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サルビア・スプレンデンス


題名を見てなんのこっちゃと思うたそこのあなた


いや、なんのこっちゃと思ったら読まないか、
そんな事はどうでもいい。

サルビア・スプレンデンス 通称サルビアは私の地元の「町の花」なのである。


正確には地元だったところと言うべきか



茨城県の古河市という場所は2005年までは
総和 三和 古河 
という3つの場所に分かれていたが
統合され「古河市」が爆誕した


私の地元は「総和」というところで
その名前の響きもなんとなく好きであった。

当時小学生だった私にはこの親しみある名前が
なくなってしまうことが悲しかった。
いいじゃないか総和、かっこいいじゃないか総和



色々な大人の事情が
あったらしいが忘れてしまった。
2021年の今、
それを気にする大人も居ないであろう。

この町だったものに確かに存在している「総和」と名前についた建造物や公共施設はどこにゆくの


もう居場所もないのか、君たちは




私は未だに脳内であの場所に一瞬で帰れる


晴天と夏休みと確かに名前があった町


ブルーの補助輪付きの自転車に
もう二度と会う事は無い友達たちよ。

(あえて青い自転車ではなく[ブルー]と言っておく
          男とはそういうものなのだ)



黄色い一年帽子に真っ赤なサルビア
大人になった今では色々な意味で
眩しすぎるコントラストだ

信号機のような風景の一部と化した脳内の少年はサルビアの花をちぎって蜜を吸う


今思えば多分犯罪である、多分ね

全ての少年少女だった人達は何割くらいが
脳内で少年少女になれるのか



サルビアの先端をむしると極小の蜜がでるように
私達の脳をむしると極小の夏休みがでるかも

甘いのか、それは
大人になったら価値がわからないかもしれない


大人のむなしさを感じるたびに、
脳内の少年を一瞥、一礼
幸運を祈る。

無くなった町と
記憶の中の花と
ブルーの自転車と
私によく似た少年と
下校途中にサルビアの蜜を
口先でハミハミしていた者へ捧ぐ





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