自己評価力を育む

今回は私の研究テーマである「教育評価」について触れたいと思います。

現任校で行われている評価は、教師による学習の評価が多く、子ども自身が評価を行うということはあまりありません。

学習の評価が悪いというわけではありませんが、西岡・石井・田中編(2022)は自己評価・相互評価の過程において身に付く力があることを指摘しています。



その過程において、子どもは、自らの学習を客観的に捉え、調整する能力や、学習意欲を高めたり、学習内容に対するより深い理解を持つことができるのではないかと注目されています。主体的に学習に取り組む態度を育てるうえでも、評価活動に子ども自身も参加させるこうした取り組みは重要であると考えます。


学習の主体は学習者であり、それゆえ、子ども自身が学習をふりかえり、改善できる力こそが、学習の成功にとっては鍵となる。


子どもたちが社会に出てからも学び続けることを踏まえると、子ども自身に「評価」というものを少しずつ手渡していく必要性が見て取れます。

ですが、いきなり丸投げするのは、教師の職務放棄となります。

それでは、どうやって子どもに手渡していくとよいのでしょうか?

西岡・石井・田中編(2022)で示してある、子ども自身の自己評価力を育成するために行う教師のフィードバックが参考になります。


子どもが効果的に学習を進めるためには、子ども自身の自己評価力を育てることが重要である。取り組んでいる課題に対応して、自分のできている部分とできていない部分を正確に把握することによって、自己調整を可能にしていくような力である。めざしている結果と照らし合わせつつ事実を伝えることで、学習者が自分の実態を把握し、自己調整を可能にする行為が、フィードバックである。


適切なフィードバックを行うためには、次のことが必要になります。

・子ども自身が学習を振り返る場面の設定

・学習のゴールを学習者自身が把握していること

この2点を踏まえると、教師だけがゴールを知っているのは見直す必要がありそうです。



自己評価力をつけるということは、木村(2023)の言葉を借りると自己調整学習を捉えることができます。


「学びに向かう力・人間性等」を高めるということは、子どもたちの自己調整スキルを高め、自己調整プロセスを基に自己調整学習を行なっていくことである


さらに、木村(2022)自己調整を詳しく説いています。


調整するとは、「学習の目標を設定し、計画を立てる」「目標の達成を目指し、学習を確認し、調節すること」「学習を評価し、評価結果の理由を考え、次に活かす」


この1連のプロセスで単元を組み立てていくことで、徐々に自己評価力を身につけることができるのではないかと考えます。


参考文献

西岡加名恵・石井英真・田中耕治編(2022)「新しい教育評価入門増補版」有斐閣コンパクト

木村明憲(2023)「自己調整学習」明治図書

木村明憲(2022)「主体性を育む学びの型」さくら社

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