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【BLM】人の命の重さから離れてはいけない問題〜NBAから考える〜

前書き

今回はBLACK LIVES MATTER第2段の記事を書いていきます。
前回のようにムーブメントそのものへの言及というよりは、私が第2の故郷として愛してやまないウィスコンシン州での事件とNBAでの影響を取り上げ、書いていきます。

前回記事↓↓↓

私がBLMに抱く考え、感情はこちらの記事にまとまっています。


事件について

経緯はわからないが、警察に職務質問及び何らかの命令をされていた黒人男性が白人警官に銃撃された事件が8月23日、アメリカ・ウィスコンシン州で起こりました。

この事件を機に、ウィスコンシン州では抗議デモが発生し、でもはアメリカ全土に広がりを見せています。

いくつかの記事によると、ジェイコブさんは家庭内暴力で通報を受け、警察からの静止命令を受けていたという。その後警察官は、動画にあるように至近距離から銃弾をジェイコブさんに打ち込んでいる。
アメリカで注目されているのは、銃撃の必要性やどうしてこのような事件が起きてしまうのかというポイントです。


事件の影響

この事件はアメリカ全土、世界に大きな影響を与えました。
NBAではプレーオフの中止、数多くの黒人アスリートが『モア・ザン・アン・アスリート』を掲げ、スポーツの試合は中止に追い込まれています。

NBAでは、各チームメイトにミーティングの場を設けてシーズンの続行、中止のアンケートを実施しました。
レブロン・ジェームスは今回の件以前に、彼自身が持つ発信力について言及しており、シーズン続行を見込まれていたが、ロスアンゼルス・レイカーズとクリッパーズの2球団が中止票を投票したことがわかっています。
NBAとしてはこの2球団が・・・という少し意外な結果でした。

今回の記事のテーマはBLMとNBAということで、レブロンのインタビューを見てみましょう。

彼が発信したことは、

このような事件が何で起きてしまうのか
(白人警官は)朝出勤する前に何か起きていたのかな
それとも今日は黒人1人殺すぞ〜って出勤したのかな

と警官側に対する疑問や考えを表明していました。

その他、ジョージ・ヒル選手も「警官が銃で人を殺す事件にうんざりしている」などと声明を発表しています。
NBAの判断としては、このような事件の渦中でバスケットボールをしている場合ではないと判断する選手の意向を尊重した形となりました。

今回のシーズンの中止は、ウィスコンシン州のプロチーム「ミルウォーキーバックス」のボイコットにより始まりました。
NBA選手や影響力のある黒人選手の話を聞いているとBLMに対する感じ方が変化する、そのような印象を私は受けています。


ウィスコンシン州について

67353542-夜、ミルウォーキー、ウィスコンシン州のミルウォーキー川沿いの建物とダウンタウンのスカイライン。

前回記事でも書いていますが、私は2014年〜アメリカ留学をしていて、ウィスコンシン州ミルウォーキーに住んでいました。
今回の事件では、大変心を痛めました。今回はウィスコンシンについても少し知っていただきたいと思います。

地理

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アメリカ北部に位置し、ミシガン湖沿い(西側)の州です。
日本人にとって馴染みのあるシカゴがあるイリノイ州の北側に接しています。冬はとても寒く8月に20日間くらい夏(20度〜30度行かないくらい)があり、それ以外は冬です。雪がとても降ります。日本の名古屋と姉妹都市か何らかの協力関係にあったと思います。

経済規模

ミシガン湖沿いの州はもともと興行が盛んで、ハーレーダビットソンやアメリカトップシェアのビール会社であるミラーなど経済発展を遂げている州ではあります。
そこまで貧しい州ということではないですが、何せ大都市ではないためそこまでキラキラしている印象は抱きませんでした。東京都出身の人が行くと田舎に戻ってきた気分というような印象が強いと思います。
また、大きな規模の発展を遂げていると感じるのはウィスコンシンの都市、ミルウォーキーだけで、そのほかの街は大自然に囲まれているという街並みで。

生活

私の体験談ですが、ミルウォーキーはミシガン湖沿いに位置しているのですが、ミルウォーキーに近づくにつれて経済的に豊かな人が増える印象があります。土地の値段もミシガン湖沿いが一番高価で、西に離れていくと安くなっていきます。こういう言い方はよくないですが、日本の感覚で言うと行政に見放されているような地域がいくつかあります。

「ここは入ってはいけない場所、乗ってはいけないバスの路線」

がありました。
私(日本人一般的な感覚)からすると『スラム(と明言されていたわけではないですが)』です。

と言われたらいきたくなるものじゃないですか。
何回か進入したことがあります。中がどのようになっていたかと言うと、
(ミルウォーキー市内)

・道路が整備されていない
・路上にたむろしている人が多い
・薬物中毒者の所見がある人が多い
・金銭を要求してくる
・路上で大麻を喫煙している(禁止されている州です)

まず驚いたのは、そこの地域だけ道路が土なのですよね。
驚きました。急に土!!!ってなりました。
なんか匂いがするなぁと思ったら堂々と路上喫煙。
体には自分で彫ったかのようなタトゥー。
飲酒、喫煙、ドラッグ・・・全てがそこにありました。

うおおおおお〜〜!!ストリート〜〜〜〜〜!!!!
を通り越して完全にアウトローでした。
※これはあくまでケーススタディです。全部がそうと言うことではないです。文化人類学視点をお忘れなく。

