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『蟹工船』を読んでみたら、「可能性」について考えさせられた



執筆の修羅などと名乗ってはいますが、先週はサボっちゃいましたテへ。

あと、短い方が読みやすいかなーとの思いから、今回はちょっと短めにしてみようと思う。


決して面倒臭い訳ではないよ。


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僕ちん、埼玉県の浦和という街に住んでいるのだが、最近いい感じの古本屋を見つけたのよね。

そこで表紙のデザインに惚れてジャケ買いしたのが、

今回紹介する小林多喜二著の『蟹工船・党生活者』(新潮文庫)である。

その中から蟹工船を読んだ感想について執筆する。

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「おい、地獄さ行ぐんだで」の書き出しが有名らしいですな。
プロレタリア文学の名作です。


◆あらすじ

ざっくり言うと、

「蟹工船」という蟹を取る船で、めちゃくちゃブラックな労働を強いられていた船員達がストライキを起こす

という話である。(ざっくりぃ〜!)

ちなみにどれくらいブラックかというと、
・めちゃくちゃに寒いオホーツク海の上で早朝から作業させられる
・寝床は劣悪な環境すぎて「糞壺」と呼ばれている
・サボったり反抗したりすると「監督」にトイレに閉じ込められて凍死させられる
・病気になると治療できなくていずれ死ぬ
・風呂には入れなくて、体にノミとシラミと南京虫が湧く
※「南京虫」を検索する際は自己責任で!

など、目ん玉ひん剥くレベルのキツさである。
トイザらスのバイトをバックれたことのある私にとっては考えただけでおケツが4つに割れるレベル。

そりゃストライキも起きるわ〜、って感じだよね。
でもでも、物語の3分の2くらいはずっと働いてイジメられまくっている。
その分、最後のストライキ起こすシーンは激アツなのだ。


◆特徴


色々語りたいことは多いのだが、特にこの作品は「文章のエグさ」が印象的だった。

荒い波の描写とか、グロいシーンとか、めちゃくちゃ丁寧に描かれていてエグい。

特に、「臭い」の描写が秀逸である。
潮の臭い、蟹の臭い、男達で溢れる狭い部屋の臭い、酒の臭い、ゲロの臭い、死体の臭い、等々。
これらが随所に散りばめられているため、よりリアリティが増しているのだ。


◆感想

「なんでさっさとストライキしないのか?」という部分がこの作品のミソだと思っている(蟹だけに!)のだが、

『自分が不可能だと思っていることは本当に不可能なことなのか?』
『自分の可能性を自分で封じ込めていないか?』

なんてことを考えさせられた。

詳しくは自分で読んでほしいのだが、
「なんでさっさとストライキしないのか?」という点についてハイパーざっくり説明すると、

当時の日本はなかなかストライキが起こしにくい「風潮」と「システム」だったため、400人の漁夫達はたった10人の上司達に逆らえずにいたのである。

最近の日本では蟹工船のような地獄に行くことはなかなか無いと思われるが、
「風潮」や「システム」とか、その他色々ゴチャゴチャしている時代なんで、「可能性」を見失うことは結構多いはず。

もしもあなたが「なんか自分には何もないなー」なんて悩んでいるなら、それは色々なゴチャゴチャに騙された思い込みかも知れないぜ。



**◆読みやすさレベル

**

★★★★☆(上級者向け)

理由

・言葉遣いがムズイ  

・方言が多い  

・ある程度は時代背景を知っておく必要がある


今回から本の読みやすさにレベルをつけることにした。
基準は私の主観である。文句あんのか???

『蟹工船』は今ではあまり見かけない表現や文法が多く出てくるし、
登場人物のセリフが、基本的に「昔の言葉遣い+東北や北海道訛り」なので、マジで何言っているかわからない。
私は祖父母がバリバリ盛岡弁で、いつも何言ってるかわからないんだけど、それよりも更にわからなかった。
爺ちゃん婆ちゃんと話す時みたいに、雰囲気で読み取れば大丈夫だと思う。


◆こんな人におすすめ


自分の可能性に限界を感じている小便ナメクジ野郎にオススメである。


余談だが、サンボマスターも「可能性、終わらせんなよ」って言ってるので、
私の中で蟹工船のテーマソングにしてます。


◆最後に

今回は小林多喜二の『蟹工船』を紹介した。
プロレタリア文学の名作、ぜひ働いている人も働いていない人も読んでみてほしい。

『党生活者』もゴリラ的面白さなのでいつか紹介したいと思う。

今年もあと少しだが、頑張っていきましょう。


以上。

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