【エッセイ】朝日の香り、空の香りを想ってみる。
中秋の名月を中心とする秋の月見のシーズンとなりましたね(^^)
今年は9月29日がそれにあたります。
夜の情緒に包まれて、虫の音を聞きながら月見と洒落る習慣は、日本人ならではのものですね。
さて、この秋の月見には「花見」も付きものなんですよね。
この時期に月とともに観賞する花といえば、なんといっても萩です。
万葉集においても、中尾佐助氏の「花と木の文化史」によれば、万葉集に出てくるもっとも多い花は、萩で138、次が梅で118、以下松、藻、橘、スゲ、ススキとつづき、桜は42で第8位でしたね。
「花と木の文化史」(岩波新書)中尾佐助(著)
他の花を凌いで138首もうたわれた秋の名花、萩。
人はなぜ花を愛でるのか?
誰でも美しさがわかる本能的美意識と学習によって美しさを感じる文化的美意識があると本書の「花はなぜ美しいのか」と言う章の中で書いていました。
たぶん、萩を見ずしてニッポンの秋を語ることはできないかも(^^)
「こぼれ萩」は、散り落ちる萩の花をあらわした言葉。
こぼれんばかりに咲き誇る萩も、見事なものです。
季節の移ろいを感じるのは、いつも決まって匂いから。
春の匂い、夏の匂い、秋の匂いに、冬の匂い。
大地や空が、あの匂いを運んできます。
きれいな朝日や、どこまでも広がる青空に出会えた朝は、その匂いに想いを馳せて。
いつの間にか、心がcleans(洗浄)されますよ(^^)
そして、仲秋の名月の頃、田んぼの中にたたずむ彼岸花はとてもきれいですね。
彼岸花というと赤い花をイメージしますが、「赤」は「明るい」に通じ、「明らかな」とかという意味があります。
そうそう、「赤」の語源は、「夜が明ける」意味の「あく」からきているそうです。
中国の古い言葉に「赤心」って言葉があるのですが、夜が明けたばかりのような、まっさらな心という感じでしょうか?
心に夜明けの空を持って何かする。
いつも、ヒントは自分の中にあるのでしょうね(^^)
【おまけ】
秋の七草は、万葉集にある山上憶良の歌に「秋の野で花を指折り数えると7種類あった」という意味の物があり、それにちなんでいるようです。
左から、ハギ(萩)、クズ(葛花)、フジバカマ(藤袴)、ナデシコ(瞿麦)、キキョウ(桔梗)、ススキ(尾花)、オミナエシ(姫部志)です(^^)
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