📒長生きなんて御免だ。

長生きなんてしたくない。こんなことをいうと、周囲がギョッとする。それどころか「何かあったのか」と心配すらされる。何か大きな問題があったわけでもなければ、積極的に死を考えているわけではない。ただ、生に前向きでないだけだ。こんなこと両親に知れたらどんなに悲しむか。そんなことは最初から分かっている。

上がる税金、もらえるかもわからない年金。なんだろう、将来に悲観しているわけではないけれど、先があまりに曇って見える。

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いつの日やら、30年くらい生きれば十分だと思うようになった。老いるのが怖かった。人生100年のうち、健康でいられるのは何年だろう。そのうち、自由に体を動かせるのはいつまでだろう。漠然とした不安が私を襲う。

健康の問題だけではない。世間一般でいう『普通の生活』を送れるか、物凄く不安で仕方がない。自分の人生に不満があるわけでもないのに。隣の芝生が青く見えるとはよくいったものだ。かといって、誰かに羨ましがられたい人生を望んでいるわけでもない。その人にはその人なりの苦労があり、生まれも環境も歩幅も他人と違うことは分かり切っている。それでも私は世間体を気にしている。

そうこうしているうちに掲げていた30歳が現実味を帯びて、いよいよ死ななければならなくなった。そのときを迎えると不思議で、なんと死んでいない。

長生きしたくない＝今すぐ死にたいと思われそうだが、別に私はそういう願望があるわけではない。どちらかというと意識は『生』に向いている。それはなぜか。

自分の望む最期でありたい。

長生きしたくない理由はこれだった。いずれ体は老い、自由がきかなくなる。病気をしないともいえないし、どこかで収入が止まってしまうかもしれない。自分が描く『幸せな人生』を歩めるかもわからない。長生きしたくないのは、自分の望まない人生を送りたくないのだ。逆にいえば、自分の望む形を実現できれば『長生きしたい』と思うのかもしれない。

事実、私の希望寿命が更新されている。年を重ねれば重ねるほど、やりたいことが増えていく。物凄い矛盾である。まるで長生きしたくない人の思考ではない。でも、やっぱり長生きは御免だ。

ただこの思考、非常に役立っていることがある。嫌だったら人生終わらせちゃえばいいと、半ば良い意味で投げやりになれる。毎日、明日死んでも後悔しないくらいの勢いで生きているのだ。ある意味理想的な生き方で自分で笑っている。次回の希望寿命は35歳だ。

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長生きなんてしたくない。子どもの頃からそう思って、今までのらりくらりと生きてきました。恐らくこれから先もしぶとく生きていくと思います。

この思考が問題であると捉える人もいます。人の生死にかかわる話は、とてもセンシティブであることも理解しています。

ただ、これくらいある意味いい加減なくらいが生きやすいのかもしれません。現代人はよくも悪くもみんな『真面目過ぎる』と思うのです。頑張らなきゃ、生きなきゃってどこかでプレッシャーを感じているのです。

私自身、自分が掲げていた理想の人生とは随分とかけ離れた生活をしています。でも、そうでもなければ出会えなかった人もいます。叶えられなかった夢もあったと思います。自分の生きた道を正解にしていくしかないのだとわかりました。

死ぬまで『長生きなんてしたくない』とブツブツいいながら生きていくのでしょう。こういう人間ほどしぶといのだと思います。はぁ、やっぱり長生きなんてしたくない。