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楽しい音楽LIVE授業のつくり方

 教材研究もなしに音楽授業に飛び込むとき、とりあえず間に合わせでなんとかする他ない。子供を知らなくても、音楽的な才能はなくても、ピアノが弾けなくても、担任でなくても、統率は取れなくても、それなりに楽しくする方法はある。
 要は、子供が授業を楽しいと感じるかどうか。またやりたいと思うかどうか。それだけだ。成果を出せるかどうかは、その技術・方法を知っているか、知らないかの違い。むしろ、そのライブ型の授業イメージを体験しているかどうかが、子供が「夢中になる授業」の扉を開ける「鍵」となる。
 まず、これから音楽の授業をやろうと思うなら、好きなアーティストやパフォーマーのライブに行くことをおすすめする。

 想像してみてほしい。ライブ会場に行って、
「姿勢を正してください。これからコンサートを始めます。」
とご挨拶をするだろうか。そんなワクワクしないコンサートにそもそも人が集まるだろうか。
 例えば、盛り上がるライブの演出イメージはこうだ。
 ざわつく会場に、さあ始まるよと予告を告げるような音楽が流れ、次第に興奮が高まり、スポットライトが当たった先に、お目当てのパフォーマーがオープニングテーマとともに現れ、ワー!っと歓声が巻き起こる。

 こうした盛り上がる授業のイメージを叶えるには、既知の授業の進め方は捨て去る覚悟がいる。
 私がライブ型の音楽授業に出会ったのはセミナー会場だった。高額な費用を払ってセミナー会場に出かけていき、(当然旅費も持ち出し)、お目当ての音楽の実践家の模擬授業というよりライブに参加した。
 そのリズムとテンポの良い授業芸に、鳥肌が立った。その授業者がいうには、「大学のコンパ」。
 もちろん音楽的なセンスはお持ちなのだろうが、そうした高貴さを感じない。誰でも簡単に音楽を楽しめる雰囲気づくりが、先生の言葉の技術・技能の中に隠されている。

参考:『“コマとパーツ”で音楽授業をこう組み立てる』(飯田 清美氏)

 このLIVE型授業を導入してからは、週2回の音楽が「待ち遠しい!」と言われるほど楽しい授業ができるようになった。

 震災復興支援で勤めた学校で補欠に入った折は、
「あんな面白い音楽の授業は初めて受けた!」
と同僚の先生を通して子供の感想をいただいた。横で聴いていた教頭先生には、
「いったい何をしたんですか?」
と驚かれた。

 管理職になって授業から遠ざかっても、突然の補欠の際は音楽を入れておいてと頼んでおけば、1時間なら何とかなる自信がついた。

 授業の構造は簡単だ。教師が選曲するだけでなく、子供が歌いたい・演奏したい曲を授業の中に散りばめる。リクエスト型の授業を創り上げるのだ。
 コンサートで知っている曲を歌手が歌ってくれると嬉しいのと同じように、子供は知っている曲、一度聴いていいなと思った曲は何度でもやりたがる。
45分授業なら、一曲3分〜5分で、7〜8曲を用意すると、アッと言う間に時間が終わる展開になる。曲を構成する順序を入れ替えて、盛り上がる場面を演出すると良い。何度かやっているとコツが掴めてくる。

<小学校3・4年生の授業の一例>

✨ソーラン節
 ニシン漁で栄えた北海道が舞台のソーラン節。よさこいソーラン祭り、南中ソーランはここから派生したもの。その地方で継承されてきた民謡には「民舞」といって歌と踊りがセットになっているものが多い。子供にあった簡単な踊りにアレンジして気軽にやってみると楽しい。

✨ゆかいに歩けば
 曲をかけると子供は自然と歩き出す。CDには模範歌唱、カラオケ、ピアノ伴奏の3つが入っている。これを活用してバリエーションを変える。1回目は歩きながら歌詞を口づさむ、2回目はカラオケに合わせて歌う。3回目は、歌と踊りのコンビネーション。3回目は、「先生の真似してね」と言い、「バルデリー、バルデラー」のところでオペラ歌手のように手振りを入れ、「バルデヨホホホ…」で面白い体の動きをするなどすると喜んで動き出す。繰り返しでは、やんちゃな子供にリーダーをやらせても良い。

✨「アルルの女」よりメヌエット
 朝の校内放送で流れるような美しい旋律。曲の中盤から、「ジャー、ジャー、ジャー、ジャーン!」と繰り返しのテーマ(サビ)が入る。曲の終盤は、再び静かなメロディになる。ポイントは、1回目が終わってから、次の質問をすること。
「この曲の”ジャー、ジャー、ジャー、ジャーン!”と盛り上がるところは、何回出てきますか?」
すると、適当なことを言うから、回答はバラバラになる。そこで、
「もう一回、聴きたい人?」
当然、聴きたいと思うから、

✨ピンクパンサーのテーマ
 曲がかかると子供は教室の隅の方に隠れる。忍足で出てきては、「先生、警察やって!」とせがむ。探偵気取りで隠れる子供を探すそぶりをするだけで面白がる。

✨無の世界
「お団子のように座って」「目を閉じます」
真似する子供は周りの様子を伺って次第にクスクスと笑うが、お構いなしで静かにしていると、だんだんシーンと静寂の中にいるのが心地よい状態になってくる。そのタイミングを見計らって、何の前触れもなく「はい!」「おしまい!」「おはよう!」と元気よく終わりを告げると、「ビックリしたー!」となる。

✨みんなでムーブ!「キタキツネ」 
 北海道の学校におすすめの曲
 コロナ禍でみんなを励まそうと札幌南高校のダンス部が振り付けを考案、シンガーソングライターのRiwhaが作曲。軽快なリズムにのって、北海道弁が入る歌詞でキタキツネのポーズをとるとハッピーになる。

https://youtu.be/0fVw7Hk2ees



アファームミー
 池江璃花子さんのお兄さんが妹を励ましたいと願い、その思いを音楽で届けたかったう〜みさんが作曲。詞には337拍子のペップトークを普及している岩崎由純さんが原案を提供。手話付きでポジティブなメッセージが子供の心に響きます。

【AFFIRM ME 自分を信じて/う~み/岩﨑由純】手話うた ペップトーク普及協会✖T-ripple 歌って踊って元気になる!心に響く!ペップアップソングhttps://www.youtube.com/watch?v=RAgHnpzMXTU


著者:授業探究ナビゲーター 荒谷卓朗(一般社団法人アタマカラダ元気会代表理事) 
https://peatix.com/event/3333930/view?fbclid=IwAR1SR6mnPFvQj5LPsliM535dwJSr0IAndmJ563UCWQGlISvj3S1ApLoHgB4&fs=e&s=cl 


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