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都築郷士『ぶうつく』呟きの如く・8 附・詩人の為の秋冬ワードローブ集

多くを見ず、多くを聞かず、多くを身辺に近づけぬこと - これが機略の第一であって、われわれが偶然的存在ではなくて一個の必然であることの何よりの証拠である。-『この人を見よ』ニーチェ

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思ひ出よ澁柿樽に任すこと 郷士

出來た許りで何も置いてゐない部屋だつた
私は号泣してゐた 何故己を棄てる
さうして彼女の肉体をまさぐつてゐた
若く張りのある、しかもグラマーであつた。

彼女は
No reply
しかし何ゆゑか
私の頭髪を撫でる -

そこから私の異性認識は、路頭に迷ふ事となつた

それぞれの女に文フミを贈つたが
彼女らはそんなもの
如何にしてゐるとも 自問さへできぬ、

恥、であり痴である..
やがてかすれ消えてゆくだらうが
私は痴者である。齡トシを取りたい。老いたる人に。

老人になりたい。その冷血な年頃に。

©都築郷士

トルーマン·カポーティ敢へて名乗るバンド血が冷めたれば記憶始まる
(©都築郷士)

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