Missing/踪無影勿

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  • 『性癖ドラフト』アンサーまとめ

    BHO界隈『性癖ドラフト』の指名理由に対するアンサーSSをまとめたマガジンです。

最近の記事

オーディオ初心者がゆく、イヤホンレビュー ~緊急登板1回~(音楽編)

はじめに初めましての方は初めまして、そうでない方はお世話になっております。 Missing、あるいは踪無影勿(あとなし・ような)と名乗るものです。 2ヶ月ほど前に二編18機種のイヤホンレビューを投稿した、オーディオ沼に落ちた人間ではない、オーディオ初心者です。 (以前の記事) ところで先日、気になっていたオーディオブランドである『FiiO』から、1DD+4BA構成で実売16,500円程度のイヤホンが7月12日に発売されるというリリースが発表されました。 オーディオ沼に落ち

    • 霧と手紙と -Miglė ir Laiška-

      ―*―*―*― 【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。 ―*―*―*―  ぎゃりん、と金物を剪断する甲高い音と共に、鋭利なブレードが重量鉄骨の半ばまで食い込む。  建設中のビルヂングの頂上、仮組された鉄骨の上で、脚を縮めた白い少女の足先、ほんの僅かの距離に、暗殺ドローンが突き刺さっていた。  少女の咄嗟の対空射撃により制御を失ったドローンは、もがくように四発のローターを回し続けている。 「……あぶなかった、なぁ」  ふんわりと呟く少女の腰から延びる

      • Call Sign:ABYSSAL-EYES【5】

        ―*―*―*― 【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。 ―*―*―*― 「――少尉どのっ!」  霧の向こうに指を差し、濁った黒眼に瞋恚を宿らせて、鬼気迫る超然さで立つ少尉。  その迫力に圧されそうになりながらも、一等兵は思考を巡らせるよりなお早く、半ば体当たりするような恰好で少尉を突き倒した。  それよりも一拍遅れて、甲高く金属の擦れる音と共に、凶弾が火花を引いて空過する。  八発目の弾丸は、硬質金属製の窓枠を削って横転弾となり、傾いた扉にぶち当

        • Call Sign:ABYSSAL-EYES【4】

          ―*―*―*― 【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。 ―*―*―*―  突然の狙撃に、室内は混乱に陥っていた。  吹き込む霧の湿り気が、弾け飛んだ血肉の生臭さを伴って室内に満ちてゆく。 「ひい、ひい、ひいぃ――!」 「うぅ……くそ、何が……」  幾重にも重なる叫び声と呻き声、そして少尉だけが漏らす笑声が絡み合う狂乱にいち早く対応したのは、室内の誰でもなく、外に控えていた警衛兵だった。  扉を引き開け、拳銃を抜いて室内に踊り込む一人の警衛兵。  

        オーディオ初心者がゆく、イヤホンレビュー ~緊急登板1回~(音楽編)

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        • 『性癖ドラフト』アンサーまとめ
          6本

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          Call Sign:ABYSSAL-EYES【3】

          ―*―*―*― 【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。 ―*―*―*―  霧に乱反射する薄明の陽光を斬り裂いて、護送車列が街を行く。  赤色灯を掲げた警務用四輪駆動車の先導に続いて、数両の装輪装甲車が列をなしている。  殿軍として最後方に付いた装甲戦闘車の機関砲塔から身を乗り出して、偵察兵が周囲の状況を注視していた。  大通りを縦走するコンボイに、街行く人々は興味深げに一瞥を送るが、やがてそれぞれの日常に戻ってゆく。  商店は人々で賑わい、カフェ

          Call Sign:ABYSSAL-EYES【3】

          Call Sign:ABYSSAL-EYES【2】

          ―*―*―*― 【注意】以降の展開には、暴力的な描写を含む場合があります。 ―*―*―*― 「厭だね」  開口一番、凛と濁った声色で放たれた拒絶の意志に、一等兵は閉口せざるを得ない。  正確な座標も、正式な名称さえも伏せられた、『基地』の奥底。  鉄扉に鎖されし電算機室に座する、“濁眼の魔女”――そう称される少尉は、乱雑に、どこか稚ささえ感じさせる声音で言い放った。  その視線は一等兵の側に向けられることはなく、幾重にも張り巡らされたモニタ群を注視したままだ。  少

          Call Sign:ABYSSAL-EYES【2】

          オーディオ初心者がゆく、イヤホンレビュー ~回跨ぎ2連投~(音楽編)

          はじめに初めましての方は初めまして、そうでない方はお世話になっております。 Missing、あるいは踪無影勿(あとなし・ような)と名乗るものです。 前回5月22日投稿のnoteを読んで頂いた方はありがとうございます。 さて、前回も申し上げた通り、私はオーディオ沼に落ちた人間ではないのですが、いつの間にか手元に新たに2万円級のイヤホン2機種がやってきていたので、耳がリセットされないうちに前回の補遺という形で急いでレビューを行いたいと思います。 試聴環境は前回と同じく、有線イ

          オーディオ初心者がゆく、イヤホンレビュー ~回跨ぎ2連投~(音楽編)

          オーディオ初心者がゆく、イヤホンレビュー ~炎の16連投~(音楽編)

          序文初めましての方は初めまして、そうでない方はお世話になっております。 Missing、あるいは踪無影勿(あとなし・ような)と名乗るものです。 さて私は別段オーディオ沼に落ちた人間ではありませんが、ガジェット蒐集の過程でなぜか手元に16機種ものイヤホンがずらりと並んでしまいました。 折角手元に置いているものなので、今回それらを一括レビューという形で紹介したいと思います。 もちろんオーディオ沼に落ちた人間ではないので、レビュー内容は感覚的かつ主観的で、詳細な技術的特性について

          オーディオ初心者がゆく、イヤホンレビュー ~炎の16連投~(音楽編)

          Call Sign:ABYSSAL-EYES

          ―*―*―*―  暗くくすんだ冬空に溶けるように、レドームを背負った灰色の機影が飛び去ってゆく。  低く垂れこめた雲間に消えてゆく翼端灯を見送る航空誘導員たちも、足早に格納庫へと引き上げる。  酷く冷え切った風が、ひゅるりと音を立てて、管制塔や林立する電波鉄塔の合間を吹き抜けた。  辺りには、灰色一色の無機質な低層ビルヂングが数棟連なる、殺風景を具現化したような景色が広がっている。  滑走路に灯る管制用のライト群だけが瞬く、暗く淀んだ灰色の世界。  そこは、単に『基地』と呼

          Call Sign:ABYSSAL-EYES