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【夜のお散歩】コペンハーゲン解釈の哲学的問題について

ある猫が入っている箱の蓋をこっそり開いて、隙間から中を覗くことで、猫の状態を確かめる方法を考え出した物理学者がいます。

実際に彼の考え出したベルの定理(ベルの不等式)は、アインシュタインらが考案したEPR実験(のボームが改良したバージョン)において、電子のスピンをこっそり観測するというものでした(^^)

【参考記事①】

EPRパラドックスからベルの不等式へ
https://as2.c.u-tokyo.ac.jp/lecture_note/kstext04_ohp.pdf

ベルは、こっそり覗いて確認できた観測結果が、

①初めから状態が決まっていた場合

②見た瞬間に状態が決まった場合

で、ばらつき方が異なるということを数学的に示しました。(【参考記事①】を参照ください。)

そして、1980年代に、フランスの物理学者アラン・アスペが、このアイデアを元にした実験を行います。

その実験結果から「観測した瞬間に物事の状態が決定される」というコペンハーゲン解釈の方が正しいことを証明します。

この瞬間、ボーアの考えが正しく、アインシュタインの考えが間違っていたことが実験で証明されました。

【参考記事②】

これらの経緯や実験は、現代の量子力学の進展に非常に重要なものでした。(【参考記事②】を参照ください。)

例えば、アインシュタインの言った不気味な相互作用。

現在では、量子テレポーテーションという呼び名で知られていて、量子コンピュータや量子ネットワークの設計でも重要な概念になっています。

まあ~私含めて、ほとんどの人には理解することが難しいお話なんだけどね^^;

話を戻して、簡単にまとめると、前述の猫を例えに使えば、蓋を開けて覗いた瞬間に、猫の生死は決定されていて、それまでは状態が決まっていなかったと証明できたんですよって説明することが可能です。

もちろん。

このことは、量子世界の出来事を、マクロな世界につなげて考えていいと言っているわけではない点に注意が必要です。

しかし、これって、長い歴史の中、物理学者たちがイメージの難しい問題に対して、視覚的イメージを持たせて説明しようと努力してきた仕事の集大成と言えるものです。

前述のアラン・アスペが「量子もつれ状態の光子を使った実験、ベルの不等式の破れの確立、および量子情報科学の先駆的な研究に対して」で2022年ノーベル物理学賞を受賞したことを知った時、とても感慨深かったですね。

みなさんも、是非、折角なので「観測した瞬間に物事の状態が決定される」というコペンハーゲン解釈を参考にして、対象をしっかり観測してあげてね(^^)

観測結果(経験・体験)を活(生)かすも殺すも、自分次第だから^^;

精一杯がんばろう!

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