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ステージマネジメントにしひがし#3 - 舞台制作タイムライン編 Part 2 - リハーサル期間

このシリーズをメインにnoteをすすめるつもりが、すっかりすっかり間があいてしまいました…。が、イギリスで学んでいる経験をアウトプットしていきたい(そして日本の舞台裏との相違を自分が知りたい)ので、2021はがんばって書いていくぞ…!

さて、前回でリハーサル開始前の、デザインが決まって人も決まって、というところまでいきました。今回はその続きです。

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(前回のタイムライン画像があまりにもスマホユーザーアンフレンドリーだったので直しました。笑)

リハーサル初日

リハーサルの初日は多くの場合、キャストとクリエイティブ陣、スタッフのほぼ全員が初・顔合わせする日です。そこでまず、「Meet & Greet」と「Design Presentation」が行われます。

「Meet & Greet」は要するに顔合わせです。キャスト・スタッフが1つの部屋に集まったところで、ステージ・マネージャーかカンパニー・マネージャーの仕切りでまず演出家が挨拶し、意気込みを語ったりします。それから1人ずつ簡単な自己紹介(名前と何やるか)をしていきます。あるユースオペラ(Youth Opera - 学生やキャリアの浅いプロを中心に行われるオペラ公演)カンパニーに参加したときは、そこから5分間与えられて、はじめましてのひとに声をかけようキャンペーン的なことをやらされたこともありました笑

「Meet & Greet」は、そのまま全カンパニーと今回の公演のコンセプトやアイディアを共有する場になります(Design Presentation)。まずはもう一度演出家が前に出て、公演のコンセプトを説明しそのままデザイナーにバトンタッチします。デザイナーはモデルボックスや他の参考画像、衣装デザインのスケッチやコラージュを見せながら、どういった経緯でこのデザインになったのか、どんなキャラクターをイメージしているか、世界観や背景を説明していきます。このときキャスト陣はたいてい目をキラキラさせていて、モデルを初めて見るステージ・マネジメント陣は必死にノートをとっています。笑

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ストレートプレイの公演の場合には、このまま初めてのオフィシャルな読み合わせ(Read-through)にうつることが多いです。脚本が初めて声に出されて読まれる機会になるので、演出家だけでなく他のデザイナー陣やステージ・マネジメントチーム、マーケティングスタッフなんかも居合わせる中行われ、全員がこの公演がどうなっていくのかイメージできる機会になるんですね。新作の場合は作家も同席して、俳優が本を読むのを聞きながらその後の修正の参考にしていきます。

スタジオ・リハーサル

稽古場でのリハーサル期間は短いもので2〜3週間、長くて8〜10週間程度が一般的なのかな。私の学校での公演は4週間のリハーサル、以前観劇レポを書いたDonmar Warehouseのインターンのときは5〜6週間のリハーサル、ユースオペラのときは1週間の音楽リハーサルと5週間のスタジオ・リハーサルでした。原則平日9:00-18:00のような、まるでサラリーマンのスケジュールですが、カンパニーによっては土曜日があったり、夕方以降にアンダースタディ向けのリハーサルがあったりすることも。

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ステージ・マネジメントチームからはDSMが稽古場に常に出席して、稽古場と他部門をつなぐ役割を行います。(役割分担についてはこちら)その他のステージ・マネージャー、ASMたちは小道具の収集、管理を行いつつ、稽古場をサポートしながら、小屋入りに向け準備をしていきます。衣装合わせなども順次行われ、必要に応じて稽古用の衣装が運び込まれたり、照明デザイナーや音響デザイナーが出席してメモをとったり、音響はサンプルの効果音や音楽を流して演出家やキャストの意見をきいたり。各部門が各々、小屋入り後のステージ・リハーサルに向け準備をすすめるのが、このスタジオ・リハーサル期間です。

小屋入り

小屋入り(Get in)はプロダクション・マネージャー主導で行われます。まずは照明・音響などの吊りものの仕込み(Overhead Rigging)、それから装置の組み上げ(Fit up)、照明のシュート(Focus)や音響チェック(Sound Focus, Sound Quiet Time)などが着々と行われていきます。

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時間が許せば、リハーサル後の演出家が劇場を訪れて、キャストなしで照明・音響などをプログラミングしていきます(Pre-plot)。

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ステージ・マネジメントチームは舞台袖や舞台上など必要な場所に小道具を準備しつつ、舞台上・舞台裏をステージ・リハーサルに向けて整えていきます。衣装チームは楽屋に衣装を配備して、こちらも準備を進めていきます。

次はいよいよ、舞台稽古!

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