【読書感想文】0メートルの旅 著:岡田悠

#読みたいことを書けばいい の編集もされている今野良介さんが全力で作ったとおっしゃっていた本なので、これは読まねばならないなと感じました。

タイトルで大まかな内容が推察されるわけですが、それでもなおスイスイ読めました。

この面白さの1つは、岡田さんの「日常から離れたい」という情動がパねぇこと。南極に行ってみたいと思う気持ちは自分にもありますが、それを行動に移すことが凄い。自分だったら、移動だけでこんなに日数かかるのか、とか、色々考えてやめてしまうところを、そんなこと意に介さず実行する。そのスピード感が凄い。誤解を恐れずに申し上げれば、「狂っている」w

自分との違いは、未知なるものへの不安・恐怖が著しく小さく、興味・好奇心が著しく大きい人なのだろうなぁ、と感じました。

そんな岡田さんが、南極から自宅まで旅をした過程で、「へぇ、そうなんだ」と思ったことが書かれていて、読んでいる自分も、「へぇ、そうなんだ」と追体験できたことのように思います。添乗員付きのツアーのような、決められたレールの上を歩いたのでは体験できないことを知ることができます。

また、文章のリズムが良く、自虐ネタやギャグがほどよく散りばめられていて、ときにクスリと、ときに爆笑しながら、追体験しました。電車の中とかで読まなくてよかった。あっぶね。

「ここ踏み込んだら、もう戻ってこれないかもな・・・」と日常から飛び出すことを恐れる気持ちを抱くことがあります。でも、岡田さんはお構いなしに引き剥がしていくから、小さな事でも、自分の日常を引き剥がしてみたくなる。

子どもの頃のエピソードも、ふむふむ、そうだったなぁと感じました。畑の通路を通り抜けていつもは行かない場所に行ったり、自転車で隣の市に行ったり、繰り返しながら自分の世界を広げてきたんだよな、と。でも、そのためには、小さな感動に気づくことが大事だなと。「あそこに何があるんだろう?」「この道は何時代からあるのだろう?」みたいな、なんでだろう体操(©テツandトモ)を踊り続けることが必要だなと。息子を観ながら、感動している瞬間を逃さず、思いきり体験させてやりたいな、などと。

また、紙質や微妙なフォントの違いも楽しかった。

さて、朝ランに行って、いつもと違う道に行ってみよう。そして、氏神様に2021年は、旅がしやすくなっているといいなという願いをする。

岡田さん、今野さん、関係者の皆様、ありがとうございました。


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