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入力支援ツール・textlintを導入したら、テキストコミュニケーションを磨く時間をたくさんかけられるようになった話

BASE DESIGNER

こんにちは。
Communication Design GroupのUXライター藤井です。
「ことばによるコミュニケーション」領域を担当しています。

UXライターが担う役割としては、直接的、間接的を問わず、あらゆるタッチポイントにおけるテキストコミュニケーションの体験をデザインすること。

前者はBASEの管理画面やメール、LPなどプロダクトすべてのタッチポイント、後者はイベントや営業資料をはじめとする、間接的なBASEとのタッチポイントが挙げられます。

では、具体的にはどんな業務をおこなっているかというと、「テキストコミュニケーションをデザインする」をキーワードに、デザインシステムの一環として「運用ガイドライン」「用語リスト」を作成、タッチポイントごとに担当を分け、最終レビュー担当者をそれぞれアサインし、運用するなど、日々、テキストコミュニケーションの最適化を図っています。

トンマナ・レビュー≠UXライティング、「整える」と「デザインする」は違う

こんな取り組みのなかで見えてきたのが、こんな2つの課題でした。

  • ことばのトンマナ(トーン&マナー:デザインやスタイルに一貫性を持たせること)をひたすら磨く作業が、現状のテキストデザイン作業の大半を占めていること

  • 運用ガイドラインがあっても、品質の担保は、最終的にはどうしても属人的にならざるを得ないこと

つまり、表面的にはトンマナが統一されていることによって、一定のテキスト品質は担保されている一方、UXライティングの本来の役割である「テキストを設計することによって、プロダクトとユーザーのコミュニケーションをデザインすること」、つまり「体験をデザインすること」という本質に、あまり時間を割けていないのでは?ということに気づいたのです。

品質の担保を前提に、本質的な「体験のデザイン」へ

このテーマと向き合うにあたり、必要になると考えたのが、「テキスト入力支援ツール」の導入でした。

いくら洗練され磨き上げられた「運用ガイドライン」や「用語リスト」があっても、それはあくまで必要なときに紐解く、いわば「逆引き辞典」のようなもの。
漢字の閉じ開き(漢字にしたり、ひらがなにしたりすること)や記号、正式名称のBASEルールは、そもそも暗記するような類いのものではありません。

そんな「覚える必要のないもの」に自動的に修正が加えられるなら(厳密には、『定義されたルールを教えてくれる』ですが)、あらゆるチームから「プロダクトに反映させたい」と提案されるテキストの品質は、すくなくとも「トンマナ」という文脈においては、その時点で担保されます。

これにより、「体験をデザインすること」ーーテキストのターゲット/目的/ゴールを定義し、情報の構成を設計し、マイクロコピーをライティングする、というプロセスに、さらにていねいに取り組むことができるのではないか、と。

トンマナを自動化するための、2つのアプローチ

そのために取り組んだアクションは、2つありました。

  • 正誤の参照先となる「運用ガイドライン」「用語リスト」のDB化

  • テキスト入力支援ツールの導入

BASEがUXライティングというアプローチを取りはじめてから、およそ4年。

ユーザー体験全体を通して語られる、ブランドの理念を反映した言葉遣い(ボイス)、ユーザー体験の各部分における言葉遣いの変化(トーン)のたたき台も形作られ、それなりに育ってきてはいるのですが、「運用ガイドライン」は、目的や対象範囲などがまだきちんと定義されておらず、明文化もされていませんでした。
また、「用語リスト」も、レビュワー目線で構成されており、お世辞にも「誰が見てもすぐに活用できる」ところまでは整えられていない状態でした。

それらをあらためて整え、人だけでなくツールも参照できるDBにすることで、ことばの定義をオープンにできる上、その品質の担保を属人化せずに運用できるようになるはず、と考えました。

誰でも(ツールでも)参照できる、開かれたガイドラインに

そこで、まずはテキストガイドラインにおける「テキストライティングの方針」、目的を定めました。

テキストについての記事なので、
「せめて画面のキャプチャーで華やかに」と思いつつも、
結局テキストばかりという切なさ

ショップオーナーの皆様だけではなく、これからショップを開設しようと検討している方、BASEのプラットフォームを利用したショップでお買い物される購入者、購入を検討している方をふくめ、BASEのタッチポイントに触れる可能性のあるすべての方を対象に、伴走者としてどんなテキストでコミュニケーションすべきなのか、という観点・視点がベースとなっています。

