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#R15
Call Sign:ABYSSAL-EYES【2】
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【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。
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「厭だね」
開口一番、凛と濁った声色で放たれた拒絶の意志に、一等兵は閉口せざるを得ない。
正確な座標も、正式な名称さえも伏せられた、『基地』の奥底。
鉄扉に鎖されし電算機室に座する、“濁眼の魔女”――そう称される少尉は、乱雑に、どこか稚ささえ感じさせる声音で言い放った。
その視線は一等兵の
Call Sign:ABYSSAL-EYES【3】
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【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。
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霧に乱反射する薄明の陽光を斬り裂いて、護送車列が街を行く。
赤色灯を掲げた警務用四輪駆動車の先導に続いて、数両の装輪装甲車が列をなしている。
殿軍として最後方に付いた装甲戦闘車の機関砲塔から身を乗り出して、偵察兵が周囲の状況を注視していた。
大通りを縦走するコンボイに、街行く人々は興味深げ
Call Sign:ABYSSAL-EYES【4】
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【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。
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突然の狙撃に、室内は混乱に陥っていた。
吹き込む霧の湿り気が、弾け飛んだ血肉の生臭さを伴って室内に満ちてゆく。
「ひい、ひい、ひいぃ――!」
「うぅ……くそ、何が……」
幾重にも重なる叫び声と呻き声、そして少尉だけが漏らす笑声が絡み合う狂乱にいち早く対応したのは、室内の誰でもなく、外に控えて
Call Sign:ABYSSAL-EYES【5】
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【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。
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「――少尉どのっ!」
霧の向こうに指を差し、濁った黒眼に瞋恚を宿らせて、鬼気迫る超然さで立つ少尉。
その迫力に圧されそうになりながらも、一等兵は思考を巡らせるよりなお早く、半ば体当たりするような恰好で少尉を突き倒した。
それよりも一拍遅れて、甲高く金属の擦れる音と共に、凶弾が火花を引いて空過
霧と手紙と -Miglė ir Laiška-
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【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。
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ぎゃりん、と金物を剪断する甲高い音と共に、鋭利なブレードが重量鉄骨の半ばまで食い込む。
建設中のビルヂングの頂上、仮組された鉄骨の上で、脚を縮めた白い少女の足先、ほんの僅かの距離に、暗殺ドローンが突き刺さっていた。
少女の咄嗟の対空射撃により制御を失ったドローンは、もがくように四発のローターを