#好き027 グレート・ギャッツビー
フィッツジェラルドの小説、複数の翻訳版が存在しているが、私は村上春樹が訳したものを、発売日に手にして読んだ。当時村上春樹は、本書が本人にとって最も重要な本であると紹介していた。
お気に入りの本には、お気に入りと思える登場人物が存在してることが多い。特に語り手が主人公が場合、実際の言動以上に、その人物の思考を知ることができるため、シンパシーを感じたり、好感を持つようになる。「ライ麦畑でつかまえて」のホールデンや「異邦人」のムルソーや「罪と罰」のラスコーリニコフや「変身」のザムザしかりである。
ギャッツビーはいつもグレートで、普通では全然ないんだけど、実直なやつだから、出会いのきっかけこそ打算的ではあったけど、ニックのことを本当の友(オールド・スポート)だと思い、それがうれしかったんじゃないかと思う。一方でニックも、そんな普通ではないギャッツビーのことが憎めなくて、目が離せなくて、好きだったんだと思う。誰もが利己的になる社交界の場で、この二人の友人関係は、唯一と思えるほど純粋で、はかないものに思えた。
こんな回想をするニックも、私のお気に入りの存在である。
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