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田舎で起業して気づいた 「売上の大小」よりも大事な「お金の出どころ」

僕は2020年に田舎に移住してきたと同時に、この地で仕事を始めました。

田舎に住みつつ、発信力を高めながら、商品・サービス・コンテンツをつくってあれこれと試行錯誤をしています。

今回は田舎で起業して2年ほど色々とやってみた僕が気づいた、「お金の出どころ」の大切さについてまとめてみます。

無理ゲーからスタートする田舎起業

いきなり冷淡なことを言いますが、田舎でビジネスを始めると、割と無理ゲー感を味合うことが多い気がします。

ビジネスを始めようとしても、田舎の人・物・インフラ・物流 etc…
都会に勝てるものはほとんどありません。

例えば特産物をつくったとして、地元の人を相手に商売をしても仕方ないので、「通販でもやるか」となるわけですが、たちまち日本中・世界中の事業者がライバルになってしまいます。
そして、大手企業がやってるポータルサイトのサービスに太刀打ちできるわけもなく頓挫してしまうケースも多いと思います。

RPGで言うと、装備はしょぼいのに、強い敵と闘い続けないといけない、みたいな状態が常に続きます。

基本的に、田舎起業は無理ゲーからスタートするものだと思っています。

僕の場合は、レンタルスペースを運営したり、コーヒーを焙煎して販売したり、SNSでコンテンツ配信して暮らしていますが、いずれも無理ゲー感を感じながら奮闘しています。笑

古民家をコーヒー焙煎所にするためにDIYに奮闘する筆者

田舎起業=価値を見出す作業

田舎起業は、無理ゲーの中に価値を探すゲームだと思っています。

例えば、林業は産業自体が衰退して、国産木材は一部ブランドを除いて目も当てられない状況になってから久しいと思います。

ところが、昨今のキャンプブーム。
アウトドアショップに行くと一束¥700で薪が売られています。

薪は林業をしている人にとってそこまで価値を感じられないかもしれませんし、田舎の人にとって薪にお金を出すのが信じられないかもしれませんが、それなりの単価で売れて且つ高利益なのだそうです。

あまりにも売れるため、林業から薪専門の事業者にシフトした、みたいな話を聞いたこともあります。

何に価値があって何を求められているのかを客観的に考え、適切なタイミングで波を乗り換えられるか。

田舎起業をする人にとって、これを実行する力が問われるのだと思います。


僕の場合も、「この田舎のどこに価値があるんだろう」を考えるのに多くの時間を使いました。そして着目したのが、空き家や空きスペースが沢山あるという点です。

・空きスペースをレンタルスペースにしよう
・空き家の古民家をコーヒー焙煎所にしよう
・状態の良い空き家を購入してDIYリフォームの過程をコンテンツ化しよう

今ではこの発想がそれぞれビジネスになっています。

コンテンツについては一定数見られるようになってきていて、YouTubeは3.7万人、Instagramは8.5万人の方にフォローいただいています。


田舎起業ほど意識すべき「お金の出どころ」

価値があるものや、世の中に求められているものを正しく把握したあとで、それをどのように売っていくかを考え始めたとき、今回の記事の本題である「お金の出どころ」の話につながってくると思っています。

例えば薪を売ろうとしたとき

①地域内で販売する
②地域のイベントに出店する
③地域外(オンライン含む)で販売する
④ふるさと納税制度を利用して販売する
⑤クラウドファンディングの返礼品として薪を使う
⑥法人向けに販売する

「薪を買う」という同じ行為でも①〜⑥のように売り方が変わると、購入側のお金の出どころも変わってくると思います。

①、②は地域内で商売が完結しますが、③〜⑤は場所を問わずお金を使ってもらえます。⑥については太客に定期購入してもらえますし、必要経費として財布の紐も緩みます。

僕は田舎で起業する上で、お金の出どころが地域の外にあるようなビジネスモデルを設計した方が良いと考えています。できれば③以降の形で売り上げが出るのが望ましいです。

言い換えると、持たざる者(地域の人)からお金をかき集めるビジネスをするのではなく、地域のモノを使って外の太客(企業)からヒト・モノ・カネを引っ張ってこれるビジネスをするのが健全だと考えています。

企業を相手にすると、高い品質のモノ・サービス・コンテンツを維持しなければなりません。仕事の進め方も一定レベルを求められると思います。
その中で試行錯誤を繰り返しながら、高いレベルの相手と仕事をするということで、自分のレベルも上げていけるという状態に入ると思います。

