もう怖くない!尿路結石(vol.3)
今回は1番大切なPointである「再発予防」について紹介します。
この記事をご覧になっている方の多くはご存知だと思いますが、尿路結石は、5年で約50%が再発するとされており、一度かかってしまえば終わりという病気ではありません。
Qなぜ、こんなに再発してしまうのでしょうか?
以前お話したように、結石の原因には「食生活」「代謝」「ホルモン」等が関与しています。
再発防止のポイントとしては、
ⅰ)バランスの取れた食事
ⅱ)飲酒を控えめに
ⅲ)水分を十分に摂取し尿の濃縮を防ぐ
ⅳ)適度な運動を
ⅴ)定期的に検診を受けること
の5つが挙げられます!
(参照:「図解 尿路結石症を治す」)
ここで、再発についてもっと詳しく見ていきましょう。
◉再発の仕方
尿路結石の再発には、仮性再発と真性再発があります!
仮性再発はその名の通り、ESWLなどで治療した際に残った細かな砕石片が原因となって起こる再発のことで、手術治療を受けた患者さんに比べてESWLで治療した人は、この仮性再発率が高いと言われています。
一方で真性再発は、主に食生活が影響していると考えられています。
◉食事療法
・尿中のシュウ酸が多い人が再発しやすい
👉尿中シュウ酸の50%は食事によるため、食事
コントロールによって摂取量を減らす
このように、食事だけでなく飲み物にも含まれているため、同じものばかり飲んだり食べたりするのは控えた方がいいでしょう!お茶に関しては、玉露が最もシュウ酸が多く、番茶やほうじ茶、麦茶がおすすめです。
・カルシウムをたくさんとっている方が再発率が低い
👉シュウ酸の多い食事の時には一緒にカルシウ
ムを摂取する(1日800mg)
👉成分無調整の牛乳は脂肪が多いので、できる
だけ低脂肪乳や低脂肪の乳製品、小魚類、大
豆製品、緑黄色野菜を!
・動物性脂肪が結石を作りやすくする
👉1日の総エネルギーのうち脂肪エネルギーを
20〜25%以内に抑える
👉卵、バター、スナック、脂肪の多い肉は控え
目に!
👉動物性脂肪と一緒に摂取量することが多い
タンパクも、プリン体(分解されて尿酸にな
る)が多いため、控えめに…
・クエン酸はカルシウム結石の形成を抑制する
👉柑橘系の果物やお酢、市販のクエン酸入飲料
を摂取する
👉クエン酸は肝臓代謝を高めて体脂肪を減らす
働きも…
・食塩の過剰摂取は結石のリスク
👉 食塩をとりすぎると、尿細管におけるカル
シウムの再吸収抑制によりが尿中カルシウム
排泄増加をきたす
👉尿中クエン酸排泄量の減少をもきたす
・ビタミンCはとりすぎるとシュウ酸が増加?
👉水溶性なのでとりすぎても問題なし(ビタミ
ンCが体内で変化してできるシュウ酸の量は
ほうれん草の200分の1)!
・アルコールは結石のリスク
👉アルコール類には、シュウ酸・リン酸・糖分
が含まれており、また、酸性食品(ワイン以
外)のため、体液が酸性に傾くので結石がで
きやすくなる。
👉肝臓で代謝するのに水分を使うため、脱水に
なりやすく、結石ができる
👉👉寝る2−3時間前には食事を終え、水を飲
んで寝ること。プリン体を含む食品を取る
時は意識してアルカリ性食品を摂取する
※アルカリ性食品には何がある?
海藻、野菜、みかんやレモンなどの果物
◉今後の再発予防薬の可能性
☑︎ エイコサペンタエン酸(EPA)
尿路結石は動脈硬化と発生機序が類似しており、動脈硬化に良いと言われる“エイコサペンタエン酸(EPA)“を、カルシウム含有結石患者に EPAを投与すると、尿中シュウ酸やカルシウム排泄量が減少することが報告されています!
☑︎ ビスフォスフォネート
骨粗鬆症は尿路結石のリスクファクターと考えられており、骨粗鬆症治療薬であるビスフォスフォネートがシュウ酸カルシウム結晶の成長を抑制したとの報告があり、予防効果にも期待が持てそうです。
☑︎抗オステオポンチン抗体
カルシウム結石に含まれる有機物質として、オステオポンチン(OPN)とカルプロテクチン(CPT)が同定されています。
コレらは、正常な状態の腎遠位尿細管細胞にも存在しており、尿路結石症患者において発現の増強が認められていることから、結石モデルラットに“抗オステオポンチン抗体“を用いたところ、腎結晶形成の予防に成功したと言われています。(尿路結石ガイドライン2013より)
→実際、オステオポンチンを減らす食べものとしては、以下のようなものがあります。また、このオステオポンチンが働きすぎないようにするためには抗酸化作用の高い食品を摂取することが有用です。
どうでしたか?
ちょっとの工夫で再発予防できるので、ぜひ皆さん意識してみてください。
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