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IoT初心者が取り組んだ10ステップ

データセンターの運用品質の向上を目指し初めてIoTに取り組んだお話をしたいと思います。

IoTの完成まで15ヶ月と時間はかかりましたが、10ステップに取り組み学ぶことができましたので紹介します。

私は、データセンタ技術本部の岩川と言います。

データセンターの運用管理に携わり、IT機器や通信、電気、空調、弊社のデータセンターに入館されるお客様の対応など、安全安心や品質向上を目指し日々取り組んでいます!

特に、IT機器の冷却に多くの電力を使う空調設備の省エネに注力し、弊社の技術ブログ『 Tower of Engineers 』の「サーバ室や電算室における空調の効率向上の考え方①【室内機の送風機編」と題し、冷風のコントロールで電力低減する考えを記載していますので、こちらも後でご覧ください。

今回は建物設備のファシリティではなく、弊社のデータセンターに入館されるお客様と、弊社スタッフが接する受付業務にIoTを取り入れた内容をご紹介します。

1. ルーティン作業は IoT にまかせよう!

弊社のデータセンター(西梅田サイト)の受付において、スタッフの現場業務が複数重なるなど受付が不在になる場合がありました。

その際には、『 只今 受付担当者が不在にしております。タッチパネルからお呼び出し下さい 』 と書かれた卓上案内板を、そのたびに設置していました。

卓上案内板

そこで、思いつきました!

卓上案内板をモニターにして、スタッフやお客様を人感センサーで把握しよう!!!


2. 付加価値を付け足そう!

IoTは、皆様ご存知「 Internet of Things 」の略です。

インターネットを活用し、お客様やスタッフが有益な情報を得たり、利便性を感じてもらえるように付加価値を付け足していきます。

朝のデータセンター入館時、受付近くのモニターで【 夕方 】【 翌朝 】の天気予報が見れたらいいなと思いました。

『 指定時間の天気予報をモニター表示 』


データセンターの受付にお客様がいらっしゃらない時は、モニターOFFにする制御で省エネしたいなと思いました。

『 人感センサーでモニター電源ON/OFF 』


インターネットは関係ありませんが、、、
1~2ヶ月先に計画されているデータセンターの設備点検日程は、お客様にメール等にてお伝えしていますが、実際にデータセンターに入館されるお客様へモニターで通知しようと思いました。

『 設備点検の情報をスライドショーでモニター表示 』


3. Raspberry Piを知ろう!

IoTの構築方法を調べていくと、たどり着くのはRaspberry Pi(ラズベリーパイ)という部材。
各種センサーを接続でき、性能は劣るがデスクトップPCにもなります。

おいしそうな名前ですが、かなり強敵!
後で説明しますがプログラミング言語必要だからです。

Wikipediaによれば、イギリスのラズベリーパイ財団によって開発され、売上台数は2017年以降から急激に伸びて累計4,000万台(2021年5月時点)とのこと。

今も世界的に、IoTが注目されています!

Raspberry Pi3 Model B+(奥側のピンがセンサー接続部)


その他、類似品としてArduino(アルディーノ)というマイコンボードがありますが、複数の処理を同時に行うことや外部通信は苦手です。

今回は、【 人感センサー:3個 】【 カメラ:1台】【 モニターの電源ON/OFFリレー 】を複数処理に加え、外部通信(クラウド)への接続も必要になるため、私はRaspberry Piを選びました。

Raspberry Piには、いくつか種類があります。

現在、2021年10月時点の最新モデルはRaspberry Pi4 Model B(2019年6月発売)ですが、私はネット上に多数の事例紹介がある1つ前のモデル、Raspberry Pi3 Model B+(2018年3月発売)を採用しました。


4. プログラミング言語を習得しよう!

