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ビール醸造学習記録1 - 2020.09.29

この記録の目的

ドイツ・ブレーメンの職業学校で学習したことをなるべくかみ砕いてなおかつ日本語で記録すること。あくまで個人的な記録です。

大雑把な醸造のプロセス

目次
1. 麦芽の粉砕
2. マッシング
3. 純化
4. 煮沸
5. 冷却
6. 発酵
7. 貯蔵
8. 濾過
9. 装填

1. 麦芽の粉砕

目的:麦芽の内容を取得するために、麦芽を粉砕してこじ開ける
麦芽を粉砕することによってのちの醸造過程で麦芽の持つ内容物を溶けだし易くする。
*100リットルの完全なビールにはおよそ15~18キロの麦芽が必要

2. マッシング

目的:麦芽の内容物を溶けださせる
およそ60℃~80℃(細かい区分はおそらく後から習うので、現状はこの表記で)のお湯で、麦芽に含まれるデンプン(多糖類)が麦芽糖(マルトース、二糖類)に分解される。
この工程は、下記の2つの理由で重要:
a. デンプンは不溶性で、得られた麦芽糖のみが水に溶ける為
b. 麦芽糖だけが後から酵母で発酵できる為
*マッシング、これ日本語に正確に訳すにはどんな単語がいいんでしょうか?

3. 純化(Läutern)

目的:不溶性(固形)成分と可溶性(液体)成分の分離
マッシングの後、マッシュの中にある不溶性(個形)のもの、例えばもみ殻など、この後の醸造過程に必要ないものを取り除く。純化槽(Läuterbottich) でもって固形物と液体を分離する。
*槽の構造的に底が浮くようになっており、下に液体、上に個体がたまるようになる。この辺もまだ省略されていることが多いと感じる。

4. 煮沸

目的:ホップの成分を溶かす、麦汁調整、微生物の煮沸(殺すため)、澱を凝結させる
純化槽で残った麦汁にホップを投下して60分煮込む。(ホップの投入タイミングも諸々ありますがとりあえず置いといて……。)煮沸を通して、ホップの内容成分が麦汁に苦み、香り等を付与する。また、たんぱく質の凝結や、いかなる微生物もこのタイミングで煮沸処理。
その後Whirpoolという工程(その名の通り渦を作る窯) で、麦汁を回転させることによってホップかすや凝結したたんぱく質を沈殿させ、残ったクリアな麦汁を次の工程に送る。

5. 冷却

目的:出来上がった麦汁は熱い(90℃前後)なので、酵母が死なない温度まで下げる必要がある
「熱交換装置」を使っておよそ8℃~12℃程度まで麦汁を冷やす。
*冷却に使った水は次回の醸造の際に再利用されることもあるそうだ

6. 発酵

目的:麦汁に含まれる糖類を酵母が分解し、アルコールと二酸化炭素を作るため
目的にある通りですが、麦汁からアルコールと二酸化炭素を酵母に作ってもらう。この際、上面発酵/下面発酵の酵母によってその名の通り発酵の仕方に違いがある。
上面発酵:上面発酵酵母は液体上部に残り互いにネットワークを形成する。
下面発酵:下面発酵はお互い結合することなく底に沈み発酵を行う。
(野生酵母とかもあるけどそれは機会があれば......。)
発酵の際のメインプロダクトは「アルコール」と「二酸化炭素」。副産物は「香り」と「味」への影響。発酵はおおよそ5~7日間、密閉または解放されて容器で行われる。

7. 貯蔵

目的:熟成と二酸化炭素の結合
発酵後、麦汁(だったもの=jungbier/若ビール)は密閉された貯蔵タンクで約4週間の貯蔵期間を経る。おおよそ0℃~4℃で貯蔵される。この際に作られた炭酸はこの温度でビールの中に溶ける。

8. 濾過

目的:消費者の願望を満たす / ビールの消費期限を延ばす
貯蔵後のビールはそのまますぐに飲むことができるが、顧客の願望を満たすため(ほんまか?)と、おいしく飲める期限を延ばすためにフィルタリング=濾過される。最近はフィルタリングされていないビール(ZwickelとかKräusenbierなどといわれるもの)もトレンドなんだとか。

9. 装填

目的:完成したビールを何かしらの容器に詰める
そのまんまです。瓶、樽、缶などにビールを装填します。

最後に

昨日から職業学校が始まってきょう本格的に授業が始まったわけですが、すべてドイツ語で行われるので正直ついていくのでやっとですんで、こうやって母国語でアウトプットして頭の整理をしつつ、なおかつ日本語話者の方で興味ある人に「今年のドイツ・ブレーメンのビール醸造のクラスではこんなかんじでやっとんだな、へえ~」くらいで思っていただければ。(全国にあと8つくらい学校あったはずなので、多少の違いはあると思います)
ではまた。

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