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11.役員報酬を取り巻く環境の変化

皆様こんにちは。今回は企業の役員報酬について記載します。
上場企業の取締役をされているような方でなければ、「なんとなくいっぱいもらってそう・・」くらいの認識ではないでしょうか。

実は今、役員報酬に関することはかなりオープンになってきています(上場企業に限る話ですが)。

透明性・公明性を持った経営において重要な要素である役員報酬について、今回は記載します。
ご参考になれば幸いです。

1.役員報酬はどこで見るの?

皆様は普段、自分が投資している先の役員報酬に関する記載を見たことがありますでしょうか?
「そもそもそんなこと公開しているの?」と思われる方も多いかと存じます。

上場企業であれば、役員報酬に関してはかなり情報開示が進んできています。
もともとブラックボックスであった報酬ですが、透明性を持った経営を推し進めるために、方針や決定方法、構成などについては詳しく見ることができます。
たださすがに具体的な報酬金額までは、一定の基準以上※でなければ公開していません。
※1億円以上もらっている役員は有価証券報告書に金額を記載する必要があります。

では具体的にどこに記載があるかというと、主には有価証券報告書、招集通知に詳しく載っています。
招集通知につきましては、株主の方にしか送られませんが、有価証券報告書は誰でも見ることができます。

有価証券報告書には、「役員の報酬等」という項目があり、以下の内容について記載があります。
・役員報酬の決定方針
・業績連動報酬
・役員報酬に関する株主総会の決議
・役員区分ごとの報酬等
・役員ごとの報酬
などなど、、、

最初は読んでもよくわからないかと思いますが、見てみると思った以上に細かく記載されているので驚くのではないでしょうか。

2.役員報酬を取り巻く環境の変化

過去の役員報酬は、多くの会社がどのようにして決定しているのか不明瞭でした。
実態として、創業社長の頭の中にある根拠に基づいて決められており、役員はその算定方法を知らないなどです。

つまりは、決定を「社長一任」にしてしまっている会社が多くあり、それでは業績にしっかりと連動したインセンティブとして機能しているのか怪しいよね、ということで昨今開示が求められるようになったということです。

また、報酬の中身についてもここ数年で大きく変化してきました。
昔は現金報酬かつ固定報酬という企業がほとんどでした。つまり、業績が上がろうと下がろうと、受け取る報酬額が変わらないため、ある意味取締役は安全な立ち位置にいたといえます。

しかし、しっかりと業績に連動した報酬体系にすることで、株主目線で経営をしようよという流れになり、現金報酬以外に株式報酬が導入されたり、固定報酬以外にも業績連動報酬が導入されるようになりました。

株式報酬とは、現金の代わりに自社の株式を報酬として渡すことになります。つまり、業績を上げて株価が向上すれば、より多くの報酬が得られるようになります。

業績連動報酬とは、その名の通り、当期の業績に連動して報酬額も変動する報酬のことです。業績が悪ければ受け取る報酬額も減りますが、業績が好調であれば報酬額も増えることからよりインセンティブ効果が働きます。

まとめると、役員報酬全体の中で、現金報酬、賞与、株式報酬の割合をどう設定し、業績連動報酬の割合をいかに増やすかで、企業の株主目線具合がわかります。

3.役員報酬まとめ

役員報酬の中身についていろいろと記載してきましたが、個人的には日本企業においてすべての企業に当てはめるには根本的な課題があると感じています。

日本の中小企業におけるオーナー企業のような場合、創業時から多量の自社株を保有しているケースも多いので、役員報酬としてもらわなくても、株式配当で勝手に多額の収入が入ってくる社長も多いです。

また、そもそも日本の企業は海外の企業に比べて役員報酬そのものの水準が低いので、株式報酬や業績連動報酬の割合を増やしすぎると、取締役の手残りが少なくなってしまうという問題もあります。

今後はESG指標に役員報酬を連動させたり、より複雑な仕組みが増えていく可能性がありますが、役員と株主の両方の目線に立った報酬体系構築が望ましいと考えます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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