最も時間を要した部分です(汗)

プログラミング言語は大学で学んでいた時から苦手意識はありましたが、そんな過去を覆すほどIoTに魅力を感じ、早速 『 プログラミング言語Python 』の勉強を開始しました。

web講座や書籍、YouTubeで基本文法を学習。
徐々にIoTのプログラム事例(人感センサー制御、電源ON/OFFリレー制御、カメラ撮影、クラウドへデータ送受信、顔認識)を習得していきました。


5. 天気予報を取得しよう!

モニター画面の下部(写真緑枠内)に天気予報を投影。

イギリスの会社「OpenWeatherMaP」が無料提供するサービスを利用し、天気マーク(アイコン)はフリー素材を使い、画面に収まるように縮小加工してます。

モニター画面:天気予報(時刻・天気マーク・温度・降水量)を表示


6. Googleスプレッドシートへ自動記入させよう!

データセンター入館の日時記録するため、人感センサーの検知をスプレッドシートに自動入力させました。

スプレッドシートへの記入状況


7.リアルタイムで顔を識別させよう!

データセンター受付入口にRaspberry Pi用カメラを設置し、弊社スタッフが入館した際には必要のない、データセンターのメンテナンス情報などを表示しているモニターを自動ON/OFFできるようにしてみました。

データセンター入館者の顔を正面から検出し、その画像をクラウド上に保存している弊社スタッフ達の顔写真を照合します。
一致すればモニターの電源がOFFになり、一致しなければ電源がONになるように制御しました。


8. 人感センサーを知ろう!

人体から出る赤外線を感知して制御しています。
注意するところは、弊社スタッフがデスクに座った状態など、赤外線に変化(人の動き)がなければ感知が難しいという点です。

そこで、高感度であるパナソニック製の「焦電型赤外線人感センサ EKMC(VZ)シリーズ」を検証したところ、比較的スムーズな結果が得られたのでこれを採用し、座席のあるスタッフルームに設置しました。

また、受付入口の人感センサーは、明らかに人の動きとなる歩行者を感知するため、Raspberry Piでよく使われる安価なセンサーを採用しました。

左:受付入口の人感センサー   右:焦電型赤外線人感センサーEKMC(VZ)


9. 電源ON/OFF制御するリレーを制作しよう!

AC100Vの電源ON/OFF制御を、制御電圧DC3~9Vで動作させることができる半導体リレーキットを使用しました。
このキットは、抵抗やサージ吸収素子などの電子部品を、専用基板にはんだ付けをする必要があります。

中学生以来の難しい作業でした(笑)

半導体リレーキット組み立て後


10. Raspberry Piと人感センサーを接続するケーブルを選定しよう!

人感センサーは、データセンター受付入口と受付対応ルーム、スタッフルームの3箇所に設置しました。
Raspberry Pi本体とカメラは、受付入口にある顔検温器兼手消毒のスタンドに設置しています。

Raspberry Piと人感センサーとの距離は5~10m。入力電圧5Vを維持するため、電圧降下を考慮し太いケーブル(0.6㎜)を使用しています

人感センサー・カメラ・モニターの配置状況

実際の運用中のセンサーはこんな感じになってます。

人感①:データセンター受付入口センサー(床に設置)
人感②:受付ルームの人感センサー(机の下に設置)
人感③:スタッフルームの人感センサー(棚の上に設置)
受付モニターの設置状況
RaspberryPi用のカメラ(赤枠)を顔検温スタンドに設置

当初考えていた下記3項目についてはIoTを利用することによって達成することができました。

・指定時間の天気予報をモニター表示
・人感センサーでモニター電源ON/OFF
・設備点検の情報をスライドショーでモニター表示

今回ご紹介させていただいたのは、ほんの一例です。
まだまだ無限の可能性を秘めているIoT。より良い環境を模索しながら、今後、更なる高みを目指していきます!!

また、データセンターをご検討頂いている方いましたら、弊社データセンター(西梅田サイト)はご見学いただくこともできますので、その際にはご紹介させていただきましたIoT(センサー)についても、ご覧いただければと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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