【「嗜む」のすすめ】私があるということに焦がれ本を嗜む
私達が密かに大切にしているものたち。
確かにあるのに。
指差すことができない。
それらは、目に見えるものばかりではなくて。
それらを、ひとつずつ読み解き。
それらを、丁寧に表わしていく。
そうして出来た言葉の集積を嗜む。
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■テキスト
「[増補版]知の編集工学」(朝日文庫)松岡正剛(著)
本書刊行時の時代背景と執筆時の思い、そして、今回、増補した制作経緯を明かし、あらためて「知の編集工学」で問おうとしたメッセージを、以下の5つの視点で解説しています。
1.「世界」と「自己」をつなげる
2.さまざまな編集技法を駆使する
3.編集的世界観をもちつづける
4.世の中の価値観を相対的に編み直す
5.物語編集力を活用する
これらの視点の大元には、「生命に学ぶ」「歴史を展く」「文化と遊ぶ」という基本姿勢があることも、AI時代の今こそ見直すべきかもしれません。
■デジタル化社会と編集技術(その2)
インターネットは、コミュニケーションの革命といわれています。
ところが、インターネットには、悪を排除する機構は、存在していません。
当局によって、悪と見なされたサイトを、管理する中国のやり方(監視社会)は、本質的に、メディアとは、相容れません。
情報内容を生産し、内容を管理する分野を、
「コンテンツビジネス」
と言いますが、著作型編集資源であると言えます。
ホームページで、コンテンツを貼るのもこのタイプです。
情報内容の不断の編集を行うことを、特徴としています。
サイトにも、原理的なコミュニケーションモデルが機能しています。
これを、
「交換モデル」
と呼ぶ学者がいます。
伝統的なコミュニケーションモデルは、
「シャノン・ウィーバーモデル」
と言われており、ノイズの中の通信理論を、前提としていました。
送り手と受け手の間に、信号化装置と信号取り出し装置が存在して、翻訳と脱翻訳で、情報を出したり、受け取ったりするのですね。
それに対して、情報コミュニケーションプロセスをメッセージを交換するするのではなく、編集モデルを交換すると捉えれば、
「エディティング・モデル」(※)
となります。
※印:
送り手は、自分の編集になる情報を、
「意味の市場」
に送り出し、受け手は、自分の適当な編集モデルを使って、必要な情報を受信するものです。
これは、ある意味では、グーグルの検索システムかもしれません。
両者の波長があった時にコミュニケーションが成立し創発される点で、そう捉えても良いと考えられます。
これは、写像関係マッピング理論(相似理論)で交換するのと同義です。
データを交換する事に意味があるのではなく、先行的な編集構造が、先に存在することが必須となります。
経済は、貨幣を言語とするシステム(交換行為を前堤とする財とサービス)の編集プロセスであると理解できます。
デジタル化社会とは、そのようなネットワーク経済文化の社会で、コンテンツが交換されることが、経済行為であるような社会を理想としており、その点で、経済も編集だと言えるのでしょうね。
■5夜50冊目
2024年4月18日から、適宜、1夜10冊の本を選別して、その本達に肖り、倣うことで、知文(考えや事柄を他に知らせるための書面)を実践するための参考図書として、紹介させて頂きますね(^^)
みなさんにとっても、それぞれが恋い焦がれ、貪り、血肉とした夜があると思います。
どんな夜を持ち込んで、その中から、どんな夜を選んだのか。
そして、私達は、何に、肖り、倣おうととしているのか。
その様な稽古の稽古たる所以となり得る本に出会うことは、とても面白い夜を体験させてくれると、そう考えています。
さてと、今日は、どれを読もうかなんて。
武道や茶道の稽古のように装いを整えて。
振る舞いを変え。
居ずまいから見直して。
好きなことに没入する「読書の稽古」。
稽古の字義は、古に稽えること。
古典に還れという意味ではなくて、「古」そのものに学び、そのプロセスを習熟することを指す。
西平直著「世阿弥の稽古哲学」
自分と向き合う時間に浸る「ヒタ活」(^^)
さて、今宵のお稽古で、嗜む本のお品書きは・・・
【「嗜む」のすすめ】私があるということに焦がれ本を嗜む
「Toyama 360°」Yoichi Oshima(著)
「やまとなでしこ ~美人の品格~」鈴木裕子(著)
「日々のいろどり花手帖」平野恵理子(著)
「The Americans」Robert Frank(写真)Jack Kerouac(序論)
「川はゆく」藤岡亜弥(著)
「Vivian Maier Street Photographer」Vivian Maier(著)John Maloof(編)Geoff Dyer(寄稿)
「Jim Marshall Proof」Joel Selvin(序論)Jim Marshall(著, 写真)
「A Visual Inventory」John Pawson(寄稿)
「Stephen Shore Uncommon Places The Complete Works」
「目ざめて腕時計をみると」堀江敏幸(著)
■(参考記事)松岡正剛の千夜千冊
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