算数の授業を考える上で意識したいこと

子どもたちの実態にもよりますが、年度初めの授業で学習観を伝えることの大切さを加固(2023)は示しています。


「算数はどうしてそうなるのかを考えることが大切だよ」「いろいろな人の考え方を聞くと、自分では考えられなかった考え方が知れるよ」「わかったことを使うと、自分で新しい発見ができるよ」といった、算数の学習に対する学習観をクラスで共有する


上記で述べられている学習観を捉え直してみると、次のようになるのではないでしょうか。


どうしてそうなるのか→数学的な見方・考え方

いろいろな人の考え方を聞くこ→協働的な学び

わかったことを使う→統合・発展


授業を考える上で意識すべきポイントとも言えます。

実際の授業場面で1つずつ考えてみます、まずは数学的な見方・考え方です。


今回考える授業場面は、次のような思考・判断・表現だと文部科学省(2018)は述べています。


イ 次のような思考力、判断力、表現力を身に付けること。
(イ) 数の表し方の仕組みに着目し、数の相対的な大きさを考察し、計算などに有効に生かすこと。


数学的な見方・考え方のヒントが上記に書かれており、「数の表し方の仕組み」に着目することが大切だと分かります。

この見方・考え方を自分なりに具体化してみました。


・10倍すると位が1つ上がる、10分の1すると位が1つ下がる

・10倍すると小数点が右に1桁移る、10分の1すると小数点が左に1桁移る

「位が上がること」と「小数点が右に1桁移る」が統合することができればよいと考えます。


この見方・考え方を単元を通して繰り返し働かせることができるように支援することが大事です。

単元自体それほど時数はない単元ですが、価値づけや見方・考え方を引き出すための支援を行いたいと思います。


今回は協働的な学びはいったん置いておき、統合・発展について考えていきます。

統合・発展を考える上で、加固(2023)の指摘は参考になります。


ただ問題の数値を変えたり、難しい問題をつくったりするだけでは、あまり価値はないのです。


これを練習問題として、教師が提示するのではなく、子どもが「数値を変えてみても使えるのかな?」と考えて、自ら解決した問題を発展させられるようにしていくことが大切。


問題の作り方の視点
数を変える、数の個数を変える、場面を変える


以前考えていた授業案では、「問題作りの視点」が欠けていたように感じます。

本時では「56.72」という問題を中心に授業が進んでいきます。

この1問で授業をまとめるのもどうかと思うのですが、教科書の構成上まとめた上で練習問題となっています。

そこで、次のような発展の視点を与えることを考えてみました、

数を変える→56.72ではないものにする

数の個数を変える→小数第3位までのもにする

最初は統合・発展の視点を与えつつ、それに慣れていくことで自分の学び方になっていくのではないでしょうか。



参考文献

加固希支男(2023)「小学校算数『個別最適な学び』と『協働的な学び』の一体的な充実」明治図書

文部科学省(2018)「小学校学習指導要領解説算数編」日本文教出版

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