また、お金の出どころが大きい(企業)ことで、仕事のクオリティこそ求められますが、仕事の単価を上げていく交渉もしやすいと思います。報酬が30万円なのか50万円なのかは企業にとってみれば大した問題ではなかったりします。

タイトルにあることをここでもう一度伝えます。
売上の大小なんて後でどうにでもなります。
大事なのは「お金の出どころ」です。



少し自分の話をさせてください。

僕は田舎の空きスペースをお借りして、レンタルスペースを運営させてもらっています。少しずつ方向性を修正して、色んな用途で使ってもらっています。最近はイベント、写真や動画撮影、ワークショップ、リラクゼーションなど、個人というよりは事業者の方に使っていただくケースが増えてきています。

事業者さんに使っていただくことで、定期利用者を増やしていきたいと考えています。

レンタルスペースにおいて講習会開催

また、空き家の古民家をコーヒー焙煎所にして、自家焙煎のコーヒー豆を販売しています。これに関しては地域の人に向けたPRをしていません。販売はオンラインページやふるさと納税制度を使っていて、買ってくれるのは地域外の人がほとんどです。

少しずつではありますが、法人向けにコーヒー豆やドリップバッグをおろさせていただいています。

法人向けドリップバッグ(オリジナルロゴ・メッセージを入れて納品)

自宅のDIYリフォームの過程をコンテンツ化しようとうことで始めたYouTubeやInstagramは誰でもアクセスできます。フォロワーの90%以上が地域外の人です。

YouTubeには企業が広告費を出し、それがクリエイター側に還元する仕組みが整っています。その恩恵を受け、僕も間接的に企業から広告収入を得るというのを実現できています。

また、コンテンツ自体がポートフォリオになるので、見てくれた企業から直接お声かけいただき、タイアップをして企業さんから直接報酬をいただくことも多いです。

作業服メーカーさんとのタイアップ(Dickies着用)

若い人が地方で生き残るために残された道

薪は良い例だと思っていますが、若い人にとって、地域に既にあるモノを昇華させて、外に勝負しにいくしか地方で生き残るために残された道はありません。

地方はこれから少子高齢化&人口減少が恐ろしい勢いで進みます。ここから加速する一途ですからゾッとします。
年間100万人規模で日本の人口が減る時代に入るので、千葉市とか仙台市など政令指定都市レベルの人口が1年で吹き飛ぶイメージです。

僕は持たざる者(地域の人)からお金をかき集めるto Cビジネスはただでさえ未来がないと考えていますが、地方の人口減少を考えると、そもそも地域の人だけを取り込むようなビジネスは持続可能ではないと思っています。


さらに、日本人のものづくりはガラパゴス化が目立つと揶揄されます。
一昔前は日本人にしかウケないような機能がついた携帯電話がズラリでしたが、今はどうでしょう。日本製のスマホ使っている人はほぼいないと思います。日本人にしか使ってもらえない機能やプラットフォームは世界基準の中であっという間に淘汰されました。皮肉なもので日本人にすら使ってもらえなくなりました。

例えば地方を盛り上げたいみたいな大義名分を振りかざしたかところで、経済効果の少ない自己満足なこと(地域の人が地域のモノを地域の人に売るような内輪イベント)をやってると、地域独自のガラパゴス化が進み、外の世界では全く歯が立たず、いつしか地域の人にすら振り向いてもらえず淘汰される未来が待ってると思います。


道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」 by二宮尊徳

前者は当たり前ですが、ここで触れたいのは後者の「経済なき道徳は寝言である」です。
寝言とは…辛辣ですが実際そのとおりだと思います。

外へ外へ目を向け、できればインバウンドや海外在住の人もターゲットにした商品をつくりだすことが必要なのだと思います。そして、大人が関わる以上、経済効果を生めなければ全部寝言というのが現実のようです。

でも、外の世界で戦うのは正直キツいです。
「みんなよくやるよな・・・」と思っちゃいます。
そうやって若い世代こそ、地域の外でボコボコにされてくるしかありません。
僕もボコボコにされては自分の立ち位置を思い知らされる毎日です。笑

狭い田舎でたまたま出会った人と運命共同体になる必要はないと思ってます。内輪でツルんでも仕方ない。

地域を上手く活かして、「外」に勝負しにいきましょう。
地域のコミュニティを抜け出すか、コミュニティごと「外」に勝負しにいきましょう!
(あと、地域の保守派と、制度や既得権で戦っても仕方ないので逃げましょう)

そして、人生100年を謳歌していきましょう!
ボコボコにされながら強くなっていきましょう!

運営しているレンタルスペース



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