそう。小見出しをつけた方が自分でも把握しやすいので、そういう方向から考えてみる。

 

メンバーが五人だった頃の宣伝用ポストカードを、さるルートから入手した。「Young,Alive,in Love」というフレーズが使われており、2ndの製作より前からあったのだと分かる。

 

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01号と02号をセット販売するためのポストカードが完成した。色がつくと実に美しいので、オレンジ色の配色の異なる2枚をつけることにする。

いま現在、バラで買うと、

01号(800円)+送料300円=1100円

02号(800円)+送料300円=1100円

合計で2200円になってしまう。

 

セットだと、

01号と02号(あわせて1400円とする)+送料(300円すえおき)に、おまけのポストカード二枚(無料)がついて、

合計で1700円。

 

ポストカードのイラストは、02号の「普通の人の音楽遍歴」に登場していただいたMaki Ayumi様によるもの。

イラストがもったいないので、オレンジ色の配色パターン違いの二枚をつける。うーん、これはお得。

 https://k-a-b9.wixsite.com/maki-ayumi



 「あっちの豚 こっちの豚」は子供の視点から読むと「田舎-都会」「未開-文明」というより「子供‐大人」という対立軸に見えるのでは、と今になって気がついた。

子供がある日、突然「大人の世界」に組み入れられてしまった悪夢的な物語として整理した方が分かりやすいし、しかも読後は「子供から大人になるための準備をしっかりしましょう」という教訓に結び付けやすい。しかしその解釈だとやはり、どこか割り切れない余りが出てしまう。

 

「さようなら、パステルズ・バッジ」に出てくる「ジェームズ・カーク」は最初、「スター・トレック」でスポック博士を演じている俳優だと思いこんでいた。そういう誤読も記録しておきたい。今だって単に「ジェームズ・カーク」で検索するだけなら、映画版のスポック博士関連の情報ばかりになっている。

 

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イーサン・ケイニンの他の短編には、ちゃんと「親友」「妻」などが出てきた。

 

ディックの作風の説明をするのに、「現実」ではなくて「アイデンティティ」の崩壊に絞った方が分かりやすい気がしてきた。個人的には「ドラえもん」の石ころぼうしとか、「転校生」とか、ムーミンが変な姿になってしまうエピソードだとか、「フェイス/オフ」だとか、そういう系列の物語の話をしたい。興味のある方は「ブレードランナー アイデンティティ」で検索してみて下さい。

 

1003

「ドゥーワッチャライク」の概観でなく「総解説」みたいな文章を書くとしたら、03号ではなくて04号でやるべきか。少し迷いが生じてきた。03号で前編、04号で後編と分けた方が良いかもしれない。いや、解説というよりは手軽で簡便な「おすすめポイント」のまとめを書きたい。

 

 「走る僕ら、回るカメラ、もっと素直に僕が喋れるなら」と「ラ」音で脚韻を踏んでいる箇所を丸谷才一の「ラの研究」に絡めて喋ったのを急に思い出した。二つの視点(音韻論と性的象徴性)を結び付けて、そうすることで〆ていたのだった。ほぼ忘れていた。

「ラの研究」はエッセー集「青い雨傘」に入っていて、今は文春文庫の「腹を抱える」というベスト盤的な本にも入っている。

 

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