卵巣嚢腫体験記③〜星野源に勇気づけられた話とMRI診断結果

何かしんどい時には、すべてが終わった「その直後」を思い浮かべる。

星野源『蘇える変態』

タイトルからもお察し可能な通り、
しょうもない下ネタ満載のお源さんのエッセイ。
それでもわざわざ買って入院前日に読んだのは、二度のくも膜下出血の闘病体験が読みたかったから。
生死をさまよう程の壮絶な手術を経験したにも関わらず、次々に現れる困難を、思わずクスッと笑ってしまうような必死の変態妄想で乗り越えていく前向きな姿勢に、勇気をもらえた。

全然規模も種類も違う手術だけど、全身麻酔の感覚とか病室の雰囲気とか心の持ち方のイメトレができた。
随所に登場する鶴瓶さんやタモリさんのエピソードには胸を打たれた。長年日本のトップで人を笑わせる仕事をしてきた人達の言葉や考え方は、重みが違うと思った。

どんなことも 胸が裂けるほど苦しい
夜が来ても すべて憶えているだろ
声を上げて 飛び上がるほどに嬉しい
そんな日々が これから起こるはずだろ

星野源『フィルム』

2018/1/16

どの体勢で寝ても落ち着かず、ひどく浅い眠りで何度も起きる夜。心まで凍りそうな寒さの中、雪道に滑って転んでお腹が爆発するのではないかという恐怖に怯えつつも、通勤した数日間。

それでも、母に掃除洗濯料理買い物など身の回りのことを全てやってもらって、とても助かったし、心の支えにもなっていた。

MRIの画像データを持って、緊張しながら産婦人科へ結果を聞きに行った。
診察室に呼ばれ、自分でも初めて画像を見ると、衝撃的に大きな腫瘍が映し出されていた。

先生の話によれば、画像を見る限り、左の卵巣が30cmもの大きさに腫れ上がり、水が溜まっているため、良性の腫瘍ができているようだ。
腎臓や膀胱も圧迫されて少し腫れている。
こんなに大きくなるまで放っておくことは珍しい。
逆に言えばとにかく大きいというだけ。
放っておけばまだまだ大きくなる。
手術はもちろん必要だが、良性のようなので腹腔鏡手術という、いくつかの小さな穴を開け、カメラを入れて行う手術で済む。
ただしあまりに大きいので、腫瘍を取り出すためにある程度はお腹を切らせてもらう。
卵管から左の卵巣ごと切り離すことになるだろう。
この病院でも治療可能で、二泊三日で退院できる。

実家に帰って知り合いも通院したことのある大きな病院を紹介してもらうことも考えたが、大きな病院だと予約が取れるのが1ヶ月程度先になると言われ、一刻も早くこの病院で治療する方を選んだ。

入院日は1週間後の火曜日に決定し、術前検査もその日のうちに済ませることができた。

母が最後に慌てて看護師さんに、「赤ちゃんは産めますか？」と聞いたら、「正常な卵巣は残るので大丈夫ですよ」と言われた。

(体験記④に続く)