📸大切な人には、写真を贈ろう

覚悟はしていたが、やはり悲しいものだった。
ある日、応援している選手から一通のLINEが届いた。

今年で引退することが決まりました。

日本製鉄かずさマジックに所属する、片野将大選手からだった。社会人野球にいくきっかけをつくってくれた、とても素敵な選手だ。彼の野球に対する姿勢に感銘を受けて、獨協大学が好きになったのも記憶に新しい。

ああ、ついにこの日がやってきたのかと、いろいろな思いを巡らせた。よくよく考えたら2014年から6年間も片野さんを応援してきたのだ。もう6年かという思いと、早かったなという思いが交錯した。

片野さんはいわずもがな、とても尊敬のできる人だ。野球に熱く、後輩思い。そしてファンにもいつでも気を遣ってくれる優しい人だった。私は大学野球を軸として観戦していたので、片野さんの試合は年に2、3回いけたら良い方だった。毎試合のように応援に駆け付けることができなくても、いつでも優しく対応してくれた。都市対抗にも行くことができたので、私の応援ライフは悔いなしだ。

サインを書く片野さん、いつでもあたたかくお話をしてくれた。(2019年撮影)

後日、片野さんから荷物が届いた。とても驚いた。そこには私には勿体ないくらいの贈り物と直筆の手紙が入っていた。応援させてくれただけで十分なのに、言葉が出なかった。そんな律儀な片野さんに、何をかえせるだろうと私は考えた。考えた末に思いついた。

そうだ、写真を贈ろう

私が今まで撮りためてきた写真を集めて、今年のカレンダーを作った。本人が自分の写真だらけのカレンダーを見るのは、どんな気持ちなんだろうと一瞬考えた。それでも頑張ってきた野球生活を、写真を見る中で思い返してくれたら。また、家族で写真を見合って、思い出話に花を咲かせられたらと思ったのだ。

片野さんに送ったカレンダー

獨協大学時代の写真と、かずさマジックでプレーしていたときの写真を惜しみなく盛り込んだ。喜んでくれるかはわからないけれど、思い出がきちんとカタチになればと一生懸命選んだ。

ポストに投函したとき、ファンとしてやり切ったという気持ちになった。片野さんの野球人生と、この写真がこれからともに歩んでくれたらという思いで。

後日、片野さんから届いた旨の連絡が入った。

大切に飾ります。本当に嬉しいです。妻も喜んでいました。

ファン冥利に尽きる最高の言葉だった。本人はもちろんのこと、家族も喜んでくれた事実に。思い出は、本人だけでなくその大切な人と共有できたとき、彩るのではないかと思う。作ったカレンダーを見て、夫婦で話が盛り上がったらこれ以上の幸せはない。写真がその役目を果たしてくれるのなら、私はとても嬉しいのだ。

片野さん。6年間も長い間、応援させてくれてありがとうございます。片野さんのおかげで獨協大学の魅力と、社会人野球の応援の楽しさを知りました。野球選手を引退しても、片野さんという人間に変わりはありません。これからも明るく元気よく、素敵な人生を歩んでください。また、どこかの球場で会いましょう。

大切な人には、写真を贈ろう。写真に命が吹き込まれるから。