そして、項目自体もあらためて精査。
正誤表にすることにより、「正」以外を検知できるような作りに。

テキストガイドラインにおける、漢字の閉じ開きの正誤表の例

テキストガイドラインとして「漢字・ひらがな」「カタカナ」「記号」「数字・単位・日付」、また用語集として「サービス正式名称」「BASE固有の用語」「用語」、マイクロコピーは用途別に「ボタン・リンク」「エラー・バリデーション」「フラッシュメッセージ・トーストメッセージ」「警告メッセージ」「ダイアログ」と、使いやすく分類し、検索性を高めました。

テクノロジーで解決できることは、テクノロジーに。属人性から切り離される、トンマナレビュー

さて、DBとなるテキストガイドライン(デザインシステム・Lantern)がアップデートできたところで、次はテキスト入力支援ツールの導入です。

選定方法については、ここでは詳細は割愛しますが、現状のプロダクトやレビューフローとマッチするツールのメリット/デメリット、また、導入にあたってエンジニアチームにどのくらいの稼働が発生するのか、などを鑑みて、BASEでは今回はtextlintを採用することにしました。

そもそも、「textlint」とはなんぞや?をかんたんに解説すると、(個人的な定義ですが)表記揺れや誤字脱字、読みにくいため好ましくない、とされる表現などを検知して、文章全体の質を上げるためのテキスト校正ツールのこと。
本来はエディタなどと連携させて使用するツールなのですが、現在ではchrome拡張機能により、ブラウザに入力したテキストを校正できるので、利用者側の導入ハードルも低く、こちらを利用してみることに。

導入に向けての作業は、社内のエンジニアの力添えにより(感謝!)、わずか2ステップでかんたんに導入できるようにしてもらいました。

  • ステップ1:chrome拡張のインストール

  • ステップ2:BASE独自設定のインストール

基本的には、設定はこれだけで完了。

あとは、用意されたテキスト入力ページに、トンマナをチェックしたいテキストを貼り付けるだけ。
すこし待つと、DBに登録された正誤表の「誤」となる言葉にアンダーラインが引かれ、「正」をサジェストしてくれます。

テキスト入力ページのサンプルテキストの内容には、まったく意味はありません、あしからず……

トンマナレビューはほぼゼロ、本質的なUXライティングが作業の9割強に

かくして、導入説明会を経ていざ実戦投入。
この6月末ごろから運用を開始して、はや3ヶ月、雑感をまとめてみると……。

  • とにかく、「あらゆるチームから『プロダクトに反映させたい』と提案されるテキストの品質は、すくなくとも『トンマナ』という文脈においては」とんでもなく「担保され」た! トンマナレビュー工数、体感で当社(者?)比・約90%削減

  • 一方、テキストレビュー/UXライティングに対応する合計時間はそれほど変わっていない

  • とはいえ、何の目的で誰に向けて書かれ、どう行動してくれたらゴールであるか、について、どんなささいなテキストでも設計するようになった

つまり、トンマナをレビューする時間が減ったかわりに、テキストの「目的」「ゴール」「ターゲット」を必要に応じて再定義し、テキストをデザイン、本質的なUXライティングに取り組める時間が圧倒的に増えた、できるようになった、ように思えます。

次に何に取り組めるかについて向き合っていく、終わりなきUXライティングの道は続く

BASEというプロダクトは、ありがたいことに、この10年でとても多くのショップオーナー様にお使いいただいているプラットフォームに成長してまいりました。

それはつまり、お使いいただいている方の「仕事や生活の一部」として機能しはじめている、ということでもあります。
それだけに、より「やりたいことを、悩まずにすぐに実行できる」ための、いい意味で「記憶に残らない」「心にスムーズに入ってくる」テキストコミュニケーションが求められます。

このtextlintの導入をきっかけに、より本質的なサービス体験の向上のために、次に何に取り組めるかについて向き合っていく、終わりなきUXライティングの道は続きます。

誰もがお店を開けるように、誰もが売り買いできるようにーーさらなるオーナーさんの成長のために。

BASEでは、いっしょに最高のサービス体験をデザインしてくれるデザイナーを募集しています。