見出し画像

挫折を乗り越えた明治のエース村田賢一

皆さんこんにちは、今回はとある大学生選手についてのnoteです。

遡ること約一週間前、大学野球の頂点を決める大会である全日本大学野球選手権大会、殆どのファンが予想していたであろう明治大学と青山学院大学の決勝戦というビッグマッチのマウンドにその選手はいました。

彼の名は村田賢一投手、プロ野球界に多くの名選手を輩出する大学野球の名門明治大学で今季から伝統のエースナンバー11番を背負う選手です。
彼の持ち味はなんといっても抜群の制球力。テンポよく常時140キロ前半の直球に多彩な変化球をストライクゾーンの内外に投げ分け打者を淡々と打ち取るその姿はまるで社会人野球の投手のよう、2023年春季リーグの成績は45回を投げ四死球5、失点わずか4、防御率0.80とリーグ内ではまさに敵なし状態でした。
しかし、その日の彼はいつもと違いました。自慢の制球力は鳴りを潜め、高めに浮いた球を痛打される。味方のエラーも絡み初回に2点を失いました。その後立ち直ったように見えたものの3,4回にも立て続けに失点し途中降板、後続の投手による好投でピンチを脱出したもの打線は相手投手を捉えられず完封負け、村田投手は公式戦では昨春の早大2回戦以来およそ1年ぶりに敗戦投手となりました。

味方のエラーなどはあったものの、「今季彼が3点以上失点したのは初」という事実がそれまでとその日の彼の異常さ、そして青学打線の凄さを示しているといえます。

全日本大学野球選手権決勝にて打ち込まれマウンドを後にする村田投手


リーグ内のみならず全国大会でもほぼ無敵に等しい状態であった彼が打ち込まれたことは東京六大学をはじめとした多くの大学野球ファンには信じ難い光景だったことでしょう。

試合後のインタビューでは「課題をつぶせる時間もある」と前向きな秋を見据えたコメントを残しており、彼が今後どのような変化を見せるのかはドラフト候補としてだけでなく、一人の投手としても個人的には注目したいところでした。

そして迎えた1週間後の大学日本代表を決める紅白戦、村田投手はマウンドに立ち1週間前とはまるで別人のような投球を多くの人の前で披露してみせました。
持ち味のテンポと制球力はそのままにストレートは自己最高を2キロ更新する150キロをマーク、球速は参考程度ではあるもののストレートが力強くなっていることは明らかであり、彼の今までの投球を仮に"柔"とするならばその日の投球は"剛"、それまでとは違う投球スタイルがそこにはありました。

日本代表合宿で好投しマウンドを後にする村田投手


結果として2回をわずか1安打、5奪三振の快投、そのまま日本代表入りを勝ち取りました。

ドラフト候補としての彼は元々の投球スタイルもあり、好投手がひしめく2023年のドラフト市場の中で評価が割れる存在であったように思えます。
しかしその日、短いイニングとはいえ彼が見せた力強いストレートをコーナーにバシバシ決め三振を奪うその投球は紛れもなく勝つために、そしてプロ野球選手を目指す投手としての決意が形になったように見えました。
何よりもあの敗戦から一週間でここまでの変化を見せたことに、彼の野球選手としての能力の高さを感じました。

彼がどのような方法で変化を遂げたのかは分かりませんが、"課題を見つけだしそれらに的確にアプローチし短期間で最高の舞台で結果として示してみせた"という事実はスカウトをはじめ多くの人の目に映ったことでしょう。
この能力はプロ野球の世界で成功していく上ではかなり重要なことのように思えます。

9月に開幕する秋のリーグ戦までは約3ヶ月あり、一週間という短期間で見違えるほど変わった彼が世界と戦った上で彼がどのような進化を見せるかは注目の集まるところです。
そして更なる進化を見せた暁には彼の名が上位で呼ばれる日もそう遠くないでしょう。

秋のリーグ戦を楽しみにしつつ明大のエース村田賢一投手、是非とも彼の名を覚えていただけると幸いです。
読んでいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?