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白夜行 東野圭吾【読書感想文】

配達の袋に入ったままだった『白夜行』。久々に小説でも読むかと、金曜夜に読み始めたら、あれよあれよと今日、読了。気になって気になって、子にテレビを見せたまま読み続けてしまった。そうだった、20年前に同著者の『片思い』を読んだ時も、眠れないほどのめり込み、あっと言う間に超長編を読了してしまったんだ。恐るべし、東野圭吾。

私はドラマの本放送を見ているので、桐原亮司は山田孝之、雪穂は綾瀬はるか、笹垣刑事は武田鉄矢、他何人かは役に俳優の顔を思い浮かべて読み進めた。笹垣さん、小説だともっと長身のようだ。

1973年から80年代の時代背景が興味深かった。コンピューターの進化についてや、任天堂スーパーマリオが激売れしたこと、カード1枚と暗証番号入力で、預金を引き出せるようになったことなど。ゲームの海賊版が出回ったことや、カードの情報を盗用した不正な出金などは実際に社会問題としてあったことだと思う。そのやり口が事細かに書かれていて、私は読んだところで、何となくしか理解できないのだが、これはきっと事実なんだと思う。当時、この通りに遂行すれば犯罪はできたのではないかと。

何でこんなに詳しく書けるのかって、多くの方がご存知の通り、東野さんはバリバリ理系なんですよね、電子工学科を卒業されているそうで。もともとあった知識や興味を更に深めて書いたのかなと。こんな知識を駆使して小説を書き上げるなんて、やはりフィクションを書くにも自分の武器というか、これなら負けない知識や経験がものをいうのだと思った。

ドラマでは冒頭、亮司がコンクリートに倒れ血を流している場面があり、そこから19年前に遡る。桐原亮司が父を鋏で刺し、雪穂はその鋏を握り「殺したのは私だよ」と涙ながらにいう。雪穂母はコタツで酒を飲みながら「あのおやじ、あんたが殺したんでしょ、殺したくもなるよね、あの変態」などと言って寝入ってしまう。雪穂はガス栓を開け母を残して部屋を出る。母を葬ったのだ。

2件の殺人と、図書館を通じての2人の繋がりは、私の記憶では初回に示されていたと思うが、小説では最後の最後まで伏せられ、代わりに2人の周辺で不可解な事件が続いた。話の筋は同じなのに、時間軸の描かれ方が全く違った。あと、小説には殺人に至る2人の心情は一切書かれてなかったが、ドラマでは子役が名演を見せていた。特に雪穂は記憶に残る。

東野圭吾作品、次は何読もう。ガリレオ系は物理がわからなすぎて挫折、『人魚の眠る家』は映画を見てしまい、映像のイメージが強いので読む気がしない。何かおすすめありますか?家事育児に支障がでない長さを希望だけど、流石に白夜行と同じ800ページ超はないかな。




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