文化

さすがはアメリカ、愛国心が半端ではありませんでした。
そして大きな特徴としては、白人が治める地域であると言うこと。
ドイツ、アイルランド系イギリス人の移民が作り上げた地域で、文化も相当なインスピレーションを受けています。
酒場は大体がアイリッシュ酒場で、みんながビールを愛していました。
NBA、NFL共に大人気でそれこそ強豪を有しています。
私たちの世代ではあまり多くはありませんでしたが、私が仲の良かった英語の先生は、差別に対してとても厳しい視点を持っていました。

有色人種が迫害されがちな風土

であることを包み隠さずに教えてくれました。
これは私が競技者としても経験したことですが、当然ながらアジア系の人種はそのピラミッドにおいて最底辺に位置します。

歴史として、
昔、ビルマからタイ(東南アジア)で暮らしていた少数民族のモン人(HMONG)と言う民族がいました。私たちの親の世代でウィスコンシンに移住しています。彼らは、その生活様式や文化から迫害を受け、ウィスコンシンでひっそりと暮らしていました。
様々な事件があたっと聞いていますが、私たちはその2世、3世の世代ですが、今もなおアメリカで迫害を受けないように教育面や文化面でアメリカに溶け込もうと尽力している部分が見えました。

白人がとても多い地域で、その次に黒人、アジア人系はとても少ない地域です。私は、簡単に差別されていました。
でも、その私を守ってくれるのは心温かい黒人たちでした。


事件で切り取られている部分

今回の事件で注目されていると印象を受けている部分は、

銃が必要なのか?
警官が容疑者の人権を軽くみている

この2点だと私は感じています。
NBA選手やアスリートの発言の数々から読み取っています。
一黒人として、白人たちに物申すぞ!!!と言う意気込み以上に、

「え?何で撃っちゃったの?」

と言う声の方が多いと思います。

さらにメディアに対しては、このBLM問題がアメリカ大統領選のコンテンツとして注目されているところも気になっています。
そう、BLMがコンテンツになっているのです。

多くの政治家がこのムーブメントを材料にパフォーマンスを発揮していきます。これは貧困や人権などアメリカや世界を取り巻く人種差別などの問題の結果として取り扱われるようになり始めています。

BLM・・・これって何だったっけ?
確かに、経済に対する影響はメリット、デメリット両方があります。
コロナのせいでどうしようもできない経済問題から事件が起きてしまった、と言うような背景も十分に推測されますが、忘れてはいけないのは、

一人の人間が一人の自由や権利を奪っていると言うこと
そして、その奪う側の人間は国家権力を盾にしていると言うこと

レブロン・ジェームズの発言は、その根本にある本質を捉えているような気がしました。

「(出勤前に)なんか嫌なことがあったのか?」
「イライラしてたのかな?」


「黒人を殺そうと思って出勤していたのかな?」
→人々がこのように考えてしまうところ(社会構造や人種差別)にこの問題の本質があります。


人権をもう一度見直す

人権を考えると言うことは、人の命の重さを考えることです。
ただし、これは『権利』であり、『義務』を果たさずに権利は認められません。例えば、今回の事件として日本のスケールで考えてみましょう。
警察に協力するのは『権利』?『義務』?
一般市民からするととっても曖昧です。でも、日本で警官の指示に従わなくても射殺されることは考えずらいです。

でも、どうでしょうか。
仮にあなたがテロ組織のグループの一員で、警察官の指示に従わず逃走しようとしたり、警察官に抵抗したら・・・
発砲される可能性はあります。

話は飛躍していますが、
BLMの問題はこういったところにあります。人種がどうであれ、相手にどう思われているかと言うところです。

この文章を読んで感じてもらいたいことは、
今の文章を読んで、
「テロ組織の構成員なら殺してもいいや」
と言うところにあります。

人間には少なからず、危険を回避するために払うペイが存在していてそのペイの範囲がどこまでなのか。そこを考えなければ始まらないと思いました。

この判断は非常に難しいです。
私の場合、警察官だとして、目の前に凶悪犯罪者がいて、私に抵抗してきたとして・・・
身の安全を考えると間違えなく銃撃すると思います。
アメリカの銃社会を考えると余計に撃ってしまうかと思います。

するとテロ組織の構成員や家族は私を目の敵にして、私の命を狙ってくるでしょう。でも、警察は私を守ろうとします。

これ、今BLM問題で起きていることです。
このスパイラルの中に解決の糸口はないです。政府が具体的にできることは?例えば、警官や市民の安全を守るために銃を捨てることだとか、社会構造の変化など具体的に進めなければいけません。

黒人(有色人種)の人権を守れ!!!!!!
と同じように、まず銃捨てようぜ!!!!!
俺ら丸腰だぜ!!!!!

と言うアピールも必要かもしれません。


モア・ザン・ワット?

最後に「モア・ザン・アン・アスリート」として声明が取り上げられているアスリートたちについて。
特にNBA選手たちは多くの影響力を持っています。でも、この問題に対しても何事にも対しても人々一人ひとりにちゃんと着目することの大切さを強調してこの記事の結びにしたいと思います。

人はそもそも「人」以上の何者でもありません。
モア・ザン・ヒューマン?みんな平等に人生を楽しむ権利があります。平等に今を生きる権利があります。その権利を守るために人は戦いの歴史を歩んできました。人類は痛みを知って、今を作ってきているし、今まさに痛みの中にいる人々もいます。

人と人を比較する前に、相手の立場に立つことや相手を知ることの重要性は今一度確認しておきたいと思います。レブロンの発言はとっても心に刺さりました。戦いが不必要になる世の中になるまで人はおそらく戦い続けてしまいます。そうしないためにできることが私たちの世代にあって、次の世代のことを考えた立ち回りができればいいのではないかと思います。
ラブアンドピース以外にあり得ないのです。

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